ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記

9月21日(金曜日)『インターネットカフェで・・・
毎日体育祭の練習に明け暮れている。明日はいよいよ本番なのでその準備をするらしい。
テントを貼ったり、机を出して並べたりする。掃き掃除もすると言っていた。
天気も良さそうだし、ホアンも思い出に残る体育祭となるだろう。
K−1で痛めた足も、少しづつではあるが、回復しつつある。まだ少しびっこは引いているが・・・。
組み体操の方も、先生が位置を変えて下さったらしい。
今日はK−1の稽古日だが、まだ足でヒット出来る状態でないので休むと言っている。

夕方ホアンはK−1に行かないので、今日は早く帰ってくるだろう。
私も早めに帰って夕食の支度をする。7時半ころ主人も帰って来る。
夕食を食べずに待っていたが、8時になっても、9時になってもホアンは帰って来ない。
何の連絡も無い。また皆でカラオケにでも行ったのだろうか?
でも22日体育祭の後、皆でカラオケに行き夜通し歌うんだと楽しみにしていたので
カラオケには行ってないはずだ。

まあホアンも行きたい所もあるだろうし、友達とも遊びたいだろう。
帰って来る気配も無いので、先に食べる事にした。

やんがてのほどに、9時半頃「ただいまー!」と帰って来たホアン。
「どうしたの??」と聞くと、インターネットカフェに友達と行っていたという。
夕食は?ハンバーガーを友達が10ケ買ってくれて、5ケづつ食べたと言う。
「気が付いたらなるべく連絡入れなさいね」と言っておく。
ホアンとしては、金曜日はいつもK−1へ行くし、帰ったら10時過ぎになる。
「でも僕はそれよりもっと早く帰った」と平然と言ってのける。
けれども、『今日はホアンK−1行ってない事を私達もわかっている』なんて事は
さっぱり頭からは抜けているらしい。
ホアンの頭の中は、すべて自分中心に事が動いていると思っているようだ?
ホアンを待つ事を諦めて、夕飯を食べたから良かったものの、食べずにお腹をぐーぐー
いわせて待っていた揚句の果てなら、怒りは倍増状態だ。

コロンビアでは恵まれすぎた家庭に育っているし、そんな事を全くきにするような
家庭環境ではないのだろう。
たぶん、ホアンが日本に居る間に、その事を理解させる事は出来ないと思う。
ホアンの人生で、その事を気に掛けずに生きていける事を望むだけである。

お国柄、育った環境でどうしても理解出来ない事も有る。
ホアンも人間的には全く申し分の無い素晴らしい子だ。
只もっと自分以外の人たちに対する気配りが出来たら、もっとステキなホアンになれるのに・・・。


9月22日(土曜日)『体育祭!fiesta de atletismo
今日は体育祭!朝少し起きるのが遅れてしまったホアン、私に送って下さいという。
体育祭本番に遅れるのもかっこ悪いし・・・と又私が甘やかしてしまい、学校まで送る。
開会は9時なので、一旦帰って出返る事にする。
ホアンの組体操の演技も11時頃になろう。

主人はとっくにパラに行ってしまった。しっかりビデオを撮ってやれよ!と言い残し・・・。

家の雑用をしていたら少し手間取って遅れたしまった。急いで出かける。
高校の駐車場は例によって高校を見下ろす高台にあり、学校まで少し時間がかかる。
日差しもきつくなり、汗をかきかき賑やかに音楽が響いている学校へと急ぐ。
歩く事10分、ようやく門にたどり着きプログラムをもらう。ホアンのが終わったのでは
ないだろうか?と心配になり『今何番目ですか?』と尋ねる。
『あ〜・・・良かった。後2番後くらいらしい』
急いで客席の方へ急ぐ。正面あたりに居ればよく見えるだろう・・・と思い、正面の客席に座る。
正面客席の近くに放送席が有り、平田君が(会長)アナウンスを担当しているようだ。

さあ!次がホアン達の組み体操だ。!入場門のところへホアン達2年生全員が並んで、
出場を待っている。

でもホアンがどこにいるかはさっぱり分からない。
グラウンドに並べば、ホアンは目立つのでわかるだろう・・・と思い、演技の始まった中に
ホアンの姿を一生懸命捜す。

   昔は男の子のゲームだった、棒奪い。lir corriendo al palo    女の子はここでも元気!!la patida de disputaron un palo

   う〜ん!重いよぅー!!tirar de la nuematico    わっしょい!わっしょい!!!Date prisa! !Date prisa!

