ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

6月11日(月曜日)[バスに乗り違ってしまった!]
昨日何かの話で、ポケット辞書が欲しいと言っていた。
「空手が無いので、学校が終わったら行っておいで」とお金を渡す。

会社で仕事をしていると、10時頃、家から息子が電話してくる。
「ホアンがね、バスを間違えて乗ったって、今家に帰って来たよ!」と言う。
『何が有ったんだろう・・・』と詳しく聞くと
今日辞書を買うので、自転車では学校に行かず、バスで行こうと考えたホアン、
広島駅まで出て、学校方面のバスに乗ったと思ったら、あらぬ方向へ行くバス。
あわてて乗り換えて乗ったバスは家に帰る方面のバスだった。
結局そのまま家に帰って聞こうと思って帰宅したという事らしい。

じゃー私が今から帰って送って行くから・・・」と、とりあえず担任の先生に
その旨連絡をして家に急ぐ。
駅の方面から、府中の方向へのバスは初めてだったので
どうやら分からなかったらしい。
道中、車の中ではずーとラテンの音楽が流れていたので、学校へ着いても
そのままの、のりで体を揺すりながら、手で拍子をとり、ご機嫌良く
校内に入って行った。これぞコロンビア人!という感じだ。



どうやら辞書を買いに行ったのだろう、6時過ぎだが未だ帰って来ない。
たそがれ時になり、「ただいまー!」とご帰宅だ。
これ!と買ったポケット辞書を見せてくれる。
それと、これ!と言って見せてくれたのは、昨日帰国したドイツからの留学生が
ホアンにとくれたものらしく、ノートや辞書等だった。
彼女も空手部に居て、何かとホアンの面倒を良く見てくれたようだ。
ホアンも心から彼女に感謝していた。

学校が終わって、アメリカからの留学生ジョー君と一緒に行って来たらしい。
コーヒーはカプチーノを飲んだよ!と言っていた。
今日はホアンが早かったので、一緒に夕ご飯の支度をする。
ラテンミュージックを聞きながら、歌いながら、だからなかなかはかどらない。
「ホアン、コーラ飲んだら、お風呂の湯を入れてね」と頼んだら
どう理解したのか「いま?Now?]と何度も聞くので「Yes,now」と言うと
お風呂へ行ってなかなか戻って来ない。
何してるのかな?と覗きに行くと、身体にバスタオルを巻いて、お風呂に入る
格好だ。「おかさん、おふろ からっぽだよ」と言う。
どうやら今すぐお風呂に入りなさいと言われたのかと勘違いしたようだ。

今度はエリックに電話すると言う。
エリックは同じく賀茂北高校の空手部に入っている。
昨日昇段試験を受けて、次の黄色の帯をもらったはずだ。
聞いてみるというホアン。
20分程楽しそうにスペイン語でおしゃべりが続く。
主人が帰って来た。ホアンも気が付き電話を終える。

夕食が終り歓談する。
ホアンが来てからもう3ケ月近くなる。今日は少しかしこまってホアンに聞く。
日本に来る前にイメージした日本と3ヶ月たった今の一番大きな違いは何か?と主人。
ホアンの感想は・・・日本の人はすごく礼儀正しいと聞いていた、自分は今日本に居て
ここまで規律正しいとは思わなかったと言う。
たとえば学校で、授業の始まる前、終わった時に必ず先生に対して礼!をする。
また、よく散歩をしていた頃にも、ちっちゃな女の子や男の子達がホアンに
『こんにちわ!』とか『ただいま かえりましたー!』と言ってくれた。
その事がすごくハッピーに感じられた。

空手クラブでは特にそういう規律については、顕著に感じるらしい。
大きな声で『しつれいします!』『ありがとうございます!』『オッスという
言葉が常に飛び交っている。
そして、自分は2年生で、一年生にとってはあこがれの”先輩!”なのだ。
後輩は先輩のホアンを”せんぱい!せんぱい!と呼び、稽古の間には
お茶やお水をうやうやしく振舞ってもらうらしい。
初めはどうしてなのか分からなかったホアンも今は堂々たる先輩ぶりを
発揮しているのか、えへん!といった気持ちで、先輩ずらをしているらしい。
その事はホアンをとても心地よくさせているし、びっくりもしているひとつでもあろう。

