10月19日更新

北海道後日談    2007年 7月   
不思議な縁のスペイン人]
アルベルト(夫)コンチ(妻)同い年37歳
7月10日恐山で出会ったスペイン人夫婦との縁は本当に不思議だ。
まずきっかけである。恐山で歩いていてすれ違っただけの外人に声をかけるわけも無い。
誰もいない私達とスペイン人だけの夫婦が湖畔に居た。嫁さんが浅瀬の砂の中の温泉を確かめた。
10m位向こうでこちらのマネをして彼らも浅瀬に手を浸けていた。
それを見た私がブロークンイングリッシュで「モアーインサイド!」と声をかけた。

 ここ暖かいわよ スペイン語!!めずらしいね! 今度広島に来て下さい

実は50%位はスペイン人かなという予感はあった。
昨年スペインに一ヶ月ばかりいたので少しは見慣れていたのである。
アメリカかヨーロッパの白人とスペイン人の区別がつくかというと自信は無いが、少しは見慣れたという感はある。
我が家に泊まってくれたAFSの留学生の白人たちはびっくりするくらい色白である。(当たり前か!!)
それに比べ広島大学に来ているスペイン人の留学生達は色黒なのである。
色黒の私にとっては同じヨーロッパ人といってもスペイン人の方が親近感が持てる。
広大のスペイン人に直接聞いたことがある。
「ドイツ人かフランス人などよりスペイン人は色黒と思うがどうして?」と。
彼らは学校でそんな勉強したわけでもないし、そんな疑問も持った事がなかったので返事に窮していた。
無理矢理理由を探して「ヨーロッパで一番暑い所かな?」「昔イスラムに支配されていたので北アフリカの血が
入っているからだろう」などと言ってくれた。
恐らく島国で農耕民族の日本人には想像も及ばない民族改修、宗教改宗が行なわれたに相違ない。
牧畜民族にとっては極々自然な事として・・・。
100年もあれば血統の入れ替えも相当に進んだに違いない。

えらく脱線してしまった!!
私の感は当たって、彼らはスペイン人だった。
嫁さんがスペイン語で対応したので彼らは本当にびっくりしていた。
不思議な縁の深さは何故恐山に来たのかという事であった。
後日我が家に来てくれた時しつこくその事を聞いた。スペイン語のぶ厚い日本案内書を見せてくれた。
日本旅行をするのに役立つ様々な情報が載っている本だ。(厚さ10cm)
ちゃんと恐山も案内があった。内容は日本の観光案内を訳したもので、まともな内容であった。(日本人が読んで)。
コンチとアルベルト夫婦がどのように理解したかが問題なのである。
あの世に渡る三途の川の賽の河原みたいな風情で、小石が積まれていて、口寄せの「イタコ」が居て
亡くなった人と交信をしてくれるなど、どう理解したのだろうか?
レオナルド・ダ・ビンチの「最後の審判」の情景や「地獄門」でも想像したのか??
しつこく嫁さんに聞いてもらったのだが、今一良く分からなかった。
あの世とこの世の境界の有る所といった感じだったが・・・。

