ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記

8月21日(火曜日)
『K−I道場へ lucha cuerpo a cuerpo』


今回の台風は大変速度が遅い。
最初の進路よりだいぶ右にそれたので、中国地方直撃!は免れた。
ホアンはコロンビアでは地理的に台風の経験が絶対出来ないので
不謹慎にも『台風 来い!来い!』と念じていたようである。

テレビで11年前と似た台風だと、その当時の様子を画面で見ると
『すご〜い!!』と目を丸くしてビックリの様子。
そんな規模の台風が来るんだと、内心喜んでいたホアンだったが、
『台風、行ってしまったよ』と説明すると、口をとがらせて”つまらない”と言った
表情をする。

今日もホアンはぐっすりと昼過ぎまで寝たようだ。
「早く普通の生活パターンに戻さないとね」と言ってやるのだが・・・・。

夕方はK−1の稽古日だ。
私の帰りと入れ違いに、意気揚揚とK−1練習に出かけて行った。

7時過ぎ速い帰宅の主人。「腹減ったー!」と言うが、ホアンの帰りは10時頃だ。
「先に食べる?」と聞くと「いや、待ってやろう」と優しい主人である。

お風呂に入り、テレビを見ていると、「ただいまー!」と元気に帰って来る。
鼻を”ご〜ん!”と蹴られて痛い!と言っている。
今日はこんな事をした・・・と話すホアンの目は生き生きとしている。

K−1道場では、すわって休憩を取っている時、先輩の人が今日はホアンに話し掛けられ、
『さっきのパンチはすごかった!』とか『いつまで、いるの?』と話かけて下さったと
嬉しそうに話すホアン。
広島駅の前で同じ道場の人がホアンに”オッス!!”と挨拶され、ホアンも
誰に言われたのかー??と思ってあたりをキョロキョロしたがそれらしき人は自分だけ。
おお、自分だ!、とっさに思い、”おっす!!”とご挨拶を返したそうである。
それに引き換え、安芸府空手は自分が”おっす!”と言っても、し〜ん!なのだそうだ。

結果、何をやっても人間関係が楽しければ、きっと続くに違いない。

夏休みが終わって2学期が始まっても多分続けていくだろうな〜・・・。
と期待と未だ少し不安の私達である。
8月22日(水曜日)『インターネットカフェへ・・』
今日ホアンは一時半にLPのNさんの自宅を訪問する予定になっている。
自分で11時半に時計をセットして寝たホアン、ちゃんと起きるだろうか??

ホアン達留学生は日本に来てどれだけ漢字を覚えたかを試す「国語漢字テスト」
12月に受けるらしい。
先日願書を買って来たがすべて日本語なのでLPの方に書き方を指導して頂く。
願書の提出が9月始めなので忙しい。
試験は4級から2級まであり、2級は日本人学生が受けるのと、レベルは一緒位難しいんだ!と
ホアンは言っていた。ホアンは3級を受けてみるという。

壁に貼り付けた、一枚に100個の漢字を書く私手作りのホアン漢字表は、80で止まったままだ。
夏休みになって遊ぶのが忙しいので、ホアンの勉強する姿を見たことが無い。
彼も一夜漬けの口だろうか???

今日は私はリズム体操の稽古日だ。夕方家に帰るとホアンは未だ帰っていない。
携帯持たせたので、電話してみる。「ホアン、今何処ですか?」
「はい!インターネットカフェです。もう終わりました、今から帰ります」とホアン。
「おかさん、お稽古で出かけるから、ホアンまだ居たかったらゆっくりしていいのよ」と言うと
「ノー、大丈夫。今から帰ります」と言う。
電話を切って直ぐ帰ったのだろう、私の出かける前には帰って来た。
インターネットカフェは駅のK−1道場の近くに有る。
涼しくて、飲み物も飲み放題なので、沢山の若い人が利用しているそうだ。
ホアンもコロンビアの両親や、友達等、8人の人にメールを送ったと言っていた。

「コロンビアの両親にメールしたい時は、事務所に来て、どんどん打ちなさい」と主人はホアンに
言っていたが、やはり自分で自由にのびのびとメール出来るので、その方がホアンにとっては
うれしいのだと思う。
ホアンが教えてくれたメールアドレスに打ってみたが、デリバリーサービスからUnknownnで
帰って来てしまった。
ホアンにその事を言うとコロンビアや日本に来ているAFSの友達等には遅れるのに
彼の友達、越君も、ホアンへ打ったメーは、帰って来ると言っていたとホアン。
何が悪いんだろう???