規律!・・・Discipline コロンビアはNo discipline だと悲しい顔をする。
先生が黒板に向って何かを書いておられると、後ろの生徒はお互い物を投げあったり
して、先生が生徒の方を向かれると、シーンとするんだよ・・・と話す。
たまに日本でも有る事だけれど・・・・何かにつけてそうなのだろう・・・。

また一番がっかりした事は?と言うと、みんな外に出ない事だと言う。
どういう意味?と聞くと、コロンビアではお昼時間を待ちかねたように
一斉に外に出て、いろんな遊びをしたり、グループ、グループで話をしたり
お弁当を(ショップで買って)食べたり、とにかくみんなでよく遊ぶらしい。
日本人はほとんで外に出ない。弁当の時間さえ、きちっと席について食べる。
その事がとってもつまらないと思ったそうだ。
それもそうかもしれない。コロンビアのお昼休憩は2時間もあるそうだから・・・。

学校から帰ったら勉強するの?と聞くと、まったくしないそうである。
なるほど、ホアンが我が家へ来て、机について勉強をしているのを
見た事がない!
もちろんホアンはとっても頭がいいので、学校だけで、充分理解出来るのだろう。
それは本人も認めて、生徒に回答を求める場合でも、ホアンが手を挙げても
『ホアンはよろしい!』と言って先生に当てて貰えないそうだ。
また試験を受ける場合でも、『ホアンは受けなくていい』と特別扱いなのだそうだ。
小学校の低学年の頃、ホアンの教室での様子は、いつもうろうろして
まったくじっとしておらず、両親が悩まれて、心理療法を受けさせてみられた所
とっても頭の良い(知能指数の高い)子で有ると言われたそうである。
来年コロンビアに帰り高校3年生終了時に、コロンビア内での学位試験があるそうだ。
彼のお姉さんはやはりこの8月からフランスへ一年留学するそうであるが
その試験で見事トップとなり、両親も大変喜ばれているとの事。
両親のホアンに対する期待も大きい様で、”両親を悲しませたくない”けど
小さい時からどれだけ勉強したかも、必要な試験なので、僕は小さい時
余り勉強しなかったので、その事が心配だと語ってくれた。

                                        
6月12日(火曜日)[空手キャプテンが怪我!]
今朝は張り切って6時に起き、朝練だと出かけて行った。
空手が楽しいのだろう。よく頑張っている。

今日は主人は飲み会なので、夕方はホアンとお好み焼きを食べに行く事にした。
作務衣を買った近くの呉服屋さんの奥さんがいつか一緒に行こうねと
誘って頂いていたので、電話する。
お店は9時までだそうで、ホアンの帰りを待って出かける事にした。
いつも8時丁度位に帰ってくるのに、10分過ぎても20分になっても帰らない。
家の横の道まで出て待っていると、ようやく下の方からホアンらしい子が
こちらに向かっている。あ!ホアンだ。
「遅かったね?」と言うと、空手の3年生キャプテンが(女の子)
練習中、顎に蹴りを入れられた時、口を開けていたので、上あごと下あごがぶっつかって
歯が折れてしまい、沢山の血が出て病院へ運ばれたそうだ。
そんな事があって、なかなか帰られなかったんだと説明してくれた。

少し遅くなったので、呉服屋さんの奥さんにお詫びをして、すぐに出かける。
ホアンはお好み焼きも大好きだ。とにかくお好みソースが気に入っている。
熱い鉄板の上に置かれたお好み焼きをフーフー言いながら食べた。
ホアンは「僕は猫の舌!」と笑わすのだが、とっても”猫舌”なのだ。
でも美味しそうに食べていた。
呉服屋さんの奥さんと別れて、私達はいつものスーパー銭湯に入って帰る。

6月13日(水曜日)
夕べ、「おかさん、朝雨が降っている時は朝練ありません」と私に説明する。
朝練が無いのではなくて、雨の日は少々早く出かけても、バスが混んだりして
学校へ着くのが遅くなるので、ホアンは朝練に出ない事にしているのだ。
私がホアンの朝練の為、早く起きて支度する事を気遣ってくれている。