彼らは東京で四日ばかり観光して。東北新幹線で青森県に来て野辺地で大添線に乗り換え、
むつ市大添のホテルに泊まり、バスで恐山に来たのである。
北海道を3日間見て九州に行こうかと計画している人間が何故恐山にやって来たのかを聞きたいのと、
どんな人間かを知りたくて、是非広島の我が家を訪ねる様にと名刺を渡した次第である。
本州の北の山の中で出会った日本人が1500Km離れた本州の端の広島に訪ねて来いというので、
スペイン人夫婦も不思議な縁を感じたに相違ない。
広島で再会するのが楽しみだ。
7月18日(水曜日)
昨夜アルベルトから電話が入ってきた。
「今別府に居る。明日広島に行くのだが本当に訪ねても良いか?」と言ってきた。
12時に広島駅というので、改札口で待っていると、嫁さん急にトイレに行って来ると言う。
コンチとアルベルトが間違って在来線の方に人込みと一緒に流れて行ったら分からなくなるのに・・・。
客も少なく早めに来たし、背が高いのですぐに分かった。
私はビデオを構えていたので彼らがすぐに見つけてくれるか?もし在来線に歩いて行けば、大声出さんといけんかな?
と思っていたが、彼もすぐに私を見つけてくれた。
嫁さんはまだトイレから帰って来ない。「ヤーヤーよく来たね!」と日本語で言って握手。
「×○※×○※アイコ×○※」と言うので「トイレ!」と指差す。
ニコニコしている事3分間くらいでようやく嫁さん帰って来て、お互いにハグしている。
昼飯はまだだと言うので「お好み焼き」のお店に食べに行く。
矢賀新町にあるおばちゃん二人でやっている極普通のお店である。
外国人を連れて2〜3回行ったので、私達夫婦の事をちょっと覚えていてくれた。
「豚肉と卵は大丈夫?」と聞いて、そば入りお好み焼きを注文。
私が極普通のお好み焼き屋さんに連れて行くかというと、鉄板で食べさせてくれるからだ。
私が食べるのを見せながら。これが正式な食べ方だ!!と外国人にヘラを使わせて
フーフー言わせながら食べさせるのが面白い。
彼らが一番驚くのは、目の前で料理してくれる事らしい。面白がって何枚も写真を撮っている。
コンチは熱いのが苦手らしく、だいぶ遅くなったがヘラで完食した。
スペインに帰ってお好み焼きを焼いてくれればと思い、製作過程はすべてビデオに撮った。広島を代表する郷土料理だ!!
と言ったので、スペインでチャレンジしてくれると嬉しいが・・・・。
当然お好み焼きソースはお土産に持って帰らせる。

 よく来たね! おお!クール!! ふ〜ふ〜熱いね!

昼飯が終わったので、半日の時間ならば原爆資料館だ。
広島に住んでいると分からないが、世界で一番有名な都市は「ヒロシマ」だろうと思う。
各国の首都は興味がないと答えられない。
アメリカはニューヨーク or ワシントン。 スペインはバルセロナorマドリッド。ドイツはベルリンorボン。
超有名国でも私にとってはちょっと考えてしまう。ましてやアフリカ諸国だと一国も分からない。
人類に始めて原爆を使用したと言う意味で、世界中の子供達は「ヒロシマ」を教えられている。
実際コロンビアやコスタリカやスペインやタイを旅行して、現地の人たちと話なしをする機会があって
「広島から来ました」というと全ての人達が「ヒロシマ」を知っていてくれた。

広島人として、外国人が我が家を訪ねてくれて時は、必ず原爆資料館へは連れて行く事にしている。
入館料は50円。英語やスペイン語などの外国語案内のテープは300円である。今回は私も一緒に入館した。
原爆の威力や、被害状況(焼け野原)もすごいと思うが、焼け爛れた三輪車や、弁当箱や服にはいつも泣かされる。
何町何丁目何番地の誰々さんの物ですという説明文である。
物だけの展示(瓦やガラス瓶)だと、さほどショックを受けないが、持ち主が確定されていると、
この服を着ていた子供が焼け死んだと思うと、やはり泣けてしまう。
この資料館を見た外国人達はどの様に感じてくれるのか・・・。
私は我が家の客人達にあーだ、こーだと説教は一切しない事にしている。
彼らが感じた通りを本国で周りの人々に話をしてくれれば良いと思っている。

原爆資料館の前半部は戦前の広島の町に賑わい紹介している。
そして軍都、軍港、大本営が置かれていた事も説明している。
広島が被害者面馬鹿利するなと言う批判に答える為だろう。