ホアンを残し私はリズム体操の稽古に出かける。
8月23日(木曜日)
『夏休み最後の海 ir a la playa』


今日は2年1組と2組で海に行く予定。コスタリカのエリックも誘った。
朝10時半過ぎに駅でエリックと待ち合わせしているという。
朝起きるかどうかが心配だが、どうしても起きなければならない時は多分ホアンは起きると思う。
朝起きてみると、自分でちゃんと手のたわないような場所に、目覚し時計をセットして置いている。
絶対に行かないとエリックが路頭に迷う事になる。
多分ホアン今日は起きるはず!

お盆過ぎると海の水も急に冷たくなる。
今日は2クラスだからきっと賑やかな事だろう。

ホアンも日本に来て、四季折々の感覚を敏感に感じてくれるのではないかと思う。
コロンビアは一年を通して同じ気候なので、こうして、春から夏、夏から秋へと
移り変わる日本の風土、季節はきっと面白いと思うだろう。
お国柄によっても違うが、寒い国に住んでいる、ラトビアの女の子などは、来た当時、
ホアンがもくもくとしたジャケットを着込んでいるのに、彼女は薄いシャツだけだったそうで、
ホアンを見て笑ったそうだ。
彼らの来た3月中旬は、彼女にとっては寒いなどとは感じないのだろう。
それに引き換え、年から年中、暑い南米グループは”寒い!寒い!”と震えていたそうだ。

これから秋ー冬にかけて来た時よりもっと寒くなるよ〜と脅かすと
日本の冬に早くも恐れをなしているホアンである。
それでも、「雪、見た〜い!見た〜い!」と」叫んでいる。

今日の海の水、温度は何度くらいだったろう??
8月25日(土曜日)
『AFS福山ツアー acampar en las SERA』


朝8時半に広島支部長の堤さん一家がホアンを迎えに寄られる。
今日はAFS広島支部、安芸支部、福山支部合同で松永の履物館見学と
世羅西の青少年キャンプ村でキャンプである。

お盆を過ぎて、秋の気配も漂い始めた。世羅のキャンプ村は私の里のすぐ近くである。
今晩あたりはきっと寝るときは寒いかもしれない。

いつものようにおっとりのホアンは支部長さんの来られた時は未だお風呂でシャワーだ。
「すみませ〜ん!」と言うと「大丈夫です、まだ2〜3分早いですから・・・」と慰めて下さる。
車の中では、堤さんの奥様と一粒種のぼっちゃん、それに、マレーシアのPo Coonが
乗っている。
ホアンがシャワーを終えて出てくるのを待つ。
「もう堤さん、来て待ってらっしゃるのよ!」と言うと、ホアンあわててばたばたと
カバンにタオルを突っ込んで、玄関に走る。まだ頭の中は睡眠中の様だ。

広島東インターから乗って福山へ走られる。
「楽しんでいらっしゃい!」と見送ると、車の中からニコニコっとやさしい目で微笑み返すホアン。

夕べは、広島平和教育を受けた感想文をホアンに書かせた。
A4用紙に一枚、文字数にすれば、ほんの100文字位の感想文なのに、なかなか書かないホアン。
業を煮やして遂にLPのNさんからはっぱをかけられる。
台所の机について、しばらく「何を書こうか〜・・・・!!」と宙をにらんで、ぶつぶつ言っている。
「祈念式典に参加したでしょう?、語り部の方の話を聞いたんでしょう?
記念館の資料を見たんでしょう?、コロンビアの国と比較してもいいし・・・・」等とヒントを与えると
ようやく別の白い紙に、英語で書き始めた。