今朝ホアンは6時20分頃起きてきた。
朝練ならば、6時に起きて降りてくるのけど・・・・。今朝は雨も降っていない。
汗でびしょびしょになった体操服を夕べ遅くに洗濯して乾かしておいた。
今朝はどうも朝練には参加しないようだ。
朝ご飯を食べたあと、当分の間二階から降りて来ない。
私が畑に出て草抜きをしていたら、しばらくして「いってきまーす」と言って
出かけて行った。
昨日キャプテンが歯を折って怪我したので、今朝はもしかしたら
朝練中止!となっているのかもしれない・・・。

 

水曜日!と言えば雨だ。私の稽古は水曜なので、いつもそう思う。
ホアンは今日は雨具を何も持って行かなかった。
夕方稽古に出かける時、あれでもバス停の所で会えるかもしれないと
ホアンのカッパと傘を持って出かける。
しばらく待っていたが、結局出会えなかった。もう帰ったのだろう・・・・。
雨もまだそれ程激しくは降っていない。

稽古を終えて帰ってみると、いつもは二人で囲碁をしているのに
主人だけがテレビを見ている。「ホアンは?」と聞くと、「上で寝てるんだろう・・・」
と主人。暇さえあれば寝るのね・・・。せっかく生活のリズムが整って来たのに
寝せないでよね・・・・と呟く。
2階にあがり「ホアン ただいま!」と声をかける。熟睡状態ではないが
疲れきった顔のホアンがいた。『もう少しでご飯よ』と声を掛けておく。

程なく息子もホアンも降りてくる。
「やっとアルバイトが決まったよ」と息子。
マツダの下請けの工場らしい。向こうへ行くまでの1ヶ月ほどのバイトだ。

「そうそう!今日大阪大使館から書類が届いたよ」と私。
ビザが来たのだろうと思って書類を渡す。
封筒を開けてみた息子は「え〜!大阪まで行かんといけん!」と言っている。
いつもは、仲介機関を通して、ビザ発給手続きをしていたので
スムースに取れていたが、今回は個人で動いているため
わざわざ”インタビュー(?)”に大阪大使館まで出向かなければいけないらしい。
「バイトが始まるまでに行って来る」と息子。
食事を終えて息子は2階に上がって行った。

少し元気の無いホアンが、今日は今週末にある”学園祭”の寸劇の
ビデオ撮りをしたんだ・・・と今日の出来事を話してくれる。
ホアンも一応セリフがあるようだ。倒れている女の子に向って
「○○ちゃん!だいじょうぶ?」って声を掛けるのだそうだ。
自分の言うセリフはゆうやの後なんだ・・・と待機していて
違ったところで言ってしまって、”ホアン だめ””と言われてしまった
といつもの如くパフォーマンスを交えて話してくれる。

そして、今日僕お腹が痛かったんだ・・・と言う。「ええ〜!いつから?」
今朝起きた時、少し痛くて、お腹が空いているから痛いのかな?と思って
朝ご飯食べてみたけれど、やっぱり少し痛かった。
学校でもトイレには行きたかったけど、なんとか我慢して帰ったそうだ。
便もゆるいと言う。
帰ってから何度もトイレに走り込んだらしい。「今は?」 「まだ 少し痛い」と言う。
私達はあわてて、薬箱をあさる。
結局梅干3ケと正露丸を5粒飲ませて、早めに休ませる。

このところ夜が蒸すので、薄い夏蒲団にしたので、きっと風邪をひいたのだろう。
どうりで、今朝のホアン、2階にあがったきり、なかなか降りて来なかった訳だ・・。
トイレで苦しんでいたのだろう・・・・。
学校は”ぽっとん便所”なのでしゃがまなければならない。
調子の悪い時に我慢するのは至難の技だ。
でも大した事がなければいいけど・・・・。
6月14日(木曜日)[ホアン学校を休む』
私はいつもの様に5時過ぎに起き、一応お弁当を作る。
私達のも作るので3ケのお弁当を作っている。
いくら冷えていても、残り物でも、コンビニのお弁当より美味しいと
感じるから不思議だ。
ホアンも美味しいと思って食べてくれているだろうか・・・・?