唯、アメリカが主張する「原爆を投下したお陰で、戦争が早く終わって日本人やアメリカ人の100万人の命が救われた」
とする考え方には、ヒロシマ人として、何とか理論武装しておきたいものだ。
久間防衛元大臣の失言「原爆投下は仕方なかった」と言う類の論理に対してもである。
石原東京都知事がテレビで面白い事を言っていた。
「自分はアメリカの飛行機に機銃掃射を受けた。町の中で一般市民を追いかけまわして
アメリカ軍パイロットは面白がっていた。それは卑怯者のすることだ」とアメリカ人に自分の経験として話をすると
「それは申し訳なかった」と愛国主義者のアメリカ人も謝るそうだ。
原爆の何百倍もの水爆も作ってしまい、全人類を何度も殺せる量を作ってしまった、核保有国の国民に
是非この資料館を見てもらいたいものだ。
一発の水爆でひとつの都市を蒸発させる威力を持つ爆弾を使用してしまっては勝利者は何処にも
存在し得ないと思うのだが・・・。

コンチとアルベルトは学校の先生なのだ。テープ案内に従って一時間半程館内を巡ってくれた。
私達夫婦は長椅子で休んでいたが、お構い無しで熱心に見てくれた。
スペインに帰って子供達に「ヒロシマ」の事を伝えてくれればと願うだけだ。

 平和!平和!の世界の文字! 母子の像 原爆慰霊碑

我が家に来て一番の興味を引いたのは庭に有る小さな池と鯉であった。
スペインの家庭にも立派な庭園はあるが、池を掘ってあって魚が泳いで
いるというのは珍しいらしい。

さて我が家の外国人接待の定番第二弾は、スーパー銭湯である。
見ず知らずの人間がスッポンポンで大きなお風呂に入ってゆったりするなんぞという文化は日本だけではなかろうか?
外国人が我が家に来たら来たら必ずスーパー銭湯に連れて行き、彼らの反応を見るのが楽しみになっている。
チェック項目:
その@ スッポンポンになるので、恥ずかしがるか?
  今まで誰一人恥ずかしがったのは居ない。前も隠さず堂々とブラブラさせながら歩く。
  日本のエチケットはタオルで前を隠すのだ!!と教えてもすぐに忘れる。
  もっとも日本人の半分くらいも隠していない。
  座って身体を洗っていて側をブラブラさせて通られると胸くそが悪くなるのであるが・・・。
そのA サウナに長く居られるか?
  砂時計で3分我慢出来るか?私も3分ギリギリの方であるが、暑い国の人間は一分ももたないようだ。
  暑い国なら暑いのに慣れていると思うのだが、反対のようである。
そのB サウナから出て水風呂に飛び込めるか?
  私がスパッと入って見本を見せるのだが、恐ろしがって入ってこない。
  恐らく急に冷たいところに入ると心臓に悪いと恐がっての事だろうと思う。
  「意気地なし!さっさと入れ!」と日本語で挑発すると、雰囲気は分かるのだろう、渋々入ってくる。
  ホアンは何度も行ったので、冷水風呂の快感が分かったようだった。
  嫁さんの話によると、パッチャンも喜んで飛び込んでいたようだ。
そのD 露天風呂の良さ、開放感を感じる事が出来るか?
  総じて皆んな感じるようだ。室内の湯船より露天風呂のほうが長く入っている。
  壁が滝になっている風情は皆気に入っている。(ふかわの湯)
  露天風呂のプラスチックのベットで夜空を眺めながら、横になるのもそれなりに気に入ってくれる。

晩飯は「ふかわの湯」の食堂部で焼き魚定食やトンカツ定食を食べる。
7月19日(木曜日)
昨夜コンチとアルベルトに質問攻めをした。我が家に泊まった外国人には必ず質問を浴びせる。
日本の第一印象とかサプライズとか日本の食べ物や日本の生活習慣など色々聞くのである。
答えてくれると大体その人の感性が分かって面白い。
我々日本人が思いもしなかったような感じ方をしていることがあるので、こちらの方が感心させられる。