海に行ったり、遊びほうけていて、どんな事をしたのか中に忘れてしまっているホアンである。

「おかさん、出来た!」と言うので、今度はその英語をホアンの解説をまじえながら、日本語で書く。
そして、仕上げにホアンが私の日本語をA4の与えられた紙に清書する。

ホアンの書いた内容は
「私は子供の頃、日本について、原爆とか第二次世界大戦等について習いました。でもそれは
物語としか思っていませんでした。今回日本に留学して、もっと詳しく原爆についてしる機会を得ました。
そしてその事が現実であると知り、深い驚きと悲しみにおそわれました。資料館では、沢山の写真や
展示物があり、原爆の恐ろしさを訴えています。
今でも沢山の人々が原爆の後遺症で、苦しんでいる事も知りました。
今回の平和教育はAF生や私にとって、大変貴重な体験でした。
私達はこの事をずっと忘れてはならないと思います・・・」
とこんな内容の事を書き綴っていた。

やれやれこれで、明日堤さんの方へ提出出来る・・・。
その気になれば、ほんの10分位あれば済むのに・・・・とイライラの私である。

朝、元気に出かけて行ったので、私は少し横になって休む事にする。
未だ私の頭の中も睡眠中である。
主人が出かけて、少しうたたねをしていると、いっちゃんのお母さんから電話だ。
「パラグライダーに行こうの電話かな?」と思って電話に出ると、
「ちょっと、今から行っていいですか?」と言う。
「どうぞ!どうぞ!」と誘うと、ほどなくいっちゃん連れてやってくる。
「私は夕方頃、田舎に泊まりに行く予定なので、ゆっくりしてちょうだい・・・・」と言うと
彼女もなかなか子育て等について、悩みを打ち明ける人がいないので、
いろいろ困っている事など話をして、昼前に帰って行った。

少し頭もシャキッとしてきたので、一通り掃除機をかけたり、主婦仕事をする。

夕方田舎へ行く。今日はホアンも世羅西のキャンプ場で泊まる。
今日はバーベキューするのかな?カレーかな?主人もパラを楽しんだ後で田舎の方へ来るだろう。

私の田舎は既に過疎の村と化している。あたりを見回しても、母のような高齢のお歳よりが多い。
若い人も、働きながら、土日には田んぼ仕事に精出している。

こんな過疎の地ではあるけれど、田舎へ帰るとほっとする。ここは私達にとって避暑地である。
縁側に座って、ひんやりした空気を吸い、ぼーとした時間を過ごすのが好きだ。

夕方すこしパラっと雨模様。
ホアン達今夜はきっと”寒い、寒い!”とふるえているかもしれない。
季節は確実に秋へと移ろいでいる。
8月26日(日曜日)
『梨とひまわりとわらじ pera,mirasol y el calzado』


今日私はお花の会合があるので、早々に里においとまし、広島へ帰る。
朝方はすこし雨がぱらつき、曇っていたが、次第に日が差し込み天気が良くなってきた。
こうなったらじっとしてはおれない主人。朝食を終えてさっさと出かけて行く。
私もその後を追って広島へ戻って来る。

ホアン達はお昼に世羅西を解散予定だが、多分支部長さんが他の色々な所に
ホアン達を連れて行かれるかもしれない。
帰りは自宅までホアンを届けて下さるので安心だ。

台所のメモ帳に、帰ったら携帯に電話しなさい・・・と書いておいた。

夕方4時過ぎお花の方は終わった。まだホアンからは連絡が無い。
市内を少しウロウロしていると、5時半頃携帯がなる。
「おかさんですかーホアンでーす」「いま、かえた!」とホアン。
「ホアン、今からマウスピース買いに行こか?」と聞くと「今から?」
「おかさん、いったんそっちに帰るから、一緒に行きましょ!」 ホアン「OK」

