ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記

8月11日(土曜日)『パラグライダー練習開始』
今朝は主人昼まで、現場仕事がある。

今日からホアン待望のパラグライダーの練習だ。主人はお盆休みにびっちりホアンをしごくと言う。

夕べホアンに振り回され蒲団に入ったのは3時過ぎだった。
朝はどうも気分が悪い。主人は自分で支度をして、現場へと出かけて行った。

少しうつらうつらしていたが、主婦は悲しいもので、やるべき事が目の前にちらつき
いつまでも、蒲団の中という訳にいかない。ごそごそ起きだして、掃除洗濯等をしておく。
あらかた済ませたので、主人の帰る昼頃まで少しごろ寝する。

お昼を廻って、主人が帰った時は、私は本格的に眠くなってしまった。
主人は未だ寝ているホアンを叩き起こし、"行くぞー!”ともうろう状態のホアンに声を掛ける。
さすがホアン、前々からやりたい事だっただけに、その主人の一声にピッと起き
あっと言う間に主人と一緒に出かけてしまった。
どうして、私があれほど、朝のホアン起こしにてこづっているというのに、
まぎれも無く主人の一声で起きたホアン。これには私もビックリしてしまった。
私はやっぱり甘いんだろうな〜・・・・。

立っても座っても暑い!
一人でクーラー効かせてのんびりする・・・なんて貧乏性なので出来ない。
扇風機で我慢して、汗を流しながら家事にいそしむ。
ホアンも今日は、さぞかしよれよれになって帰ることだろう。
コロンビアではこんな暑い日は経験がない!といささか閉口気味のホアンだ。
でも好きなパラグライダーなら暑さもへっちゃらなのかな〜!!

夕方二人共思いの他楽しそうな顔つきで帰って来た。
「今日はホアンをびっちりしごいてやった!」と主人。
ホアンも流れるような目つきをして、舌を長〜く出しておどける。でも楽しかった様だ。

明日は9時出発だぞ!!とホアンにはっぱをかけている。

8月12日(日曜日)『今日もパラグライダー』
朝9時出発予定なので、ホアンを起こす。主人の『行くぞ〜!!』の声にホアン一発で起床!!
う〜ん!!何というこの素早さ!!またまた私は目を丸くする。
主人も「ホアンが一発で起きたら本物だ!」と言っていた。
ホアンもいずれパラ中毒患者になるんだろうな〜・・・・。

今日はインストラクターの山本さんからホアン用に練習機体を借りる事になった。
お昼前西風新都のサービスエリアで待ち合わせをして機体を受け取る。
朝早くたたき起こされたホアンは、まだ寝が足りないのだろう。
車に乗るや否やごろりと横になり爆睡だ。
今日は私も立ち上げ稽古をしようかな?と思い一緒に出かける。

30分程走り、荒槙牧場に着いたが風が余り良くない様だ。
ラージヒルでは地森さんが講習生数名を飛ばしておられる。
とりあえず、お昼ご飯をテージャスランチで食べて様子を見ようという事になった。

涼しいレストランで一息ついたが、風はまだあまり吹いていない。
ラージヒルの少し下あたりに車を付けて、とりあえず機体を広げてみる。
いくらかサイド気味ではあるが、微風を感じる。
ホアンは元気がいいので、無風でも立ち上げて出られそうだ。
下で頑張っていると、地森さんが声を掛けて下さった。
ホアンの立ち上げの様子を見ておられて、初心者にしては上手に立ち上げているので
「ここで、やりなさい!」と言って、少しアドバイスも頂いた。ホアンはもううれしくて仕方無い。
地森さんは、2度程ラージヒルからホアンが飛ぶのを見届けて、神の倉へと移動された。

    荒槙での初フライトで〜す。    初めてとは思えない上手なランディング。

    コロンビアのおかあさん!パラ楽しいよ!    フフフ・・・・飛んじゃった。ホアンしあわせ・・・。 

汗だくだくで練習しいていると、いっちゃんがお母さんとやって来た。
「ああー!いっちゃん!!」と駆け寄る。ほんとにかわいい盛りのいっちゃんだ。
いっちゃんもホアンにだいぶ慣れて来た。にこにこっと笑いかけたりしている。
ホアンもちっちゃい子は好きなのだろう。あの愛くるしい目でいっちゃんにやさしく微笑み掛けている。

    おかあさん 何おかしいの???・・・!    僕だってホアンにいちゃんみたいに飛びたいんだぁ!