高校生や大学生の留学生たちとの付き合いが出来る中で、いろいろ落ちついて聞くことが出来た。
彼らは日本と日本人に対して大いなるレスペクト(尊敬)していると言ってくれる。
日本に居ると分からない日本の良さを彼らが教えてくれる事が多い。
日本もまんざら捨てたものではないなあと思ってしまう。
NHKのBS放送でやっている「クールジャパン」という番組が面白い。
何年間か日本に住んでいる外国人が日本の物や有り様についてクール!!と感じているかを話し合う番組である。
彼ら外国人達がクールと思う感性が色々で面白い。

コンチとアルベルトの日本の強い印象は日本人の優しさと緑の多いことであった。
彼らは結婚して10年近く経つのだが、子宝に恵まれていないので、バカシオン(スペイン語でバケーションの意)には
外国旅行はよくしているようだ。ヨーロッパ各地と、カナダ、インドは行った事があると言っていた。
彼らは旅なれているので、周遊券の他はホテルは駅に降り立って調べるそうだ。
駅前のホテルに飛び込んだら、一万円位だったので「もう少し安いのはないですか?」と尋ねたら、「近くに安いホテルがあるよ!」と
言ってそのホテルに空きがあるかどうかを電話で聞いてくれて、道順を教えてくれたそうだ。
人情のあつさと細やかさに打たれたらしい事は良く分かる。
ヨーロッパ人なので、日本のテクノロジーについてはさほどびっくりはして居ない様子だったが、
旅行して列車の時間の正確さには舌を巻いていた。
スペインでは絶対に有り得ないと言っていた。日本は秒単位で、スペインでは10分単位といったところか?
スペインの新幹線「アベ」でもダメだと言っていた。
日本人は物作りに心を込め、そして、物をつかう者がその心を受け取るといった精神性は、
決して欧米人にマネが出来ないと思う。 最も彼らはそこまで必要性を感じてないと思うが・・・・ 
しかし、いったん日本の高い精神性に触れると、日本の大ファンになってくれるのは間違いないのだが・・・。
昨今の様に三菱自動車しかり、北海道の「ミートホープ」しかり、「白い恋人」しかり、「赤福」しかりである。
中国の毒物混入のような事と次元は異なるが、金儲け主義に走って物作りの高い精神性が失われている事が哀しい。
そして消費者側も、もっともっと感性と品性を磨いて物作り側の心が受け取れるようになっていかないと・・・・。
ブランドマークが外されていても何が本物か見分ける賢さを身に付けたいものだ。
ブランドマークを付けたらバッグが何十万もするというには、私は我慢ならない。ブランドマークをひっぱがしてでも、
皆さんが何十万円も支払って買ってくれるというものであれば、私は納得出来るのであるが・・・。
「これは縫いがしっかりしている」「形、デザインがいいね」「使っている革や生地がいいね」
「金具が立派ね」とかいう評価が下され・・・・・   おっと!頭が熱くなり脱線してしまった。
嫁さんがブランド志向で買い漁っているので熱くなってしまった訳ではありません。
嫁さんもブランドには無頓着な方であるが・・・・?(こっそり買っていたりして・・・)
最も私にはそれがブランド品なのかも分からない体たらくではありますが・・・・。