急いで家に帰ると、「おかさん、これ!」と手作りの『わらじ』と『大粒の梨』そして
直径20センチもあろうかとおもわれる『ひまわり』だ。
沢山のおみやげねー!
ワラジは一足は自分で編んだ物。
もう一足は先生作でみてくれも良く、藁を布でコーティングしてあるわらじだ。
ホアンは自分で編んだその”わらじ”をはいて、”忍者”だと肩をいからせて歩いて見せる。
ホアンが歩いたあとは、絨毯に藁のしべが一杯ついている。「ひゃー!!」と私。
歩くのは外!外!

マウスピースのお店が7時に閉まってしまうので、ホアンを伴い、スポーツ店に出かける。
今日はおとうさんもお友達と食事だから、ホアン私達も何か食べて帰りましょ!

夕飯をホアンにまかせたら、”マクドナルドの店”に連れて行ってくれた。
「おかさん、こんな所来た事ない!」と言うと、うれしそうにホアンが一番気に入っている
チーズバーガーとポテトをオーダーしてくれた。しかも二つ食べて下さい!と言う。
頑張って食べてはみたものの、最後半分残ってしまった。
ホアンはあっという間にペロっとたいらげてしまっている。
ポテトはこうして食べるんだよ!とスティック状の揚げたポテトを3〜4本指でつかみ、
先端にケチャップを付け、美味しそうに食べるホアン。
私も真似をして食べる。意外に美味しかった。

サンモールのCDショップでホアンお気に入りの三木道三の「一生、一緒にいてくれよ!」
とかいう曲のCD、私は歌田ひかるの今ヒット中の『FINAL DISTANCE』を買って帰る。

早速ホアンは三木道三のCDを聞いている。
お風呂に入ったりしていると、12時近く主人帰って来る。
ホアンのキャンプの事やわらじ作りの話を聞く。
世羅西のキャンプ場では、エリックもホアンもこんなだったよ!と歯をガチガチさせて寒かったというしぐさ。
「梨刈りにも行ったよ」とホアン。
ホアンと色んな話をしていると、あっという間に時間がたつ。時計はああ!2時だ。
寝ましょ、寝ましょ!私達は2階に上がったが、ホアンはまだテレビを見るという。
早く普通の生活に戻さないと、学校もうすぐ始まるよ!というと「だいじょぶ!だいじょぶ!」とホアン。

またまた朝ホアン起こしの戦いが始まるのか〜!!。

   K−1のグラブです!     さあ!!どこからでもかかっておいで〜!!

   このマウスピースちょとむつかしい〜!!    フフフ・・・ホホホ・・・・ふがふがふが・・・・

          マウスピ−スをいれた変な顔のホアン extrano el rostro
8月27日(月曜日)
『睡眠15時間 Juan duerme hasta las seis de la noche』


夕べも遅くまで起きていたんだろうな〜!
ずっと下で寝ていたけれど、2〜3日前から自分の部屋のベッドで寝るようにはなった。
夜も涼しくなったきたので、休み安くなったようだ。

夕方私が帰ると必ず「おかえりー!」と出て来てくれるホアンが今日は声が無い。
居ないのかな?と思ったが玄関はあいている。
荷物を抱えて、上がって行くと、台所でラーメンにお湯を注いでいる。
「おかさん、どうして今帰った?」とんちんかんな事を聞くホアン
何を言っているのかわからず、「何?何?」と私。
時計を見たホアン、ぎょ!!と目を丸くしてびっくりの顔。「ホアン、今起きた!!!」と、こうだ。
ほんとに?!!丸一日寝たの〜!!!空いた口がふさがらない!!
今夜主人から雷を落としてもらわないと、性根の直らないホアンだ。