   二年生全員の組み体操 ウエイブ masa interpretacion "Ola"    しっかりささえててよ!!"la pagoda"

   もう少し!もう少し、がんばって!!"equilibrado!"    うねうね・・・・大波だ〜!!La grande ola!

   ハイ!扇で〜す。el abanico    ハイ!見事ミラミッド完成!!La piramide!

演技はどんどん進んでいくのに、ホアンはなかなか探し出せない。
これはどうも後ろの方の様だ。ずーとビデオカメラを撮影しているので動く訳にも行かず
そうこうしている内に、とうとう演技は終わってしまった。
ついに、この演技をしているホアンを映してやる事が出来なかった。
まだ1〜2種目位は出場するだろう・・・・と思い、正面客席近くでアナウンスを担当している
会長こと平田君に尋ねてみた。
午後からの演技に出る様だ。板の上にボールを置いたのをシーソーみたいにトンと踏み込んで
跳ね上がったボールを箱で受けるという競技だ。

午前中の演技は終わって、皆さんはそれぞれに教室に戻りお弁当を食べる。
私もその間、ホアンの病院診断書が出来ているので、近くの病院まで取りに行く事にした。
門の所を出ようとすると、4〜5人の若者がたむろしている。よく見ると砂田君達だ。
お昼の弁当をパクついている。
『砂ちゃ〜ん』と駆け寄ると、「おばちゃん、どこにおったん?ホアンが捜しよったヨ〜!!」と言う。
かくかくしかじかで・・・・と集団演技のビデオを取れなかった事を砂ちゃんに話す。
午後からまた頑張って撮るわよ・・・と伝えておいて病院に行く。砂田君は午後から
新聞配達があるので途中で帰るよと言っている。

今度はちゃんと撮らないと・・・と思いながら、病院の診断書をもらい、再び学校へ戻る。
今日は秋晴れだが暑いくらい日差しが強い。
運動場もからから状態で生徒が演技する度に砂ぼこりが舞い上がっている。

砂田君ともう一度話をしていると、向こうからホアンがまわりに沢山の女の子をはべらしてこちらに
やって来る。ホアンは女の子にもてもての様子だ。
近くに越君も居る。『ホア〜ン!!』と手を振ると『あ!おかさん!!』と越君と2人して言ってくれる。
『おかさん、いつ来たー!!』と午前中顔を見なかったので怒っている。
ホアンをとりまく女の子達をカメラに収めさせてもらう。
ホアンはやさしく、明るいのでいつも沢山の友達に囲まれている。

日本に来る時、ボゴタの空港一杯にホアン見送りの関係者であふれかえったので
空港の係員が『あなたは有名なシンガーか何かですか??』と聞かれたほどらしく
今のホアンを見れば全く!と納得出来る。

   ホアンの大の友達砂田君 el amigo "Suna-chan"    ホアンとステキなクラスメート+砂ちゃん。"Juan con mucho amigos"

   私達だけで撮ってぇ〜!! ellas gustan mucho Juan!    ホアンと僕の大の友達 レイナ! La amiga "REINA"

皆さん運動場にそろって、午後の演技の開始だ。
ホアンのシーソー玉いれゲームが始まり、『よし、今度こそ!』とホアンが良く見える場所に
陣取りビデオカメラを構える。
2人一組になり、長い板の上の端に置いたボールを男の子がポンと踏み込み
上に跳ね上がったボールをダンボールの箱に女の子が受け取るというゲームだ。