今日はあまり天気は良くないがとりあえず宮島に出発する。
行く途中はちょっと雨が降ったが、何とか大野に着く頃には止んだ。
連絡船から鳥居が見えたので、観光案内にもあるものなので、バチバチと写真を撮っている。
宮島駅に着いて、観光案内所でスペイン語のパンフレットを出してもらった。
以前コスタリカ人を案内した時に、スペイン語のパンフレットがあるのは知っていたのである。
「スペイン語」という言葉が聞こえ、パンフレットを出してもらっているのを見ていた二人連れの男性が
「私たちにも下さい!」とばかりに手を出していた。
コンチとアルベルトは彼らがスペイン人だとは気づいたはずだが、話しかけようとはしなかった。
おそらく私たちのゲストなので、別の状況を作ってはいけないと思っていると思った。
私はスペイン人だと気が付いたので嫁さんに彼らはスペイン人かどうか聞いてみろと言った。
話しのきっかけを作ったものだから4名のスペイン人は日本旅行の情報交換をやり始めた。
15分位話をして、それじゃーとスペイン人同志はお別れの挨拶をした。
しかし、二人連れのスペイン人は名残惜しそうだった。
スペイン語を話せる日本人と一緒に宮島を歩けば、色々案内してもらえるだろうにと思っているに違いないと思った。
嫁さんに二人連れに「一緒に行くか?」そしてコンチとアルベルトに「一緒でもかまわないか?」と聞いてみろと言った。
二人連れは大喜びだったし、コンチとアルベルトもスペイン人によくしてくれると感謝の様子だった。

鳥居を背景に写真を撮ったり、本殿で2礼2拍1礼の作法を教えてもらったり、
賽銭を供えるだけで異文化に触れた感じがしてうれしそうである。

 鹿は大喜びであった  

 うがい手水に身を清め  本殿で2礼2拍1礼

さて、参拝が終了したのでどうしようか?紅葉谷公園の紅葉は未だ早いし、ロープウエイで山に上がっても、
雲底が低いので、見通しが悪いしなぁーと思ってスペイン人たちの希望を聞いた。
するとロープウエイで上がりたいと言う。「サルが沢山居るでしょう?」と言う。観光案内書に書いてあるのだろう。
この2〜3年ロープウエイで上がってもサルに出会ったことがない。
昔は観光客の荷物を威嚇して挽きむしったりで、傍若無人であったが、
最近は餌付けもしなくなったので、駅舎にも近づかなくなったらしい。
「猿は居ないかもしらないが、山頂まで登るか?」と聞いたら、OKという事だったので、ロープウェイで登る事に。
ロープウェイの中でもスペイン人達はずっとしゃべりっぱなしだった。スペインに行った時も、そうだったが、本当に
おしゃべりを楽しめる民族の様だ。放っておいたら3時間以上は平気で喋り捲っている。

山頂駅に到着したが、案の定猿は居なかった。さて山頂まで30分歩くぞ!!とハッパをかける。
アジア系や南アメリカ系は山登りは得意でなさそうである。白人系は平気な人が多い気がする。
ロープウェイに乗ったら私は必ず山頂に行くことを勧める。

実は私には密かな二つの目的がある。
一つ目は山頂の手前の不消霊火堂の無人販売所でラムネを買うことである。
お堂の敷地内にお守りや飲料が無人で売られている。
お寺の住職が人々の善意を信じてあえて無人販売を敢行しているのだろう。
無言の説教とも言えるのである。

不消霊火堂で彼らの目の前で200円のお金を箱(出し入れ可能)に入れ、ラムネを飲んで見せるのである。
スペイン人4名はこれを見て「スペインでは絶対無理!!!」「お金も商品もすぐに無くなる!!」と言う。
彼らのリアクションが楽しみで、フーフー言いながらここまで引っ張ってくるのである。
日本人で10代の少年がいたずら半分に悪さをするものは少し居るだろうが、
みせんの山頂に登ろうと思う人々には盗みをする人は居ないと信じたい。
この無人販売所は外国人達に強いインプレッションを与える事は間違いない。
外国語の出来ない私からの無言のパワフルメッセージである。
日本人に対してのレスペクト度が数段上がるであろう。