学校の昼食は12時40分から。きっとお腹すくだろうな〜・・・。
ホアンは11時頃になると、目の前にお弁当がチラつくそうだ。
昼食のチャイムが鳴ったとたん、すぐお弁当をだして一心不乱に食べるんだという。
他のクラスメートはお互いおしゃべりしながら食べるのに、僕はただ黙々と食べるんだ!と
パフォーマンスを交えてよく笑わせてくれる。

日本に来て、初めてご飯を食べた時、日本の人はどうしてこんな
味もそっけもない食べ物を食べるんだろう??と思ったそうだ。
九州での研修期間の間もずっとご飯に悩まされ、お塩をかけて何とか
食べたと言っていた。
コロンビアでもライスは食べるけれど、ピラフの様に調理した物を食べるらしい。
日本の様に箸で持てる感じではない。パラパラご飯だ。(だからスプーンなのね・・)
それが今では、ご飯が無くてはならないと言うホアンになった。
おかずを食べていると、どうしてもご飯が欲しくなると言う。
主人と似てきてしまって、少し酸っぱくなったお漬物を山盛り小皿にとって、
うれしい事にお代わりまでしてくれる。

                                                  

朝ホアンの起きる時間になったので、どんな具合か部屋に行ってみる。
「どう?」と聞くと、「まだ、少し痛い」と言っている。
夕べ何度もトイレ通いしたと言う。「じゃー今日は休む?」と聞くと「イエス・・」
と力無く言うので、少し可愛そうになる。
「学校へ連絡しておくから、ゆっくり休みなさい」とそのまま寝かせておく。

仕事に出かける時、『食欲が出たら、おかゆが作ってあるから食べなさい。
何か有ったらつよしに言ってね、病院に行きましょう・・・。』と書いた紙を
ベッドのホアンにみせると、うなずいて、「いてらっしゃい」とニコっと笑ってくれた。

昼過ぎ、息子が会社に電話してきたので、ホアンの様子を聞いてみた。
「ご飯食べよったよ!」との事で安心する。

今晩のメニューを考えながら家路につく。
帰ってみると居間で電気もつけず、ホアンが一人テレビを見ていた。
「ただいま!」「おかえりー」
お腹はどう?と聞くと、だいじょうぶ!とニコッとする。

ご飯は食べたの?と聞くと「ハイ、全部」と言う。
なるほど、今朝私の作って置いた弁当はからっぽだ。
お皿の上には、梅干の種が何と9ケものっている
これなら腹痛も吹っ飛ぶわ!

「きょう これ かって きました」と机の上の大きな白い紙を見せてくれる。
A3ほどもある白い大きな厚手の紙だ。
「これで日本語を書いて勉強するんだ」と言う。
学校へ週に2回、LPの方が来られて、日本語の指導をしておられる。
カードを使ってやられるのが、すごくわかりやすくて、自分も同じ様に
その紙を小さく切って作るんだと説明してくれる。
近くの文房具やさんに買いに行き、ほしいものを伝えたら、ちゃんと
お店の人が理解してくれたんだ・・とすごく喜んでた。
最初はペラペラの薄い紙を出して下さったそうだが、ホアンが
身振り手振りでもっと厚いのが欲しい事を伝えたら、それも何とか
わかってもらえたらしい。
家に帰って息子に、こんな時はどう言ったらいいのか聞いた様だ。
ちゃんとメモに「もっと あついのを ください」と息子の字で書かれてあった。

「今日何時に起きたの?」と聞くと「僕は10時、でもつよし12時と笑わせる。」

       

以前に中国式、針・指圧を教えた事があった。
うつぶせになり、ホアンの背中から胃のつぼを押すと、お腹が”ぐるぐる・・・”と鳴る。
そして不思議な事に抑えている人のお腹も同じ様になるのだ。
ホアンはそれをすごく不思議がり、すっかり、針、指圧を信じ込んでしまっている。
私が帰った時、「調子はどんなの?」と聞いたら、
ホアンは「お腹を押したら、前よりももっとたくさんトイレ!トイレ!と言っていた。
「僕はきっと押さえるところ、間違ったんだ」と言っていた。
食事の時、その事を聞いた主人、ホアンいったい何処を押したんだ?と聞く。
すばやく、ホアンは指圧の本を持って来て、ここ!とページをめくり指差す。
何と、それは便秘のつぼである!。みんなして大笑いする。
ホアンも”ぎゃく!ぎゃく!”と言って大笑いする。
本には、男の人がお尻を手で抑えながら、トイレの前で立っている挿絵があり、
その横には、あお向けの女性がコーラのボトルでお腹を抑えている写真が解説してあった。
ホアンは”これだ”と思って、冷蔵庫のコーラのボトルを使い、一生懸命抑えたようだ。
やはり指圧は効果覿面なのだろうか?