ホアンとかわいい女の子が走ってボールのところまで来た。
ホアンがポンと板を踏み込むと高くボールが上がった。でも女の子がダンボールを
もって構えたが板にけつまづいて転げそうになり、一回目は失敗だ。
もういちど、ポンと踏み込む。今度は上手く行った。
2人仲良く走って戻り座る。このゲームは、なるべく高くボールを蹴り上げるのがコツのようだ。

ホアンが出場するのは終わった。由也が対抗リレーに出るようなので、正面に移動してみる事にする。
クラス対抗は本人がいくら足が速くても、最初のスタートと後続の選手が頑張って
バトンを手渡してくれないと、順位は悲しい事になる。

最近高校では、、次第にこの体育祭なども無くしていく傾向にあるようだ。
私達の小学校時代と比べると、種目も俄然少なくなったし、練習日数も少ないようだ。
私達は一ヶ月も前から毎日毎日練習に明け暮れていたように思う。
種目も多く、男の子はきまって騎馬戦や、棒奪い、帽子取りと言った勇壮なゲームをし、
女の子集団での踊りとか借り物競争といったゲームをしていたように思う。
”運動会の花形!リレー”は何十年経っても捨たらないようだ。

それにしても、棒奪いのような演技を今では女の子がやっている。
時代反映だろうが、やっぱりここでも元気なのは女の子!のようである。

   僕上手くボール踏み込めるかなぁ〜??Ahola Juan toca el turno    あ〜あ、いよいよ僕達の番だ!!Vuelva usted pronto!

   ホイ!うまく取ってよ!Juan pego una patada a la pelota    あ〜ぁ 上手くいった!上手くいった!!Todo va bien!

   安芸府伝統の体操、太鼓に合わせてハイ!El toca el tambor    いち にっ! いち にっ! hacer tradicional gimnasia de la escuela

   ハイ どうどう!ハイ どうどう!こけないでヨー!!despacio!    早く!早く! Carrera de obstaculos!

   おい!しっかり走ってくれヨ!!llevar amigo a cuestas    急がすから転げちゃったじゃないか〜!!Dios! el tropezo con una piedra

   うれし、恥ずかし フォークダンス!!La musica folklorica!    クラス対抗リレーを終えた由也。お〜!足痛て〜!!el amigo "YUYA"

全ての演技、ゲームが終り、得点発表があり校旗が降ろされ、体育祭も終わった。
校庭に全校生徒が揃い先生のお話を聞く。
私が正面あたりに居るのを見つけて、『おばちゃ〜ん』と由也かだれかが、呼んでくれる。
それを見てかわいいので、思わずビデオカメラを構えて撮ってやる。

ホアン達は体育祭無事終了を祝って夕方海へ行くらしい。カラオケかな??
ホアンに携帯電話を渡そうと待っていたが、生徒達はそれぞれ先生の指示でテントを片付けたり
机をしまったりし始めた。関係者以外は校庭より外に出て下さい」と再三にわたりアナウンスされ
そのまま校庭に居られなくなってしまった。駐車場の車の中でしばらく待った。
由也に連絡をとったりしてみたが、結局ホアンに会う事が出来ず私は家に帰る。

ホアンの今日の体育祭は初めてにして最後の経験になるが、きっと良い思いでとなるに
違いない。

今日は思う存分楽しんでくるといい。

9月24日(月曜日)秋分の日 dia m del equinoccio de otono
今日は祭日。何となく毎日は矢のように早く過ぎて行く。多分今はホアンもそんな思いでいる。
日本に来て夏休みを境に楽しくなってきたホアン。毎日帰りたくない!帰りたくない!を連発している。
残り後120日余りだ・・・・とため息ばかりついている。
その思いは私も全く一緒である。『考えない!!考えない!!』と顔を見合わせる。