二つ目は山頂への登山道のPRである。
何のアピールかと言うとゴミひとつ落ちていないという事である。
一応登山中に確認しておいて下山中に山道にゴミが捨てられてない事をアピールする。
タバコをすう外国人には吸殻を捨ててはいけないことを教える。
以前我が家に来たスペイン人のイボンはタバコの吸殻を捨てるので、携帯用灰皿を買い与えたのだが、ついつい投げ捨てる。
スペインでの癖が身に染み付いているのである。
人目のない山道でも誰もゴミを捨ててないでしょうと日本人のマナーのよさをアピールするのである。
今回は登山中にジュースの缶がひとつ転がっていた。残念!!
アピールし損ねたが、下山時に缶を拾って駅舎のゴミ箱に持参した。
当然彼らは私が拾ったのは見ていたので、いくらかのアピールにはなったであろう。
ゴミ箱が設置していない公園はゴミがなく、ゴミ箱を設置してあると、あふれるばかりに入れてあり、
周りも汚いところはよく見かける。   人間の心理とは面白いものだ。

夜コンチとあるベルトに公徳心について話した。
私達がバル(スペインにスナック喫茶というか、一杯飲み屋)で朝食した時、お客たちは床にゴミをどんどん捨てていた。
あまり気持ち良くないと伝えたら、「あれはいいんだ!お店の主人も喜ぶのだ!」と言ってきかない。
床がゴミだらけな程そのお店の繁盛ぶりが見えるので良いのだそうだ。
それならばと、スペインの鉄道のキヨスクの女店員について話した。
キヨスクで勘定してもらおうとレジの前に行った。地元スペイン人の客が先に待っていた。
その後に品物を抱えて並んだ。女店員(30歳前後?)は売り上げのチェックシートに何か書き込んでいる。
客がレジの前に立っているのは見えている。きっちりその作業を終えて(2〜3分後)レジの受付を始めた。
「お待たせしました」も「すみません」も「ありがとうございます」もない。言葉の通じそうにない私達東洋人に対してでなく
ジモピーのスペイン人に対してそんな態度なのである。
当然私達に対しても笑顔ひとつあるわけはない。つり銭も投げるように返してくる。
日本では優しく手のひらに返してくれる。セブンイレブンに至っては若い娘が手を取ってつり銭を渡してくれる。
そうだ!!今度外国人が来たらセブンイレブンで買い物をさせてやろう!!
コンチとアルベルトは店員の態度については同じスペイン人としても我慢ならないと言っていた。
日常的にそんな扱いを受けているのだろう。
日本に来た外国人達が日本人がカインドリーだと感じる大きなファクターは買い物したときの
店員さんの態度による物が大きいと思うのだが・・・。

コンチとアルベルトに何故日本旅行を思い立ったのかと聞いた。
コンチが若い時にドイツ語を習った先生が是非日本に行ってごらんと言っていたのを思い出して来てみた。
日本は滞在費が高くつくので、なかなか決心がつかなかったが、日本に来て本当に良かったと言ってくれた。
コンチもアルベルトも先生なので、子供達に日本について話をしてくれれば、
きっと日本に興味を持ってくれる子供も増えるだろう。

  みせんの頂上だ! 不消霊火堂の隣りが無人販売所

またまた話が脱線してしまった。
ロープウエイで下山し,紅葉谷公園を歩いて下る。
夕方5時頃で、曇り空なので紅葉の緑が太陽光に透けての美しさを見せる事が出来なかった。
「岩惣」のところまで下って川端を通るように細い道に入った。スペイン人4名はお喋りに夢中だ。
川端の石組みや植木の妙を見せてやろうと思ったのに・・・。
日本庭園の美の一端でもと思ったので4名を呼び止め少し鑑賞しろと促す。
赤い橋では写真を撮り始めたが・・・・。
少し下って千畳閣と五重塔へ案内する。千畳閣では必ず外国人達に説明するところがある。
縁の下の柱の根元である。自然石の基礎石の凸凹に添って柱の根元がカットされている。
匠の心意気を感じてくれーとばかりに力を入れて説明する。
しかし、何処の外国人もあまり感心はしてくれない。
石を平たくして根元も平たくすれば簡単なのに、バカじゃなかろうか?てな具合の反応なのである。
私にとっては心震えるほどの感動なのだが、あまり分かってもらえない。嫁さんにもあまり分かってもらえない。