気分も良くなったのだろう、主人相手に食後の囲碁を楽しんでいた。

      
6月15日(金曜日)[ホアン回復』
今日は大丈夫かな?と思い、ベルは鳴ったが起きて来ないホアンの部屋を覗く。
ノックすると、起きていた。
「今朝はどう?」と聞くと、大丈夫・・・と言っている。
「学校行ける?」 「イエス」  良かった・・・・。
朝もお茶碗一杯のご飯とちゃんとおかずも残さず食べている。
そして梅干3ケも・・・。もう大丈夫。
幸い今日から3日間、3年生空手部員が居ない為、練習も無いそうだ。
鼻歌を口ずさみながら、元気に出かけて行った。

明日から2日間安芸府高校では文化祭が行われる。
通常どおり弁当持ちで学校へ行くそうだ。
ホアンの腹痛ももうすっかり良さそうで安心した。
きっと寝冷えだ!
6月16日(土曜日)[リハビリフライト』
ホアンが学校なので、私は先週飛べなかったので、神の倉に主人と
再チャレンジで行って見る事にした、
しばらく飛んでいないので、朝の穏やかな時間がいいだろうと
近所の松代さんのお母さんを誘う。8時半には家を出て神の倉に向かう。
既に玲子さんは来ていた。「いっちゃんは?」と聞くと、ダンナさんと後から
来るらしい。「へえ〜・・・おとうさんと?」よく育ててるね、と感心した。
たいてい四六時中お母さんといるはずのいっちゃんなのに、ちゃんと
聞き分けが出来てるんだなーとびっくりした。
来ている人で乗り合わせて神の倉へ上がり、朝の穏やかな空気の中
ぶっ飛びをした。
今日は風もあまり荒れてなく、コンディションも良かったので一日3本飛べた。
特に最後の1本は、丁度サーマルタイムだったのか
出てすぐあがってしまい、1時間ばかり、飛ぶことが出来た。
お昼を余り食べていなかったので、最後頃には気分が悪くなり
1時間少しでランディングした。何気なく『もう、気分が悪くなって降りちゃった』と
駆け寄って来た、いっちゃんのお母さんに言ったら、『まあ!ぜいたくな・・』
言われてしまった。でもうれしかった。
ホアンも待っているだろうから・・・と思い帰ろうとしたら、バッテリーが
上がってしまっていて、エンジンがかからない。
パラの仲間の皆さんに助けてもらって、すぐに動くようにしてもらった。
有難う御座いました・・・・・。
買い物を済ませ家に着いたらもう6時近くだった。洗濯を取り入れに
ベランダに降り、ホアンの部屋を覗くとホアンはベッドの上で寝っころがり、
音楽を聞いていた。
「今日はどうだった?」と聞くと、3年生がダンスをしただけだったよ
と簡単に答えた。
文化祭だから、いろいろ発表したり、掲示してあったり、それ程賑やかな
ものでもないのだろう・・・。
ホアンも疲れた様子なので、夕ご飯の支度は私一人でする。

私が帰って1時間程して、主人も帰って来た。
明日も文化祭だが、一般の人も見に行ける日らしい。
9時半頃から2時頃まで見れるそうだ。
私は午後からお花のミーティングがあるが丁度時間的にもいいので
ホアンも参加したという、ビデオ放映を見に行ってみようと思う。

6月17日(日曜日)[ホアンの文化祭]
日曜日と思ってか、ホアンは朝少しだけゆっくりしていたので、
時間が少なくなり、ばたばたと出かけて行った。
それでもちゃんと一人で起きているから立派だ。