時間が経つに連れて、風はだんだん悪くなり、遂にはフォロー気味になってきた。
今日はもうやめよう!
汗を沢山かいたので、ホアンの好きな『ふかわの湯』に入り、夕食を食べて帰る。

8月13日(月曜日)『おかさんがツリーランした!』
居間のサッシの窓から前方を見やると、向かいのお宅のシュロの木の葉が全然揺れていない
主人はこのシュロの木の葉を見て、パラに行く時の風の目安にしている。
今日もいまのところ、風は弱い。
しばらく高校野球を、見て時間をつぶす。松代稔さんがどんな様子かと、神の倉の主ならぬ主人に
様子伺いをしてこられる。
松代さん一家はお盆なので、島根の方へ里帰りをされるらしいが、どうしても1本飛んで行かないと
気分がおさまらないらしい。
それでは・・・とホアンを起こし、ランディング場に向う事にする。

11時過ぎに到着すると、マキちゃんが一人雲底に付けて遊んでいる。
主人はとりあえず1本飛んで、荒槙でホアンの練習をさせる予定だ。
ランディング場にホアンを残し、荒谷山へ上がる。

最初の1本はぶっ飛びだった。
松代稔さんもおくればせながら到着。ぶっ飛んだ主人を拾って下さり荒谷山に上がってこられた。
風は少しづつ、良くなって来たが、上手なフライヤーにとってはそれ程飛んで楽しいという時間帯では
なさそうだ。
私は”サーマルひっかけて絶対上がってやる!”などとという気はさらさらない。、
無難に1本飛べればいいわ!間違って上がったら儲け物・・・という軟弱なフライヤーである。

そんな私をよく知ってか『愛子さん,今何にも無いけど、出たら〜??』とおいしい時間待ちをしている
仲間の方から声を掛けられた。
”それでは!”と果敢にテイクオフしたまでは良かったのだが、風の向きやら、危ない場所とか
全然考えて飛んでいない私は、とんでもない所で、とんびの様にくるくる廻してしまって
ローターにはまり高度は落ちる!落ちる。パラグライダーというものは上昇成分がなければ後は
下降するばかりである。下の松や桧木やういろんな木が目の前にせまってくる。
廻さずに早くそのローターから抜ける事を考えればいいのに、ばかな私はもう一度輪を書いてしまった。
ああー!木にひっかかるぅ〜・・・・!!!南無さん!!
かくして私はパラグライダーを始めて以来、ツリーランというものを初めて経験してしまった。

運が悪ければ、枯れ木に串刺しに成り、命も危ぶまれるところだが、まだ私には生き運が有ったとみえて
青々と茂った木々の上にまさしく白鳥の如くふんわりと華麗にランディングと相成った

今まで他の人がツリーラン等するのを見ていたら、”きっと怖いだろうな〜・・・??”とか、
”落ちる瞬間何を考えるんだろう?? どの木に降りようか??”等考えるのだろうか??と
思いやっていたが、いざ自分がその瞬間を迎えると、実際には、『ひゃぁ〜!!』と声にならない声
口の中で出ているだけで、どうにもなるものではなかった。

青々とした木の枝に無事ぶら下がった瞬間、ああ!怪我はなさそうだ!と思うのと、
次の瞬間恥ずかしさが込み上げて来た。直ぐに皆さん心配して下さっていると思い、
「ツリーランしてしまいましたぁ〜・・・怪我はありません。大丈夫でーす」と無線連絡する。
すかさず「そのままじっとしていて下さい。すぐ救助に行きますからー」と頼もしいメンバーの方の声を聞くと
ようやくほっと安心した。
ホアンもきっとびっくりしただろうなぁ〜・・・・心の中で呟いた。

私がツリーランした木は椿の若い木で、小枝もしなやかだ。私の足も木の又にしっかりと固定されている。
『これなら自分ひとりで降りれるわ!・・・』とカラビナを外し、するするっと(おサルさんの如く)7〜8mの
小枝を伝って下に降りる。こう見えても私は田舎育ちなので、木登りは上手。
ツリーラン回収の為、高い木に登って行かれるメンバーの人を見ると、羨ましくて仕方が無い。
私も登りたい!!と思ってしまう。