  コンチ・アルベルトとスペイン人二人組み 五重塔の下

トンネルを抜けてすぐのもみじ饅頭のお店(藤い屋)にいつも立ち寄る事にしている。
ここはお茶のサービスがあって、紅葉饅頭一個でも緋毛氈の縁台で食べさせてくれる。
外の庭は大きくないが、よく手入れされていて立派な盆栽も置いてある。
池には品評会で賞を取ったような立派な鯉が泳いでいる。
「あの鯉は一匹300万円もするので、刺身には出来ない!!」と冗談を言うと、これは大うけであった。

 もみじ饅頭のお店(藤い屋)  藤い屋の庭園

宮島駅で二人連れスペイン人とお別れしようと思った。彼らは広島駅近くのホテルに泊まっている。
広島駅近くに温泉はないですか?と聞いてきた。
話をよく聞いてみると昨夜コンチとアルベルトを連れて行ったスーパー銭湯の事らしい。
アルベルトが電気を通す不思議な風呂が有ったり、強烈なジャグジーや色々な種類の湯船があって
人々がスッポンポンで入浴している事など話をしたらしい。広島駅近くにはスーパー銭湯はなかったはずだ。
宮島でスペイン人と会ったのも何かの縁なので、「スーパー銭湯に連れて行ってあげるので
泊まっているホテルの玄関に7:00に待ってなさい」という事にした。
電車で帰った彼らの方が早かったかもしれない。スペイン時間でなく、7時にはきっちり待っていた。

宮島からの帰りに彼ら二人を乗せて「ふかわの湯」に向かう。
二人連れに風呂支度をしておいでといったら、ちゃんとホテルのバスタオル持参してきていた。
100円入れて、下駄箱やロッカーのカギのやり方を説明。嫁さんたちと一時間後に出る事を約束して浴室へ。
お風呂の説明は一日先輩のアルベルトに任せた。サウナ風呂から出て水風呂へさぶんと入るのは私が手本を示す。
いきなり水風呂は心臓に悪いとばかり二人組は躊躇している。
私が日本語で「意気地なし!!」と挑発するものだから、バカにされているのが分かって意を決して入ってきた。
「ふかわの湯」で食事する。焼き魚定食やトンカツ定食を食べさせる。
風呂代は私が無理矢理支払ってあげたものだから、食事代は彼らが支払ってくれた。

 「ふかわの湯」 米粒つまんだよ! 

二人連れも我が家によってもらってお茶をする。
いつものように折鶴を教える。折鶴は外国人の大人も子供も大喜びする。
外国に折り紙の文化が有るのか、無いのか知らないが、皆さん喜んで覚えるまで2〜3羽折ることになる。
原爆資料館で見た貞子さんの物語の印象が強いのか皆さん喜んで覚えて帰ってくれる。
夜11時過ぎたので二人連れを送って行った。

 折り鶴講習  
7月20日(金曜日)
朝からしょぼしょぼ雨が降っている。今日は岩国の錦帯橋を見に行く事にした。雨の錦帯橋を見に行く事にした。
雨の錦帯橋も風情がある。河には船が出ていて釣りをしていた。雨に曇る錦帯橋と船と人と釣竿はなかなか良い風情だ。
コンチアルベルトのカメラで写真を撮ってやると、確認の為見ている。「タケシの写真は素晴らしい!」と褒めてくれた。
おお!!私の感性が分かってくれたか!!私は写真を撮る時いつも構図は考えるようにしている。
スナップ写真を撮るときもカメラをずらして、一番いい構図を決めてシャッターを押すのである。
「日本庭園は石組みを写真の中央なり、右隅なり左隅なりに配置して写真で切り取ればそれなりに
絵になるように作ってあるので、カメラをずらして一番美しい構図で写真を撮るように!とあるベルトにサジェッション。
分かってくれたかな?吉川公園を歩く。白へび館を見たいと言うので見に行く。
スペインの観光案内にも出ているらしい。私たちは初めて入館した。白い青大将達が長々とくつろいでいた。