夕べ越君から電話あり、我が家に遊びに来るという。
「私は主人とパラグライダーに行くよ」と言うと、どうしても居て欲しいと懇願するホアン。
そうよね、お昼でもご馳走して、ホアンの友達の事や二年二組の事話そうか・・・・。

今日お昼過ぎに来る予定なので、お昼の材料の買い物に出かける。
当のホアンはいい気なのもので、まだ夢の中だ。

夕べ遅くまで越君と電話していたので、私達は先に蒲団に入った。
友達が何時に来るとかホアンは何にも言ってくれていない。
仕方なく朝越君に電話して聞いてみた。
お友達のれいなちゃんも一緒だと言う。じゃー2人来るんだ・・・とその準備をする。

昼過ぎ、団地の中で道に迷ってさまよう越君から電話入る。
ホアンと車で2人を捜しに出かける。
越君は以前ホアンの誕生日に一度来ているが、なにせ路地の多い団地だ
迷うのも仕方無い事だ。ホアンは『越!何処へ行ったぁ〜!!』と車の中で叫びながら
キョロキョロしている。
しばらくしてようやく団地の中でボーと途方にくれた様子の二人発見!!。
『あ!居たい、居た』行き過ぎてUターンをし迎えに行く。嬉しそうに手を振る2人。安心したようだ。

れいなちゃんは初めてだ。「おばちゃんにも会いたかったから・・・」と嬉しい事を言ってくれる。
お昼ご飯はトンカツと私の唯一自慢出来るベーコンとジャガイモのスープ(これは以前交流していた
オーストラリアの方から習った料理)を作った。
越君もれいなちゃんも美味しい!美味しい!と感激して食べてくれる。
越君などは普段小食だというのに、トンカツは大きいのを2枚、スープはお代わりをして
はちきれる程食べてくれた。こんな純粋無垢なので私はとっても嬉しくなる。
当のホアンはお友達が遊びに来てくれて、ほんとに嬉しかったようだ。

   ホアン家に遊びに来た越君レイナ Me llamo Reina、encantada! Soy Koshiyama. mucho gusto.!    コロンビアのおかあさん!僕が”越”でーす。Tengo humbre.

   前にもきたんだけど、迷っちゃったよ!Juan no puede come!    越君ったら、あっち行ったり、こっち行ったりなんだもん!"REINA"

   あ〜あ!僕今日最高に幸せー・・・・! Muchas gracias!    ホアンは強いよな〜!!jugar al Go-Narabe!

クラスの事や夏休みの事等沢山話しながら昼食がすすむ。
「もう、お腹一杯!」と2人は居間の方でくつろぐ。2人共ちゃんと自分の食べたお皿、お茶碗を
流しに運んでくれる。
安芸府の生徒さんは本当にしつけも行き届いて気持ちいいと感心する。

ホアンと越君は碁盤に向って五並べを始める。れいなちゃんはとなりで手持ち無沙汰にしているので
二階に呼んで私と仲良くおしゃべりをする。れいなちゃんもとってもかわいい子だ。

それぞれに話をしたり、ホアンのパラグライダーのビデオを見たりして時を過ごす。
秋の日はつるべ落とし。そろそろ外も薄暗くなり始めた。
主人の帰る前にと、越君とれいなちゃんをそれぞれ駅、矢野まで送っていく。

れいなちゃんは『おばちゃん、また来ていいですか?』とどうやら気に入ってくれたようすに
私もうれしくなり『ええ、いいわよ、いつでもいらっしゃい!』と約束する。

思わぬ訪問に楽しい一日を過ごした。
2人の訪問でちょっと夕ご飯主婦業をさぼったので、皆でホアンの好きなスーパー銭湯に行く。

ホアンも今日はあまり食事を取っていないのでお腹空いたのだろう、お風呂の食堂でカツどんを
ペロリとたいらげた。
ホアンも嬉しい一日だったようだ。

9月25日(月曜日)体育祭の代休』
今日はホアンは先日の体育祭の代休だ。夕べ友達から海へのお誘いの電話があり
午後から出かけて行く。
起きる自信の無いホアンは12時に電話で起こして!と軟弱な事を言う。
遊びに行く時まで私が起こさなければならないの!?!?