さてさて!私は今それどころではない。この私がテレビ出演する事になってしまった!。
私の先生が急遽東京に行かれるので、その代役を仰せつかったのだ。
RCCの「ときめきストリート」いう番組の中で、家庭園芸を取り上げた中の一部で
生け花を取り上げるらしい。
身近なお花を使って、だれでもお花が生けられるという事を視聴者の方に訴えるのだ。
「ああー!どうしよう!」こんな経験初めてなんだから、胸はどきどき!頭はパニック状態だ。

何を生けるか今晩考えなければ。放送は水曜日、明日収録に来られるそうだ。
ホアンにその事を伝えると、「越君や由也に連絡する。エリックにもいわなければ・・・」と
言っている。

夜の内に大体の構想を練る。花器や花材を何にするか考えて、明日花屋さんに行こう。
身近に有る花材を使って!という事なので、お庭に有るぎぼうし、のうぜんかずら、えのころ草
等も使ってみる事にした。
玄関、床の間、台所、食卓、トイレ等に気軽に飾れるという事がテーマらしい。
さてさてどうなる事やら。

「ホアンもビデオ撮り手伝ってね」と頼む。

あーあ!明日は忙しくなりそうだぁ〜!!
8月28日(火曜日)
『撮影隊来られる salir en la television』


今朝は早く(いつもだけれど・・・)目が覚める。
朝食を済ませ、仕事に出かける主人を見送り、さあ、掃除だ!。
居間や台所にある雑多な物を全部2階に持って上がる。

今日は2時半頃、RCCの『ときめきストリート』のディレクターの方やカメラマンの人
照明の人、そしてレインタービューアーの女性と4人の方が見えるそうである。


市内の行きつけの花屋さんにお花を算段に行く。
ディレクターの方がどんなふうに撮られるのか、どんな形で進行されるのか
まったくわからない。準備だけしておいて、来られるのを待つ事にする。
ホアンはまだ曝睡中だ。来られてから起こせばいいかな??等ととりとめもなく
考えながら、落ち着かない。

季節は秋。おみなえしやなでしこ、リンドウと言った秋の花材を沢山使うようにした
トークの中でこれだけは言おう!と秋の七草を取り上げた。
万葉集に有る山上憶良の歌2種である。
『秋の野に咲きたる花をおよび(指折)より、かき数うれば七種の花』
『萩が花、尾花、葛花、なでしこの花、女郎花(おみなえし)またふじばかま、朝顔の花』

尾花はススキ、朝顔は今で言うあさがおの花ではなく、当時は桔梗かむくげの花を
言ったものらしい。
とちってはいけない!と思い、口の中でもごもごと呪文のように唱えては練習だ。

そうこうしていると、2時過ぎ、「今、府中の方に居ります。後20分位で伺います」と電話が入る。
ああ〜ぁ!遂に来られるのか・・・・。どうしよう!

冷蔵庫に冷やしたカルピスをコップに注ぎ、居間のクーラーを少し強くしておく。
しばらくすると、タクシーが玄関先に着く。ええー??タクシーで?
急いで出迎えに出て見ると、タクシーの中にはびっしりスタッフが乗っておられ
大きなバッグを抱えて降りて来られる。中の一人はインタビューアーの女性。
まあ!可愛い方!目のくりくりっとした明るそうな女の子!というイメージ。
ディレクターの井上さんという方はどっしりとした大きな体格の方だ。
あとカメラ担当の人、そして照明担当の23歳の若い青年だ。
お互いにご挨拶を交わす。

目のくりくり!の彼女はレポーターさんで臼井美貴さん。
一週間の内「ときめきストリート」のようなレギュラー番組のレポーターを2本持ち
他にも司会をされたりと多方面で活躍されているそうだ。

カルピスをお出しすると、ディレクターの井上さんが『これはカルピスですか??すごい美味しいです』と
感激され一気に飲み干される。
最近の若者はコークとかポカリと言った飲料水を飲みつけているせいだろうか?えらく喜んで頂いた。

