2000年3月ネパール紀行も書かないと!!忙しい!

2001年3  月   
3月18日(日曜日)別載
            
                      父母の恩

  ※縦でなく横に読んで行って下さい

 あわれ同胞(はらから)心せよ   山より高き父の恩            海より深き母の恩
 知るこそ道の始めなり       児を守(も)る母のまめやかに      わが懐を寝床とし
 かよわき腕を枕とし         骨身を削る哀れさよ           美しかりし若妻も
 幼子一人育つれば         花の顔(かんばせ)いつしかに     衰え行くこそ悲しけれ
 身を切る如き雪の夜も       骨さす霜のあかつきも          乾ける処に子を廻し
 濡(しめ)れる処に己れ伏す    幼きものの頑是(がんぜ)なく     懐中(ふところ)汚し背をぬらし
 不浄(ふじょう)をいとう色もなく  洗う日々に幾度ぞ            己は寒さに凍えつつ
 着たるを脱ぎて子を包み      甘きは吐きて子に与え         苦きは自ら食べるなり 
 幼子(おさなご)乳を含むこと    百八十こくを越すとかや        若し子の遠く行くあらば
 帰りてその面(かお)みるまでは 出(いで)ても入(い)りても子を偲ひ  寝ても覚めても子を念(おも)う
 髪くしけづり顔ぬぐい        衣(ころも)を求め帯を買い       美(うら)わしきものを子に与え
 古きを父母は選ぶなり       己れ生あるその内は          子の身にかわらん事思い
 己れ死に行くその後(のち)は  子の身護らん事願う           まことは父母の恵みこそ
 天の極まりなき如し        よる年波の重なりて           いつしか頭の霜しろく
 衰えませる父母を         仰げば落つる涙かな           あゝ有り難き父母の恩
 子は如何にして酬ゆべき     這(は)えば立て立てば歩めの親心 我が身に積もる老いを忘れて
 世を救う神や佛の心にも     似たるは親の心なり           起(た)てよ若人いざ起(た)ちて
 浮世の風にたたかれし      余命少なき二親に            夜半の寝顔を仰ぐ時
 見まごう程の衰えに        驚き泣かぬものぞなき          樹静まらんと欲すれど
 風のやまぬを如何にせん    子養わんと願えども            親またぬぞよあわれなり
 父母の墓石涙で拭いつゝ    父よ母よと叫べとも            何処(いずこ)に一人逝きますと
 胸かきむしり嘆けども       帰りまさぬぞ悲しけれ          父母は我を生むと云う
 土地は我を養うと云う       目にも見えず手に触れぬ        天地自然の恩を受け
 其の恩返して人となる       生きませる時慰めの          言葉交わして肩にあて
 どうか長生きしてくれと      誠心(まごころ)こめて揉みまつれ   孝は百行のもとゝなる