ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記


4月11日(水曜日)[ホアン囲碁を楽しむ!]
相変わらず朝には弱いホアン君である。最低2回は声を掛ける。
主人に言わすと蒲団の中で母親の「起きなさい!起きなさい!」と言う声を
聞くのが、また何とも言えない心地良いのだそうだ。
最初はやさしく・・そしてだんだんと声のトーンが上がって来た頃、やおら起き出す・・・。
ホアン君もそうなの?
支度も出来て今日も元気良く出かけて行った。
一足遅れて朝食を主人と食べていると、窓からホアンの姿。
”あれー!ホアンが帰って来た!どうしたぁ〜??!
私飛んで玄関に出てみる。息を切らせて「ウオレット!」と言っている。
”ああーお財布忘れたんだ!”急いで2階に上がりジャケットから財布を
取り出し駆け下りる。
「時間大丈夫?車で行こうか?」と言うと、「ノ、走って行く」と言って再び
駆け足で出かけて行った。”やっぱりどこか抜けている!”

夕方はいつもの様に私は習い事のお稽古日。主人も18日の宮島での謡の奉納
に向けて最後の練習に余念が無い。
出かける前に夕飯の支度に取り掛かると、いつもの様に手伝いに下りてくれるホアン。
10時前に帰るから、先にお風呂に入っててもいいのよ・・・と言って出かける。
お稽古を終えて帰ってみると、既に主人も帰っていた。
二人で碁盤にむかっている。
ホアンに『五目並べ』を教えたらしい。
ホアンは感が良いのですぐ覚えてしまう。まだまだ主人には太刀打ちできないが
中々の筋の様だ。
食事が済んで「おまえ ちょっとホアンとやってみろ」と言う。
それでは!と碁盤に向かう。5本勝負。
どうにか私が3対2で面目を保つ。ホアンに負けるのも時間の問題だ!
「ホアンはもう2手先を考えて打ってるぞ」と主人。
こういったゲームはやっぱ左脳の人が強いのか?私は右脳なの!

   う〜ん! ああなって こうなるから 僕勝つヨ!   なかなか 覚えられないな〜!!

4月12日(木曜日)[ホイットニーが大好き!]
朝は時間の加減がだいぶ分かってきたのか、余裕が出てきた。
今朝は7:00に出かけて行った。
このところ少し口数の少ないホアン。何かを考えているような・・・・

夕方、お買い物を済ませ我が家へ急ぐ。
どんな様子かが気になる。
「ただいま!」と声だけかけて、夕食の支度に取り掛かる。
たまには嫌な時もあるだろうに、必ず手伝いに降りて来てくれる。
ホアンの持って来たスパニッシュの音楽を聞きながら・・・・。
彼の持って来たCDはどれも私の好みにぴったし!
スローバラードの曲も有るし、軽快な曲も有る。
私の持っているセリーヌ ・ディオンやフィル・コリンズ,ホイットニー・ヒューストン
彼は大好き!と言う。
ホイットニーフューストンの”ボディーガード”の曲を彼は高らかに歌いながら
包丁を握る。

今日は彼の大好きな”すき焼き”にした。前に作ったので、すべて彼に任そう。
材料だけ揃えておくと、きちんとやってくれる。

毎日空手メンバーの朝練風景を見ている様なのに、なかなかホアンの
練習は始まらない。
空手の胴着だけは、既に頼んであるのでそれが来るのも楽しみだ。
少し口数も少ないので、そっとしておいてやる。
食後はいつものように、散歩へ出かけて行った。

4月13日(金曜日)[囲碁で勝負!]
昨日少し元気の無かったホアンだったが、今日は心なしか明るい顔。
私も明日が休みと思えば気分もゆったりする。

夕方ホアンはたいてい私より一時間ばかり早く家に帰っている。

2階に「ただいま!」と言って上がってみると、ベッドの上でバーベルを
持ち上げている。
彼は筋肉を鍛える為、一行程、小1時間かけて10Kgのダンベル運動をする。
3Kgのダンベルは足首を鍛える為に寝転がって片足50回づつ上下させている。
彼は3歳頃、木から落ちて足首を折ったらしい。
今は別に痛みはないらしいが、無意識にかばう為、歩いていて
またしては、コキッと足首をひねったりしてしまう・・・と言っていた。
だから兎に角筋肉を鍛えているのだろう。
ダンベルをもった彼の腕の筋肉はカチカチだった。