最近は暑い日がおおいので、バスで学校まで行くらしい。
バスではク−ラーも効いていて、ずっと、うたた寝しているらしい。

今日は文化祭最後の日。
私も家の用事を済ませて10時頃出掛ける。
以前参観日の時に駐車した学校の山手の方にある駐車場に
案内される。またあの長い道を汗だくだくで歩かなければいけないのか。
退屈なのでヘッドホンで音楽を聴きながら歩く。
学校では賑やかに音楽が流れている。
校門のところではすでに”やきそば いかがですか〜?”とか”ジュースは”
等と売り込みが激しい。
裏の方でもバザール店があって、生徒達も頑張っている。
ホアンの4階にとりあえず上がってみる。
教室は鍵がかかって入れないようになっている。
どこだろう??
廊下の壁に張り紙がしてある。”ああ!ホアンのサインだ!。
「これは怖〜い話です」と書かれていて、真っ赤な手型が押してあり
ホアン・ペドロと自身のサインがしてあった。
ああ!これだ・・・5階の国際ホールでやっている。
5階に駆け上がって見ると、今丁度1回目の上映をやっていて入れない。
ベランダに出てしばらく待つ。
ほどなく終り拍手が起こっている。上映が終わった様だ。
入り口で中の方をみやると、ホアンが前の方を見て拍手をしている。
こちらを見て私に気付き、手を振ってくれる。
どやどやと観客の生徒や父兄の人が出てくる。

   僕、ホアンが書きました!Fiesta del Colegio   僕もジョーもがんばったよ!Yo soy de Joseph

   こちらは韓国の民族舞踊です・・baile de Corea delsur   焼きそばにたこ焼きはいかが〜!!puesto

次の上映は11時20分から。しばらく時間があるので、ホアンやジョーと話をして待つ。
さあ!上映時間が近づいて、観客席もまばらではあるが、何人か座った。
部屋が真っ暗になり上映開始だ。
2年2組の上西先生筆頭に全員参加でストーリーをつくり、ビデオ撮影したらしい。
『それは17年前にこのクラスの女の子が何かの事件で殺されて、学校の裏の山に
無残にも捨てられた。、その怨念で今、クラスの子達が次々と殺されていく』という
ストーリーだった。
ホアン達はこのストーリーの内容は全く分かっていない様子。
ただ、倒れている女の子に向って「○○ちゃん、だいじょうぶ?」と言い、
誰かが、なにか言った後、「○○ちゃん、何処いったんじゃろ」というセリフを
言っていた。でもはっきりと上手く言っていた。
音響ががんがんに強かったので、生徒達のセリフがはっきり聞き取れなかった
私にもストーリーが殆んどわからなかったのが残念だった。
ただ、カメラを意識することなく、皆さん上手く演技していて、怖〜いと言うより楽しかった。
ホアンのビデオを見たので、時間も丁度良い。ホアンにバーイを言い
市内のお花ミーテイングへ向った。

       

今日が最終日で2時頃終わると聞いていたので、ホアンの帰りも5時頃かな?
と思っていたが・・・帰宅したのは7時半頃。
帰ると「あー、お腹空きました!」「何でもいい、たべたい!」とホアン。
冷蔵庫のケーキで一息着いたホアンは、文化祭が終わって打ち上げが有ったと報告。
ビデオ上映が大変盛況だったそうで、他のクラスから、評判を聞いて椅子が足らないほど
観客が集まったそうだ。そして最後の上映が終わって、感激のあまり女の子がワンワン泣いて
しまったそうだ。うれしかったのだろう・・・。
それから打ち上げパーティが有り、すこし遅くなったと言っていた。
自分達は、あまり内容がわからないし、女の子がどうして泣くのかわからない・・・と言い、
パーティの途中でジョーと先に帰って来たらしい。
ひとつの事を成し遂げるという事はとても素晴らしい事だと思うし
彼女達も一生懸命やった結果、大盛況でほんとにうれしかった事だろう。
ホアン達にその感激がわかり辛かったのは少し残念だ。



6月18日(月曜日)[文化祭の代休]
文化祭頑張ったので、今日は休み。
息子も今日からバイト初めで朝出かけて行った。
ホアンはお昼にはジョーとの待ち合わせて出かける事だろう。
私は声を掛けずに仕事に出かけた。久しぶりにゆっくりするといい・・・。