中で涼んでもらいながら、どんなふうに撮影するか、生け花のどういった所をアピールするか
等とディレクターさんの意図を伺ったりする。
「私はあがり性なので、美貴ちゃんお願いね!」と目をクリクリさせて、私と会話する彼女に懇願すると、
「大丈夫ですよ!」と力づけて下さる。
「先にマイクを付けさせて下さい」と言われて、洋服に小さなマイクがセットされる。

   マイク この紐に引っ掛けますね〜・・・!    ディレクターの説明を聞く・・・


小一時間も雑談したろうか、「それではそろそろ!始めましょうか」と言われ、カメラの方は肩にカメラを構え
照明の青年も、あてる方向を考えたりし始められる。30分以上お花の事や趣味の事等話をしていたので
すっかり私の気持ちもリラックスしている。さすがに導入が上手だ!とうれしくなる。

ホアンにビデオ撮りを頼んでおいたので、『ちょっと、留学生のホアンを起こして来ます』と私は2階に走る。
『ホアン、ホアン!!起きて頂戴!!皆さん来られた!!』とホアンを揺り起こす。
状況をすぐに察したホアン、目を覚ましてくれる。『シャワー浴びて、この作務衣を着て降りてらっしゃい!』
と伝え私は下に降りる。

ホアンの事もみなさんに紹介しておいた。

さあ!玄関にレポーターの美貴ちゃんが入って来られる所から撮影が始まる。
そして玄関のお花を説明する。
一回撮られた後少しやり方を変えます・・・と言われもう一回撮り直す。
2回とってもらったので私も少し落ち着いた。
玄関のシーンが終わった頃、シャワーを済ませ、作務衣姿のホアン登場である。
皆さんかっこいい!!目がとってもキレイ!!とかホアンの印象を語られる。
とても高校生には見えませんねーとも言われている。

階段を下りて来たホアンに早速インタビューである。
『僕の名前はホアンです。コロンビアから来ました』と流暢に自己紹介するホアン。
美貴ちゃんもすっかりホアンを気に入って下さった。

   わぁ〜!!感激ぃ〜!!!    留学生さんですかぁ〜!!ようこそ日本へ!・・・。

お花を生ける時の心得とかポイント等を説明し、中2階の床の間のシーン撮影だ。
ホアンも一緒に上がり、カメラさんの邪魔にならない様に撮ってくれている。

取材するテレビ局の方々をホアンが撮影するという、ちょっと異例の撮影風景が展開される。
彼らはいつも撮影する側だろうが、今日は思いも掛けず、留学生が撮影とあっては 
彼らも少し調子くるってしまったかな〜???。

   おみなえし・鶏頭秋の花でいっぱいですねー・・・    掛け軸があるととまたお花も引き立ちますね!

もう一度下に降りて、次はキッチンのお花だ。
塗りのお椀に残った花材の『ススキやリンドウ』を生けたものと
竹で組んだ長い壁掛け型の花器に『なでしこ・おみなえし』を挿したものを撮影される。

   こんな台所の隅っこもさりげなく飾りましょ!     パラグライダーの話に皆さんを巻き込んでしまった!

最後に美貴ちゃんが実際に生けてみるシーンを撮る。
ここはこの番組の中で、一番思い入れの深い所ではなかったろうか。
小原流で出された、一番新しい花器”エンジェル”を使った。
ススキを主に、鶏頭を挿し、ぎぼうしを添えた。
寸法だけ指示すると、美貴ちゃんは上手に挿していく。出来上がった作品は
私が全く手を入れなくて良いほど上手く生けられている。
その事をもっと強調すれば良かったな〜・・・・と後で後悔した。
”まったく初めて生ける人でも、こんなに上手に生けられる”という事を全面に出すべきだった。

   さあ〜!次は実践ですよ・・・    こんなふうにしてー・・・ここがきれいかなぁ〜??

   おおっ!!われながら上出来だぁ〜!!    私全然手直ししてないわよー上手に出来ました!