下に降りて、しばらく上の方に歩いて行くと、木々の隙間に出たので、”ここで〜す!”と手を振る。
小脇さんが先頭切って、こちらに向かって来られている。
後を主人とホアンも薮を分けながらこちらに向っている。
みなさんゴメンなさい!こんな暑い時に・・・と申し訳なく思う。
崇ちゃんが「愛子さん、無線とれますか〜??」と盛んに呼び掛けてくれているが、無線機は私のハーネスに
ついたままなので、脱け殻のハーネスの中で崇ちゃんの声だけがあたりに響いている。
何か言わなくっちゃと、もう一度椿の枝を伝ってハーネスの所まで登ろうとすると、井口さんに
「ダメダメ!携帯で連絡するからじっとしてて!」と言われてしまった。

華麗なツリーラン(?)のお陰で、回収は割りと早く終わった。
小脇さん、松代さん、井口さん、そしてお水を持って駆けつけて下さった、日高さん、石本君
ほんとに有難う御座いました。そうそうホアンと主人にも、お礼を言わなくっちゃ・・・!
皆さん飛べなくてゴメンなさい・・・と言うと、「大丈夫!大丈夫!どうせ飛んで面白い時間では
無かったから、丁度良い時間つぶしになりましたよ・・・」と慰めて下さった。

かくして私は荒谷山でのツリーラン5人目に指折られてしまった。

ラインのチェックをする。キャノピーの傷みも無いようだ。
ホアンを連れて、ランディングに降りる。
ホアンは「おかさんクラッシュ状態で無かったので、、大丈夫と思った」と言っていた。
ホアンはほんとに良く見ていると感心する。

ランディング場に降りて、皆さんもそれぞれ飛んで降りられたので、お礼に
ビールや冷たい飲み物を用意しておいた。

帰りは千里香で夕食を食べて帰る。
8月15日(水曜日)『汚名挽回!』
昨日は田舎に墓参りに行った。ホアンもいささかグロッキー気味なので、家で休ませる。
主人も久しぶりにホアンが一緒でないので、のびのび飛んだようだ。

一日休養して、今日はまたホアンのしごきが始まる。いつものパターンで、朝1本飛んで
荒槙に行く予定だ。
ホアンをランディング場に残し、私達は井口さんの車に乗せてもらい荒谷山へあがる。
お盆の最中なので、来ているメンバーも少ない。スペインにも何人か行っておられる。

トップを切って誰が出るかが問題だ。今日は誰がダミーをつとめるか・・・・?
先日ツリーランした私がトップで出るなんて、とてもとても・・・・。
そうこうしていると、崇ちゃんが準備している。テントの日陰でウエイティングしていたメンバーは
飛び出した崇ちゃんのフライトを、じーと見る。

テイクオフしてしばらくは何も無し。”ダメかぁ〜”とため息をつくメンバー。
しばらくして前方尾根の上で少しぐいっ!と持ちあがった。
それを見ていた皆さん”おお〜!!あるぞー!”崇ちゃん廻し始める。本格的にサーマルに入り
どんどん上がっている。それを見た皆さん、ばたばたと準備をし始める。

昨日の余韻で、私はなかなか出る気になれない。
主人がいる内に出た方がいいし・・・と思いながら躊躇していると、イライラした主人、
「出る気が無いんなら、先に出るぞ〜!」と見放されそう。
「出る!出る!」とスタンバイし、テイクオフする。前に上げた人を追いかけて見る。
何だか良さそう!ぐりぐりと廻してみる。上がっている。これは良いぞー。
先にテイクオフした皆さんは既に雲底ぎりぎりで遊んでいる。
私も雲底とまではいかないが+1000m、相当高度を稼いだ。少し余裕が出来たので下を見やると
イライラの主人は可愛そうに緊急ランディングにまっしぐら状態だ。
「今日は私の勝ちね!」主人の歯ぎしりが聞こえて来そうだ。

荒谷山からテイクオフし、神の倉山へ谷渡りも出来た。初めての経験だ!
一時間半位飛んだろうか、神の倉に移動しても、高度は全然落ちない。何処に行っても上がる。
このままだと、未だ1〜2時間は飛べるかもしれない。でも何だか気分が悪い。吐きそうになる。
下では主人がイライラしながら待っているだろうな〜・・・。ホアンも退屈しているかも・・・・。
そんな事を考えると、もう一分でも早くランディングしたくなってしまった。
ところが、降りようと思うのになかなか高度が下がってくれない。
遂にはランディング場の横にある桜の木すれすれに、降りてしまった。
また恥じの上塗りをするところだった・・・・。
上手なフライヤーの方にとっては、一度として同じコンディションでないのがパラの魅力なんだろうなと思う。