・・・と怒りながらやっぱりホアンかわいい私は12時受話器を取っている。
3度位鳴らすと起きていたのだろう、「ハイ、モシモシ・・・」とホアン。
夜は寒いから暖かくして行きなさい・・・と伝える。

この間の残りの花火をするのだと言っていた。
日本語がよく分かるようになったホアンは、今は何をしても楽しいのだろう。

明日が学校なので、『最終のバスでは帰るように』と主人がホアンに言ったので
ぎりぎり12時近くなって息を切らせて帰って来た。
主人「待っててられない」と先に寝てしまった。
2年一組の体育祭打ち上げ・・・とか言っていたが、参加したのは聞いてみると
いつものメンバーの様だ。
由也君のマンションの下で、残りの花火を使いきり、後は由也の部屋で音楽を聞いたり
おしゃべりをして過ごしたらしい。

これで秋の行事も一応終わり、2年生達は決めた進路に向って勉強に励むのだ・・・。
先日ホアンも皆さんと同じ様に、進路指導の調査書や全国大学一覧というような
分厚い冊子をもらって来ていた。

ホアンもコロンビアへ帰れば3年生だ。そして希望しているアメリカか日本への大学に進むべく、
日本の学生と同じ様に一生懸命勉強しなければならない。
出来る事なら日本の大学を希望してまた再び日本に帰って来てくれればいいのになーと思う。
今、二年二組のクラスはホアン中心に動いているような感じで、ホアンが居なくなると
どうなるんだろう・・・・と越君もれいなちゃんも心配顔だった。
ホアンは今、クラスメートとの交流を思いっきり楽しんでいる。
9月2日(土曜日)ホアン学校でスピーチ!pronunciar un discurso』
今日はホアンは学校がある。午後から高校生活についてスピーチをするそうだ。
朝はまだ何を言うか考えていない様子だった。朝学校で考えるのだろう。
まったくのーてんきなホアンである。
主人はきまって『起 承 転 結 だぞ!』と伝えていた。

夕べ砂ちゃんから電話があった。夕方ホアンを誘って遊ぶらしい。
ホアンも楽しみにしている。たぶん夕方から出かけるので朝帰りになるかもしれない。
私は長い事田舎に行っていないので、久しぶりに母をたずねてみる積りだ。
たまには私達がいないほうがホアンも羽を伸ばせるだろう・・・。

主人も明日が天気が悪いらしいので、今日は朝早くから飛びに出かけた。
掃除や家事を済ませて午後から出かける。
ホアンにはメッセージを置いておく。ホアンは寒がりなので「夜は寒いから暖かくして出かけなさい」と。

田舎に着いて、ホアンの帰っているだろう時間に電話してみる。
『おかさん??』とホアン。『おかさんは今ね、おかさんのおかさんの家に居るからね』と伝える。
『おかさん、帰るー?』と聞くので、わからないと言っておく。
多分いつも兄嫁さんばかりに迷惑をかけているので、留まって労をねぎらってあげたいと
思っている。
夕方パラグライダーを追えて主人が、ホアンの持つ携帯に電話をいれる。
おかあさんはどこ?と聞くと『おかさんはおかさんのおかさんの家』とちゃんと答えたそうである。
ホアンは本当に良くわかっている。

田舎の夜はとても冷え込んだ。遂に寒くてファンヒーターを出して来てしまった。
夜は毛布に大蒲団を掛けて寝る様だ。ホアンが来ていたら震え上がっていただろう・・・。

夜寝る時、私の携帯を持ったホアンに心配するといけないので、メールを打っておく。
『ホアンへ: こんばんは ここに とまる。ひとりになるけどごめんね』と書いた。

・・・・スピーチの事・・・
後でホアンのスピーチの成果を聞いた。
朝早めに学校に着いたホアン、早速授業の始まる前に考える。
大学ノート(B−5版)一枚に自分の構想を書く。
全部書いた後、少し離れた席の越君に見てもらう為、その紙を友達を通して廻してもらう。
受け取った人はそれぞれにホアンの書いたスピーチを見ていちおうにびっくり!
皆それぞれに”すごい!”を連発したそうだ。
越君が一・ニヶ所、文章を直してくれたそうだ。そして最後の文章を少し考えてくれたそうだが
90%ホアンの文章でOK!