全てを撮り終えて、美貴ちゃんと私とホアンは居間で雑談をする。
その間、カメラさん照明さんは私の生けた作品を長い時間掛けて撮影しておられた。

テレビ関係の方も大変だなーと感じた。ほんの4分〜5分の放映の為に
こうして何時間も掛けて撮影されるんだな〜・・・。
局に帰られたら、これをまた時間をかけて編集されるのだろうから・・・・。

居間の私達はホアン中心に話がはずむ。
さすが美貴ちゃん、『スペイン語でこんにちわ!は何と言いますか?』とか
『"美味しい”って言うのは?・・』等と間髪入れずにホアンに質問されている。
美味しい!はスペイン語で”Muy Rico”と言うのだが、この『リ』が独特の発音をする。
日本人もあまり出来ないルルルル・・・・という”巻き舌”である。
それを彼女は難無くやってのける。さすがにアナウンサーさんだと私は感心する。
私は何度やっても出来ない。ううう・・・!

カメラの方の撮影も終り、皆さん居間で冷たいジュースを飲みながら雑談。
ホアンのK−1の話や、パラグライダーの話、カメラの青年は三木道三が大好きと
聞いてホアンもうれしそう。
カメラ担当の方は最初、とっても無口だったので、私は気になっていた。
最後にワイングラスに”のうぜんかずら”と、”なでしこ、りんどう”を生けた作品
彼は”お〜ぉ!!”とカメラは肩に担いだままだが、カメラからは目を離し、身を乗り出して
そのワイングラスの花を覗き込まれた。

その思いがけない彼の様子に、私の方が心を打たれていた。
何に感動されたんだろう??と一瞬思った。知りたかった。
多分四六時中カメラのレンズを通して見ておられるので、こんな風に実際に作品を目の当たりにし
花の美しさに感動されたのだろうかー・・・。
それから彼は顔に笑顔があふれ、私はこの出来事がとても心に残っている。

   あらっ!ワイングラスのお花気に入って下さった?    こうして緑のかずらを置いて・・・「おかさん、僕ちょとトイレ!

   トイレですか〜またあとでね〜・・・!    この位の高さがきれいですよー!

   はぁ〜い おかさん!!うまく撮ってよー。    おかさん 無事終わってよかったね!

   ちょっとボケちゃいました。でもこの方がいい????    へぇ〜・・・パラグライダーかぁ〜気持ち良さそう。

すべてが滞りなく終り、皆さん玄関先に待たせたタクシーに乗り込み
ホアンに”さよならー”と手を振り帰っていかれた。
ホアンはとってもお行儀がいいので、言わなくても、こうしてお客様を必ず私と一緒に
玄関先でお見送りしてくれる。
帰られた後「おかさん、今日の事、満足(な出来)だった?」と聞く。
私も「Yes! ホアンが居てくれたから」と答えると、フフフ・・・・とあの優しい笑顔で喜んでくれた。

ホアンもインタビューされたので、出るといいなー・・・そう思って美貴ちゃん似そーと聞いて見る。
『そうねぇ〜・・・番組の趣旨が生け花なので、多分無理かも・・・・』と言われた。

でもホアンにとっても楽しい経験だった様だ。
最後にこんな貴重な経験をさせて頂いた鈴木先生に感謝の気持ちで一杯です。

今日はホアンはK−1の稽古日だ。私の行事も終わったので、ほっとしたので、ホアンと買い物がてら
一緒に出て送る。
今日はマウスピースを買ったので早速使ってみるのだろう。
ぼ〜ん!!と顔を打たれと、やはりマウスピースをしていないと、歯の一本二本折れてしまうらしい。

ホアンが帰る10時過ぎまで、夕食は食べずに待つ事にする。
いつも10時少し前には帰ってくるのに、今日は遅い。
道路に出てホアンの帰りを待っていると、「あ!帰って来た」薄闇の中にこちらに近づくホアン。
口笛を吹いているので、私も吹き返すと、ホアン”びっくり”したようだ。
私が黒っぽい服を着ていたので、全然分からなかった様子で、「おかさんー!!びっくりした・・」と言う。