ランディングすると、ホアンと主人がこちらに向って走って来る。
ホアンはにこにこ笑いかけてくれる「おかさん、すごい!」と言ってくれる。
「駅裏まっしぐらだったね・・・」と言ってやると、「悪かったねー・・」と主人。
当の主人は、誰も迎えに来てくれる人が居ないので、荒谷の緊急ランディングから、
えっちらおっちら、汗だくだくで、キャノピーかついで帰ったそうである。
可愛そうに・・・。たまにはこんな事も有っていいよねー。

その足で荒槙に向う。ホアンの練習が本命なのだから。
荒槙では、やっぱり風が無い。無風で立ち上げする。ホアンは元気だし、パワーが有るので無風でもいける。
無風立ち上げが出来れば、どんな時でもOKだ。
最初から最後まで、余り良い風にならなかった。最後には草むらの中に突っ込んだホアンは
ノースリーブのTシャツだたったので、萱でばりばりに切り傷が入ってしまった。
血が出るほどではないが、ちりちりと痛そうだ。

   えーと、ブレークコードはこれでA−ライザーがこれで・・    なかなかいい風が来ないな〜・・・!

   ふぅー・・・暑い!!    草むらに突っ込んでしまったぁ!ほら、萱で切っちゃったよ!

今日はもうやめよう!まだ時間が早いので、高宮町の『高宮湯の森』の湯に入って帰る。
これでお盆のホアンパラグライダー練習も終りだが、週末もホアンはきっちりとパラグライダーの
練習日にあてている。
8月18日(土曜日)『台風発生!』
台風が近づいているというのに、今日もホアンしごきに燃えている主人。
”行くぞー!!”と寝ているホアンに声を掛ける。
ホアンのパラ熱も本物と見えて、一発で目を覚ます。
10時半過ぎランディング場に着いたが、さすが台風を懸念してか、誰も来ていない。
東屋で座っていると日高さんが来られる。

風はなさ過ぎても難しいが、強すぎるともっと怖い。
下手をするとひきずられてしまうし、神の倉のランディング場のように、川の側だと
そちらの方へキャノピーごとひっぱられてしまう。
今日はクロス立ち上げ(後ろ向きにキャノピーを立ち上げる)をするには良い風だ。
ホアン早速機体を出し、準備を始める。
主人は日高さんと話ながら、高見の見物である。
私はホアンのスキルアップをビデオに収めるべく、彼の側でデジカメを構える。

今日の風は5〜6mくらいは吹いているが、ホアンは力が強いので余り気にしていない。
キャノピーに相対して立ち上げて、頭上に立ち上がったら、くるっと前方に向く。
ホアンはパラグライダーのセンスは抜群だと思う。すでにキャノピーの傾くほうへ走り
上手くブレークコードを操作して、キャノピーを落とす事なく、前進している。
彼はとっても頭の良い子なので、一回注意すると覚えてしまうし、運動能力は
素晴らしいものをもっていると思う。

   もっと腰をいれて!!    上手く行かないな〜

   立ち上げ失敗!    う〜ん!うまく立ち上がらないな〜

   撒きつけて行っちゃえ〜    前が見えないよ〜

風が強いので、次第次第に川の方へ近づいて行くので、東屋で見ていた主人は
大声で「あまり川の方へ行くなー!!」と叫んでいる。

ホアンもなんとかリバース立ち上げを自分のものにしたいと頑張っているが
自由自在に・・・という訳にはいかない様だ。風に翻弄されている。

やおら、麦わら帽子をかぶった主人登場する。
師匠の立ち上げを見てみろ!といわんばかりに、模範立ち上げを披露する。
ホアンもこれには言葉無し。

   師匠が手本を見せてやる!!    1mならここでも浮き上がれるのだ〜

   寝転がるとキャノピーが傾くまえにブレークコードを操作    う〜ん!!

小一時間ばかりやっていたホアン、T−シャツは既に汗びっしょりだ。
東屋でポカリを飲みながら少し休む。
倉田勇さんと東京に行かれた工藤さんが来られる。
工藤さんは毎年夏にスペインに飛びに行かれるのだが、今年は行かれなかった様だ。
ホアンに「Me llamo Kudo」 とか 「Como te llamas?」 「・・・・・・por favor」 等と
スペイン語で話し掛けられる。
お酒に強い勇さんは「・・・・cerveza」 とか私にはよくわからない、お酒用語が並べられている。
ホアンもうれしそうだ。

しばらくしていると、いっちゃんがお父さんお母さんに連れられてやって来た。
今日は風も強く飛べそうにはないので、安心してニュージーランド村に遊びに行った。

ホアンの立ち上げ稽古を続けた後、私達もどこか行ってみようかー・・・と思い
ホアンはお風呂なら一番喜ぶので、高宮町のお風呂に行ってみることにする。
神の倉から30分程のところだ。湯質も肌にやさしい。
5時半に待合室でね!と約束してお風呂に入る。

お昼ご飯も食べさせず稽古させたので、ホアンもお腹空いたろう。
向陽町のおそば屋さんで、大盛りそばを食べて帰宅する。
ホアンは日本そばも好きなのだ!