一通りエクササイズを終えて、クッキングの手伝いに降りて来てくれる。

夕食後いつもの散歩を終えて帰って来たホアン。
「コレクトコールをしたい」と言うので、「どうぞ 使いなさい」と言うと
ククタの両親に掛けたいらしい。
11時頃はコロンビアでは朝の8時頃。
一度目は誰も出ないとホアン。
「おかあさん 掛けてみて・・・」と言うので、代わりに電話機を持つ。
コール音はしているがやはり誰も出られない。
「そんなはずないんだけどな〜!」・・・という様な表情のホアン。
また明日掛けてみる事にした。

                                        

明日が休みなので、気分もゆったりしているのか、主人と五目並べを始める。
私は台所を片付けて、勝負の行方を見る。どちらが苦戦しているのか?
沢山の碁石が敷き詰められている。
おとうさん「あ〜ぁ!勝負がつかん!ドローじゃ」と言っている。
ホアンすごいなー。(今日は私やめとこ!)
1時頃お風呂を済ませ出てみると、まだやっている。
側でしばらく見ていたが、私も寝不足!付き合ってられない。
「お先におやすみなさい」
結局二人は2:00まで頑張ったらしい。
4月14日(土曜日)[縮景園・ボーリング]
夕べが遅かったので、ほっとけば一日中寝るだろう。
主人と今日はどうする?と相談していると電話がなる。
ホアンがどうのこうのと言っているようだ。
学校へ行っている?って聞かれるので、「今彼は眠っていますよ」
「代わりますから、待って下さい」と電話機を持って2階に上がる。
熟睡中のホアンを揺り起こす。眠気まなこのホアン。『電話よ!』
ようやくシャッキっと目を覚ます。
友達からの様だ!高らかに笑う声や大きな声で話をしている。
とっても嬉しそうなホアン。
かかって来た電話なのでおもいっきり話をしている。
かれこれ30分。逆立った寝起きの髪で電話機を持って降りて来た。
彼の親友で、一級上の友達。ちっちゃい時からずーと一緒に育った一番の友達だそうだ。
両親が離婚されたので、自分が働きながら学費を稼ぎ大学へ行っているのだそうだ。
「とっても尊敬している」と言うホアン。
彼が、ククタの両親は、「パパ(ヨハネ パウロ神父)がベネズエラに滞在しておられ、
ミサに家族中で出かけられている」と連絡をくれたそうで、ホアンも安心した様子だった。

ほっておけば一日中寝そうだったが、幸いうれしい電話で目が覚めたホアン。
主人も今日は天候があまり良くないので、パラも諦めている。
じゃー今日はホアンを縮景園に連れて行こう!と予定が決まった。
11時ころから出かける。
「先にお昼を食べなきゃー、ホアンもお腹空いてるよ」と私。
このところ日本料理ばかりのメニューだったので、お肉も恋しいだろうと
観音の方にあるステーキ屋さんに行く。
ぞうりのようなお肉と格闘し、私はご飯を残してしまった。
ホアンはやっぱりお肉が主食!ペロリと食べてしまった。

腹ごしらえも済んだので、県立美術館で中国文明展をやっているのを
主人が見たいと言うのでホアンにも付き合ってもらう。
イヤホンでの英語解説が無かったので残念だったが、一緒に見て回る。
ホアンにはあまり興味が無かったようだ。

   オッス!!   よく手入れされているでしょう

   これ、何に使うの?   これは、庵(いおり)と言うのよ

切符を買ってそのまま縮景園に入れるので、ホアンに切符を買わせる。
「高校生は無料です」とカウンターで言われ、うれしそうなホアン。
既に桜は終わっているが、お庭がきれいなので、喜んでいる。
作務衣姿のホアンは縮景園にうまくマッチしている。
あちらこちらで写真を撮りながらお庭を堪能した。