天気予報では午後から曇りだったのに、夕方に掛けて
どしゃ降りとなってしまった。
二階の窓や、干しておいた洗濯物が気になり、5時過ぎには早めに会社を出る。

車をとばして、家に向っていると毎朝乗るバス停のところで
軒下に立って雨をしのいでいるホアンを見た。
えー?もう帰ったのかなー??ホアンも私の車に気が付き、手を振った。
行き過ぎてしまったので、またUターンしてホアンを載せる。
「どうしたん?私を待ってたん?」と聞くと「ハイ・・・おかさん通るかな?と
思って・・・おかさん!おかさん!心の中で言ってたんだ」と言う。
それにしても、いつもは私は6時過ぎになるのに、うまくタイミングが合ったものだ。
「どうだった?」と聞くと、ジョーとクレドビルを散策し、今度安芸府中高校1年に
留学生として1ヶ月ほど来た女の子と会ったので、プリクラへ行ったり、
服を見て廻ったりして過ごしたと話してくれる。

皆が帰るまで少し時間がある。先日ホアンが家の中に有る机とか階段とか
いろいろな物に日本語の札を貼って覚えると言って画用紙を買って来ていたので
そのカード作りを手伝ってやる。
そうこうしていると、バイトの息子も帰って来た。
大変な雨で、ぐっしょり濡れていた。
主人が帰るまで、未だ少し時間があるので、久しぶりにホアン相手に五目並べをした。
結果は悲しきかな、私は全く歯が立たない。
主人にしっかり痛めつけられて、めきめき腕をあげたホアン。
ホアンに手加減してもらい、しっかり遊ばれてしまった私。
もう二度とホアンと五目はしない・・・!

    ベサメームチョー♪♪  El violin??    へへへ・・・僕3キロも太っちゃった!He engordado tres kilos

   ホアンは無敗!無敵!!   五目並べはそうはいかんな〜!トホホ・・・perder el partido la IGO
6月19日(火曜日)[梅漬けをする]
まさに梅雨真っ只中。バケツをひっくり返したような雨・雨・・・・。

朝私は勘違いしていて、ホアンはゆっくり起きて空手の練習に行くのだと
ばかり思っていた。8時少し前に一応声をかけたら、びっくりして飛び起きた。
今日は半日、学校があるんだ!
今から出ても遅刻だ。仕方ないから主人の車で送ってもらうことにした。
それにしても彼の支度は時間がかかる。
状況判断が出来ているのかどうか疑わしい。
朝ご飯をゆっくり食べて、お風呂(シャワー)に行き、人を待たせていると言うのに・・・。
主人も少しイライラしている。そして私にあたり、中途半端に声を掛けるな!と
私が怒られる始末。
『起こすなら起こす!』『ほっとくんなら ほっとけ!』と。
送って行くなんて、主人の趣旨に合わないので、腹立たしかったのだろう。
まったくホアンに振り回されている感じ。

リラックスしている時のホアンと朝学校へ出かけて行くホアンは
別人のように不安げである。大きなホアンがまるでアリのように小さく見える。
そんな彼を見ていると、つい手を添えてしまう私なのだ。

今日は一日どしゃ降り。
息子は昨日がアルバイト初日だったが、今日は大阪の大使館にビザ取得の
為に早くも会社を休み出かけた。
近頃の若いものは・・・・と思われそうである。
大使館の方の受け付けが火曜日と木曜日しかしてくれないので
仕方なかったようだが・・・。

今日は会社の近くのお店に、きれいなシソが出ていたので、梅漬けの為の
赤シソの準備をすることにした。
多分ホアンも半日なので、帰りも早いだろうから、手伝ってもらおう!。

帰ってみると、なんと玄関の外のタイルの上には、傘がひっくり返して置いてあり
そのそばにホアンのリュックが投げてあり靴が脱ぎっぱなしで置いてある。
”な・なんだ これはー!!” ”ホアン!ホアン!”と呼ぶ。
傘や靴は良いけれど、リュックをこんな所に投げておくとは!
中からハーイと声。「どうしたのこれ?」と聞く。
どしゃ降りの中帰って来て、ぐしょぐしょに濡れたらしい。
風呂場に行くと学生服、ズボン、シャツがびしょびしょで脱いで置いてある。
とにかくホアンは整理整頓全くダメ人間だ。
多分コロンビアでも、お母さんがホアンの後を付いて
脱ぐ物ひとつひとつを拾って歩かれている姿が想像される。