   

   

広島市内に帰って何か買いたいものがあるか?と聞いたらお土産に南部鉄瓶と地下足袋が買いたいとコンチが言った。
私が見込んだ外国人だけのことはある。日本人形や漢字の書いてあるT−シャツやハチマキなどでないとは・・・・。
地下足袋は人力車を引いている車夫が履いているのを見たようだ。地下足袋なら作業服など売っている店に行って見よう。
地下足袋は3種類売られていた。お祭り用の白足袋、建築現場で履く安全靴タイプの地下足袋、植木職人が使う地下足袋。
コンチは散歩する時に使いたいそうだ。面白い事を考える女性だ。
あれこれ迷っていたが、植木職人用の地下足袋に決定。1600円也。
南部鉄瓶はソレイユで見たが、小さい物でも4000円はするので、おみやげ物代としては高いらしく買うのを諦めた。
家に帰って我が家に足の指が分かれた靴下があったのでプレゼント。
足の指が分かれた靴下を履いて見せ、足の指を動かすと、コンチとアルベルトにとって生まれて初めて見る
靴下だったのか大うけで二人とも笑い転げ廻っていた。
日本でありふれた物でも外国人にとってはめずらしく、大いに受ける(クール)物があるのだろう。
昨年秋に来たアルバロ父娘に寒かったのでホッカイロを貼ってやったら大いに喜んで
大量に買い込んだおみやげがホッカイロであった。一袋が10円位なので、手軽なお土産である。
スペインにはホッカイロのような暖房グッズはないようで、10円で一日暖かくしてくれるものに大感激であった。
海外に行くときのお土産にホッカイロは面白いかも・・・・。

 回転寿司
7月21日(土曜日)
今朝コンチトアルベルトは京都に行く。広島駅に送って行く車の中で気になることを聞いた。
「宮島で出会った二人連れはホモ?」 「イエス。夫婦です」と・・・・
少しナヨ〜とした方の若い男性が髭剃りの跡も青々としていたし、スーパ銭湯に入って観察しても、胸毛も黒々しているし、
別におっぱいが膨らんでいるわけでもない。
私が宮島で会った時、そう思ったのであるが、確信が持てなかったので、聞いてみたわけである。
コンチトアルベルトは「ヨーロッパではホモも夫婦として普通に成立しているわよ!」と言いたげであった。
嫁さんはエーッ!!エーッ!!」と絶句。全然分からなかったと、どうして!どうして!と質問ぜめ。
まあ日本では男同士が手を組んで歩いているのは見た事ないものなぁー・・・。
その内日本でも結婚を認めるようになるのかな?
コンチトアルベルトが「夫婦です」と当たり前のように言ったのが、心に焼きついた。

この三日間ビデオテープをウインドウズの「メディアプレーヤー」で見れるようにダビングしてプレゼント。
これが一番のプレゼントになるだろう。「必ず、必ずバルセロナに来て下さい!」と何度も念を押された。
嫁さんはいつものように、そして私もようやく慣れた「ハグ」をして分かれた。
彼らは学校の先生でかなりインテリジェンスを感じる夫婦だった。
そしてどこか日本人の感性も持ち合わせてる様にも感じる夫婦だった。
「日本の温泉に入ってリラックスしたので、きっとハネムーンベイビーじゃないが、ハポンベイビーを授かるよ!」と
励ましておいたのだが・・・・、
コウノトリが舞い降りてくるといいね。
(後日スカイプで話をして確認したが、温泉の効果は無かったようである・・・)

 朝食を作ってくれた