   僕、こういうの大好き!!!   今度、パイン(松)のカット教えて下さい

   この橋渡ってはいけないの?   コロンビアでもみんな、見てるんだって。沢山写真撮ってね

   おかさんと   おとさんと

   灯篭もいろんな形がおもしろい   縮景園ぜ〜んぶ気に入りました

時間が少し早いので、ボーリングへ行こうか?と主人。ホアン「Sure!」と大賛成
今はボーリングも下火で待ち時間無く出来るのがうれしい。
ホアンの住んでいる『ククタ』には、ボーリング場が一ヶ所あるそうだ。
人が多いので、彼は2年に一回位しか行かないと言っていた。
さあ、プレー開始だ。『おとうさん・ホアン・私』の順。
ホアンは鍛えているので、ボールを投げるとはじけるような音をたててピンが
踊っている。
1ゲーム目はまぐれで私が一番!2ゲーム3ゲーム目共ホアンが一番だった。
隣でゲームをしていた4人の若者のグループ居た。うれしい事に、
ホアンがストライクを出すと、”ガッツ”という格好をしてホアンと握りこぶしを合せあい
一緒に喜んでくれた。
主人は最後には燃料切れで、ホアンに及ばなかった。
「まだゲームする?」と聞くと、「ノ!」と言うので満足したのだろう、帰る事にした。

お昼にお肉をしっかり頂いたので、夕食はダイエットメニューにした。
豆腐のあんかけ・ひじきの煮物。
出かける時にお豆腐に重石をして、水切りをしておいた。
片栗粉を付けてカラっと揚げ、次にひじきを炊く。
味付けはすべてホアンに任せた。CDを聞きながら、調味する。
「おっと!塩入れすぎちゃった」少し辛めのひじきの煮物になった。
夕飯はホアンが自分で全てやってくれるので、結構残さず食べてくれる。

「ごちそうさまでした・・・散歩いってきます」といつもの様に出かけて行った。
4月15日(日曜日)[悩むホアン?]
昨日は時折小雨模様のはっきりしない天気だったので、主人にとっては
安心して土曜を過ごせたようだ。
今日は久々のピーカンだ。
自他公認のパラ中毒患者なので、神の倉が気になって仕方ない様子。
昨日もパラのメンバーの方から、「お父さん どうしよってですかー?」と
かかってきていた。
こんな良い天気にじっとしている筈も無く「今日は行くぞ!」と言って
さっさと出かけてしまった。
あいにく私はお花の講習が午後からあるので、一緒には行けない。
ホアンもまたZZZzz・・・・の夢の中である。
洗濯したり、掃除機かけたりばたばたと用事を済ませると、もうお昼前。
『そろそろ出かけなくちゃー』
「ホアン!!」と2〜3度声を掛ける。
下に降りて来たホアン、「ぼく でんわ掛けに行って来ます」と言う。
「ホアン、あなたが帰った時、おかさんいないから、カギ持って出なさい」と
伝える。
この間から彼女にたびたび電話掛けに出かけている。
一番多感な年頃だから、無理もないが・・・・。
ホアンの心の不安定なのも、きっとそのせいだろう。

花講習を終えて、急いで帰る。勿論主人は未だのようだ。
ホアンはテレビのロボットコンテストを見ている。
台所からその後姿を見ると、なぜか淋しそうに私には思えた。
そーとしておく。
私は着替えを済ませ、夕食の支度にとりかかる。
ぼーとテレビを見ていたホアンだったが、台所でカチャカチャと
音がすると、テレビを消して台所をのぞいてくれる。
無理しなくてもいいのに・・・・と思いながら、「クッキング手伝う?」と聞くと
「OK!]とニコッ。
何かしてれば、気もまぎれようと、一緒に支度に取り掛かる。
「電話はしたの?」と一言聞くと、「ノ!」と彼。
彼の起きた時間は、コロンビアでは既に真夜中。
彼女は寝てしまっている時間なので、もうしなかったんだと言った。

一通りお料理も作り終えて、ホアンは散歩に出かけて行った。

                                        

7時半過ぎ、パラ中毒患者はご機嫌良く帰って来た。
条件も良く沢山飛べた様だ。
ホアンが元気がないので、私達も一緒に落ち込んでしまいそう。
どんな事でどう悩んでいるのか、私達には皆目検討がつかない。
主人も『ほっとけ!男じゃ、自分でなんとかするよ』と言う。

夕食を終えて再び散歩に出かけたホアン、電話を掛けているのだろう
帰りは12時過ぎだった。
帰りの遅いホアンが心配で、私は外でずーと待っていた。
遠くで”ピーポーパーポー”と救急車か何かのサイレンが鳴り
もしもの事があってはと、心配でたまらなくなる。