午後1時半からホールに集まった国際科の生徒、そして外部から中学生が100名余り
聞きに来たそうだ。ハンガリーの女の子やタイからの留学生もスピーチをしたそうだが
彼女達は日本に来て日が浅いので、まだたどたどしいスピーチだったようだ。

ホアンの番になり、最初は自己紹介「こんにちわ!僕の名前はホアンです。コロンビアから来ました」
日本に来てから呪文の如く言って来た日本語なので、すらすらと言う。
そして自分が最初はコロンビアに帰りたかった気持ち、コロンビアに帰りたくなくなった気持ち
をスピーチに盛り込んでいた。途中ちょっとつかえてしまった時、クラス皆が”ホアン!ホアン頑張って!”と
ホアンコール
が起こったそうである。そしてそれを聞いたらますます舞い上がって、少し間があいたが、
どうにか、難なくやり終えたと言っていた。
ホアンコールなんて、やっぱりホアンはみんなに愛されているんだな〜・・・!と痛感した。

ホアンは『これ!』と言って自分の書いたスピーチの紙を見せてくれた。
”すごい!”全部日本語、そして所々に漢字も入っている。

きれいな文字が並んでいる。はっきり言ってこれは主人のみみずの這ったような字よりも
よっぽどキレイ。クラスメート達がびっくりするのも納得出来る!

私達もなかなか原稿を書こうとしないホアンを心配したけれど、やっぱりホアンは頭のいい子だ、
ちゃんとその場になれば難なくやってしまう。
ホアンにとって夏休みに皆で海に行ったりして遊んだ事は強烈に自分を変えた事だったようだ。

こうしてホアンのスピーチは大成功に終った。ホアンおめでとう!よくやったね!!
9月30日(日曜日)
今日は朝から雨。田舎ではヨークシャーテリアのワンちゃんが早くから兄嫁さんを
起こすので、母も兄嫁さんも早くから起きている。
私はホアンと一緒で寝たろうさんなので、主人に起こされるまで寝てしまっていた。
夜勤明けの兄に『いつまで 寝とるん!』と言われてしまった。
とにかく起きて朝ご飯だ。夕べホアンは帰っただろうか??

田舎もすっかり秋の気配が色濃くなってきた。
近くに有る栗の木も沢山の実がついて、もうポロポロと実った栗が落ちている。
剥くのは大変なのに、つい茶色のつややかな実を見ると拾ってしまう。
いちじくももうすぐ”ぱかっ”と口を開けそうだ。

兄は近くの山にマツタケが出ていないか捜しに出かけて行った。
私が小さい頃は毎朝父が沢山沢山のマツタケを採って帰って来ていた。
山も炭焼きをしたり、常日頃から山にも手を入れていたので、マツタケも沢山出ていた。
近年ではほとんど山に入る事もないし、手入れなどしないので、マツタケも全然出ない。
5本も出ればいいとこだ。山から兄が携帯電話してくる。
ねずみ茸が沢山採れたそうだ。ネズミ茸というのは、ほうきのような
形で薄いベージュ色のきのこだ。こうたけも少し有ったそうだ。

今日は朝から雨模様なので、主人は田舎に居てもなんだか手持ち無沙汰。
ついにお昼ご飯も食べず、会社に行ってパソコンをつつくと言い残し田舎を後にする。

お昼ご飯は、兄の持ち帰ったきのこ料理に舌鼓を打ち、私も、ホアンの事が気になり
広島の自宅に帰る事にした。