8月19日(日曜日)『今日も立ち上げ稽古!』
今日も2人共元気である。風も良くないと思うのに出かけると言う。私は今日はパスね!

お昼頃、近くの呉服屋さんの奥さんが遊びに来られる。
しばし、涼しい部屋でお昼ご飯を一緒に食べながらダベリング。

今日も風はきついだろうから、諦めて早く帰るかもしれない。
そう思いながら、夕方近く携帯で様子を聞いてみる。
案の定誰も飛ばないし、風もきついらしい。
それでもめげずホアンは立ち上げ稽古にいそしんでいるそうだ。
今日は広大の生徒も何人か来て立ち上げの稽古をやっているとの事。
それもホアンの励みになったようだ。

「今日は早めに帰るので、帰ったらすぐ食べられるようにしておいてくれ」と主人。
急いで買い物に行き、夕食の準備をする。

6時頃、目の落ち窪んだホアンが帰って来た。何だかもうろうとしている様に見える。
ほんとに良くがんばったね・・・と言ってやりたかった。

今日はホアン大好きのK−1の試合がBSである。
ご飯を食べて、ちょっと横になったら、疲れが出たのだろう、寝てしまった。
K−1は10時半からなので、しばらく寝せておく。

10時半になったので、ホアンを揺り起こす。
2人共、何故かよく気が合うと見えて、K−1の試合を我を忘れて見ている。
K−1という格闘技のどんなところに魅力を感じるのかよくわからないが
力と力の激突、何の技で相手を倒すのか?と胸がワクワクするのかもしれない。

相手の顔面をスパーとなぐった瞬間、リングのマット上にへなへなと崩れて行くのを見ると、
私はスカッとどころか、顔がゆがんで来る。
今日の試合はトーネメント試合で、一人の勝者が次々と新しい挑戦者と相対していく。
一人は顔面を殴った瞬間、目の上が切れて、顔から肩、首のあたりまで血だらけだ。
相手の方も、返り血を浴びて真っ赤である。ホアンもう〜!!と声を出している。
すごい事をやるんだな〜!!私は見ていられなくなって、お風呂に入る事にした。

ホアンも毎週2回K−1道場に通っているが、私の様に格闘技が何にも分からない者から
見ても、ホアンはセンスがあるように思えるし、コロンビアで忍術とか
タイコンドー(テコンドー)を長年やっているので、たぶん道場でも
ホアンはそのうち頭角を表すに違いない。

K−1を見たホアンは何だか、目もシャキッと覚めて、勇ましそうな顔つきになっているのが
面白い。自分もK−1のヒーローになった感じなのだろう・・・。

8月20日(月曜日)『良く寝るホアン』
このところホアンは全く夜昼逆型人間になってしまった。
夜は3時とか、明け方頃まで、ミュージック番組や映画があるので、楽しんでいる様だ。
そしてそのまま居間で寝ている。
私が朝起きて下に降りてみると、クッションの枕に顔を埋め、座布団を抱いて長々となって寝ている。
寝てしまうと、何が有ってもまったく気が付かないホアンだ。
うっかり手を踏んでも、足をけつっても起きはしない。太平楽なホアン君である。

お盆から土日に掛けてのパラグライダーのしごきに耐え、今日明日は何の予定も無いホアン。
下手をすれば、まる一日でも寝るのではないか?と思う。

夕方そんなホアンを気にして、帰って見ると、『ああ!起きてる、起きてる』
居間から「お帰りなさーい!」と声を掛けてくれる。
荷物有る?と手伝ってくれるやさしいホアンだ。

今日は何したの?と聞く。「今日、3時まで寝ました・・・」「あと、日本語の勉強」
と一日の事を話してくれる。
主人が図書館で借りて来た10本の日本語のビデオも返す期限があるので、
一日2本づつ見なさいと言ってある。
忠実に守って、見ているようだが・・・理解の程はどうなのだろう???