電話が鳴り、「おかさん、もう30分話をしたいので、おそくなります」と
言って電話を入れてくれた。
それでも心配で、とうとう私は車を出して途中まで迎えに出た。
とことこと向こうから黒い影が近づく。
気が付いたのかホアン、立ち止まりこちらを向く。
助手席に乗ったホアン、「Sorry Sorry」を繰り返していた。
帰ったホアンに「早くお風呂に入って寝なさい」と伝え、私達は先に
蒲団に入った。
4月16日(月曜日)[自転車がパンク!]
今日は多分空手の稽古がはじまるはずだ。
うまく参加出来て楽しければいいけど・・・・。

夕方家の近くで散歩に出かけるホアンと出会う。
今から出かけたらしばらくは帰って来ない。
晩御飯の支度先にしておこう・・・と作り始めていると「ただいまー!」と
ホアンのご帰還だ。

8時頃、「おかさん 自転車プシュー!だ」とパンクした事言っている。
「エー!!」今ごろになって何言ってんのー!
時間が遅いので、あちこちのバイク屋さんに電話しても、もう誰も出ない。
「もう少し早く言ってくれなきゃーどうしようもないでしょう!」とホアンに言う。
主人に携帯で電話して、相談する。主人も「どうしようもないだろー」と言う。
とにかく、おとさん帰って相談しましょ!とホアンに伝え帰りを待つ。

夕食を食べながら、いきさつを聞くと・・・
朝、自転車に乗ろうとしたら、タイヤがぺちゃんこで、常設の空気注ぎを借りて
空気を入れて学校に行ったそうだ。
学校近くまで行ったあたりで、また空気はなくなり、えっこらやっこら押して
学校へたどり着く。
夕方は空手には参加せず、また押して2時間かけて駐輪場まで帰ったと言う。
「二時間もかかるかな〜??」
それにしても、もっと早く言ってくれれば、対処出来たものをとはがゆい思いがする。
多分おっとりしたお国柄だから、日本人みたいに”生き馬の目を抜く”様な事は到底
考えられないのだろう・・・。

結局明日の朝は主人が学校までおくって行く事になった。
「ホアンが帰る夕方までに、パンクはなおしてもらっといてやるから・・・・」と主人。
明日は空手があるとホアンは言うので、時間を聞くと6:30に終わると言う。
「じゃー6:30におかさん、学校へ迎えに行くから待っててね。」と言うと
ホアン、申し訳無さそうな顔をして「ありがとござます」と言った。
4月17日(火曜日)[ホアンを待ちぼうけ!]
朝、ホアンを送って行くので、主人は少し早めにホアンと出かけて行った。
ホアンの自転車を近くのバイクショップで見てもらう。
借り自転車ではあるが、タイヤ、チューブは新しいはずだ・・・と主人。
たびたびパンクするようでは困るので、見てもらうと言っている。
帰ってきた主人に聞くと、鉄の切子がささっていたそうだ。
「タイヤもチューブも新しいので、別に替えなくてもよさそうだった」と。

夕方6:30を待ってホアンを迎えに学校へ急ぐ。
学校へ着くと、未だグラウンドでは生徒達がグラウンドをならしたり
片づけをしたりしている。
ホアンはどこかいないかな?と見回すが居ないようだ。
しばらく待っていたが、事務所で聞いてみよう、と思い車を降りる。
事務長の石原先生がのぞいて下さる。
担任の先生を呼び出して、聞いて下さっている。
上西先生も駆けつけて下さって、「自転車がパンクしているので、歩いて
帰るような事を言っていましたよ・・・・」と言われる。
「えー!!そんなー」
「夕方6:30にここに迎えに来るからね、と言っておいたんですが・・・」と言うと
「じゃーもう一度見てきましょう、あれでも他の教室に居るかもしれませんから」と
教室を回って見て下さる。
しばらくして降りて来られ、「やっぱり、おりません・・・帰ったんでしょうね」

お礼を言い家に急ぐ。玄関をみると靴は有る。帰っているようだ。
”ホアン!”と声を掛けると「ハーイ」と2階でホアンの声。
私はダダダ・・・!と2階に駆け上がり、「ホアン!何故連絡しないの!」
とホアンを目の前にして怒った。
「昨日私が言った事覚えていない?」
「6:30に学校に行き、ずーと待ってたの!」言うと、
「電話しようと思ったけど、電話番号のメモがみつからなくて・・・」と
言っている。