ホアンは既に着替えをしていて、居間で昨日一緒に書いた単語の
カードを切る作業をしていた。
『だいどころ』『れいぞうこ』『やかん』『じゅうたん』と画用紙に書いたものを
あちらこちらに貼り付けていくホアン。一生懸命日本語を覚えようとしている。
一段落したら、シソ漬け手伝ってねと頼んでおく。

今日は昨日の文化祭の打ち上げで、クラスメートはみんな午後から
ボーリングに行く事になったらしい。
ホアンも行こう行こうと誘われたけれど、ちょうど持ち合わせが無かったので
断って帰ったらしい。
ところが、帰る時またひと波乱!有りその顛末を聞かされる。

安芸府からいつもの様にバスに乗り広島駅で降りようとした所
ポケットにあるはずのバスカードが無い!
「どうしよう!どうしよう!・・」と不安におののきながらも、バスは
駅前を通過してどんどん知らない所へ走って行く。
乗客は少しづつ降りて行き、遂にホアンだけになり、意を決して
学生定期を走るように見せて降りたそうだ。これは何とか成功した。
さて、ここはどこだろう??兎に角広島駅の方へ感で歩く事2時間。
どうにか広島駅まで帰ったホアン。ここからは任せなさい!で
赤バスにのり、家まで堂々と定期を見せて帰ったと言う。
バスの中で不安に震えたホアンの姿が思いやられて、可愛そう。
でもいつもこんな風にドジなホアンだ。
バスカードは昨日市内へ出たので、他のポケットに入れていたようだ。
どうしてちゃんと朝出る時、確認しないのだろうと思う。
ホアンにとって大冒険の一日だった様だ。
定期を見せながら、ささっーと降りて行った様子を、またいつもの如く
パーフォーマンスを交え、面白おかしく笑わせてくれる。
こんな笑い事どころでは、無かったはずだけど・・・。

お手伝いします・・・と言って降りて来たホアンと一緒に、シソの葉をむしる。
桶いっぱいのシソの葉を、お風呂場できれいに洗って貰う。
一旦ザルにぶち上げて置く。後はまた夕食後の仕事だ。

   コロンビアのお母さん!僕 よくお手伝いもします・・・。ayudo a madre    今年はホアンがいてくれて助かるわ〜!!Yo hago UMEBOSHI

夕食後、しばらく主人と五目並べを楽しんでいる。
丁度主人がお風呂に入ったので、その間台所で、シソもみをしてもらう。
8Kgの梅漬けの為のシソなので、結構沢山あったが、何回か揉んでいる内
量は10分の一位になった。
2回ほど揉んで、あくの出た紫色の汁を捨てる。揉む度ごとに色がどんどん
変るのでビックリしている。
先日ホアンと一緒に塩漬けした青梅からはきれいに水が上がっている。
その汁(白梅酢)を固く絞ったシソに混ぜて、さらに揉んでいくと
きれいな赤い色の汁が出た。ホアンはきれいだー!と感激する。
塩漬けして、ぶち上げた梅の香りをかいでいる。
”グッド スメル だいすき”とうれしそうだ。
これでしばらくの間涼しいところに保管する。
本当のところを言うと、私は梅漬けするのは、これで2回目。
4〜5年前にやった時は、カビがわいて失敗してしまった。
梅漬けを失敗すると、その年余り良くない事がある!とかなんとか
人が言うものだから、それ以来梅漬けはやめて、もっぱら田舎から
出来上がった物を頂いて来ていた。
今年はホアンが余りにも梅を良く食べるので、再挑戦した。
カンニングペーパーを見ながらやっているので、ホアンに痛いところを
つかれてしまった。
おかさん、梅漬けは毎年するの?と聞くのだ。
口篭もっていると「ああ!おかさん 初めてだ!」とにたにた!と笑う。
今の所、塩漬けの水もちゃんと上がったし、ホアンのお陰で、
シソのきれいな色も出た。あとは、土用までカビをいらさないように
置いておけばいいのだ・・・・。