ホアンとテレビの話や、今日のK−1の様子等話していたら、また遅くなってしまった。


8月29日(水曜日)『テレビにドキドキ!!』
今日の午後の番組で昨日ビデオ撮りしたのが放映される。
私のどきどきをよそに、主人は昨日の内にパラグライダーの仲間や親戚、また関係者一同にに
私の事を連絡しまくっていた。

どうにか私なりに無難に撮り終えてもらったので、ほっとしたところだけれど、
これが、あがりまくって、手足ガタガタ状態だったら、主人をうらみ倒すところである。
やはり、こうして自分の事の様に皆さんに連絡してくれた事に、今は感謝である。
午後5時過ぎに「ときめきストリート」の私の場面は始まった。
見る前から、どんな風に編集されたんだろう??上手く映っているかしら??と考えると
クーラーを効かせた事務所なのに、額から汗がにじみ出てくる。

さて!レポーターの美貴さんが”盆栽”に続いて、私の”生け花”を紹介される。
最初は玄関からのシーンで始まった。

「うんうん!結構自然体でやってるじゃん!」「笑顔もひきつってないぞ!」と
ブラウン管の中の私を食い入るように見る。
ほんの4〜5分が私にとって、大変長く感じられた。
もう少しこんなふうに、生けておけばよかったな!とかカメラの位置はもう少しこちら側から
撮ってほしかったな!と見終わって色々と反省する。
5分足らずの放映が終わって、『あーあ、これで終わった。良かった!!』
何だか全身の力がスーと抜けて行った心地がして、ようやく楽に息が出来るようになった感じ。
私にとってはやっぱり大事件だったのだ!

主人が外出先から帰って来た。「上手く映っていたか?」と聞く。
う〜ん!良いと言えば良いが・・・・もう少しと言えばもう少し!かな?

程なく親戚のにぎやかなおば様から「愛子さ〜ん!良かったよ!!」と甲高い声で喜びの一報が入る。
そんなに騒ぐ事でもないのに・・・・と思いながら、言い知れぬ気恥ずかしさに、穴があったら入りたい気分。

日本人と言う者は、どうもこの『先生』という2文字に弱いようである。
私は普段仕事をもっているので、なかなか教えると言った時間が持てない。
教えるという作業は大変な事で、この”先生”をする事で何倍も自分のスキルは上がると思うのだが・・・・。
レポーターさんが『先生』と紹介されたので、私のパラ仲間の方々は、
「愛子さん、先生だったんですか〜??」と口々に言ってくれる。
私は経験も殆んど無いし、只、習ってきて、やたら年数が経ち御免状だけは頂いたというに過ぎない。
あんなに紹介されると、ほんとに恥ずかしい限りである。

ホアンは今日はクラスの友達の所へ行くと言っていた
由也の友達で、山口キララの時由也を送って来た砂ちゃん事、砂田君がホアンを我が家まで
迎えに来てくれる。

玄関先にメモで「砂ちゃん来た時、ホアンはきっと眠っているので、勝手に上がって
起こしてやって頂戴」と書いておいた。
砂田君はギターを弾きながら、ハーモニカも吹ける、作詞作曲を今勉強中で、
ホアンにいつも日本語を分かりやすく教えてくれる、ホアンの尊敬する友達となった。

私は夕方リズム体操の稽古なので、安心して出かけたが、稽古を終えて帰ってみると
ホアンは未だ帰っていない。
いつになるか分からないホアンを待っていても仕方ないので、主人を夕食にする。

携帯を持って出ているので、何か困った事があったら電話してくるだろう・・・と
先に蒲団に入る。。

楽しかった夏休みもあと、指折り数えるほどになってしまった。
この夏休みでホアンの日本語もすごく上達したように思う。
今ではほとんど私たちとは日本語で分かり合える様になった。
主人もその事がとても嬉しいらしい。囲碁にも一団と熱が入って来だした様だ。