”もういいわ”とホアンをふりきって自分の部屋で気持ちを落ち着ける。
なんだか訳も無く目から涙が出てくる。無常に悲しくなってしまった。
私の取り乱した様子にどうしていいか分からずおろおろしている。

着替えをしながら、少し怒りすぎたかな?と反省!
あまりホアンを不安がらせても可愛そうと思って、気を取り直す。
夕食の支度をするため、下に降りると、ホアンは「I'm sorry」と
悲しい顔をして私に謝った。

ホアンはとってもあたまの良い子なので、きっと私が何を怒っているのか
よくわかったと思う。

彼の生きてきた中では、すべて彼の両親や周りの人たちが
彼をサポートしてきて、きっとそれが当たり前の事として、生活してきたに
ちがいない。
日本で生活する中で、日本人のきめ細やかな心使いや、他人を思いやる心
を培って欲しいと思う。

ただホアンはとっても気持ちのやさしい子なので、きっと私に迷惑をかけまいと
思っての事だったのだろう。

ホアンも笑ってくれたので、”今日も美味しい夕食作ろうね!!”

明日主人は宮島での謡の奉納があるため、着物を用意しておかなければ
ならない。
扇子・帯・紐などを出して揃えておく。
ホアンそれを見て「おー!きもの・・・」と言う。
彼は京都の舞妓さんの事を思い出して、『日本の舞妓さんは外国ではものすごく有名だ!』
言っている。
舞妓さんは何をするの?と聞く。

彼は日本の庭園、建築、お寺等とっても好きだと言う。
いつか京都にも連れて行ってやりたいと思う。
4月18(水曜日)
朝主人は宮島能舞台でのお謡の奉納日。
集まって一回通し稽古をする為早めに出かけて行った。
ホアンも合い前後して学校へと出かける。
元気に「いってきまーす」。にこっと笑って出かける。
私も昨日の事でホアンも不安がってはいけないので、「気を付けて行くのよ」と
やさしく微笑み返す。

食後ホアンはククタのお母さんに、足のサポート帯を送ってほしいと
電話していた。
どうも空手を始める為に、足のプロテクターが要るらしい。
お母さんがHPでホアンの写真をご覧になったらしい。
”さくら”とか”パラペンテ”等と説明していた。
お母さんの声を聞いて少し元気が出たようだ。『よかった!』

夕方はいつもの様に私はお稽古日。
宮島の謡が無事終り、もみじ饅頭を土産に買って来た。
家に持って帰り、ホアンと食べながら、ちょっと腹ごしらえ。
早めの夕食の支度も、いつもの様に手伝ってくれる

夜お稽古を終えて帰って見ると、ホアンは主人と囲碁を楽しんでいる。
主人に『ホアンの実力の程は?』と聞くと『まだまだじゃのー!』と言っている。
私は10回やって7回は負けるので、もうホアンには物足りない。
一回負けると次ぎの最初の一手は2個の碁石を置き、それでも負けると
3個置く。私は4個も置きホアンに笑われた。
密かにホアン攻略法の手ほどきを主人から習うもやっぱりダメ。
もうホアンの相手ではない・・・。


台湾に行かれたパラの友人Oさんから、ホアンにメールを頂いていた。
2〜3日ホアンの気持ちが落ち込んでいたりしたので、見せそこなっていた。
食事の時に、「ホアンにまたメール頂いたのよ」見せると、
ニコニコしながら読んでいる。私達にはスペイン語なのでわからない。
ホアンはづらづらと読んでいる。そして急に笑った。
「何?なに?」と聞くと、「えー!!おとさん誕生日?4月16日・・?」と言う。
そうだけどどうして?
このメールに「おとさんの誕生日だから、ホアンは内緒で何か買って
プレゼントしなさい。金額はほんの100円でも200円でもいいんだよ」と書いてある。
と言う。
この事はくれぐれも内緒だよ・・・・と書いてあるのを私達の前で読んでしまったので
笑ったのだろう。
メールを読んだ後、あれー!!もう過ぎてしまった・・・『オメデトゴザマース』とホアン。
Oさんのホアンや私達に対する思いやりがとてもうれしかった。

コロンビアでは、何かあるとすぐ集まってダンスをしたり、飲んで歌って
とにかく楽しく過ごすらしい。
私達のように、気が付けば過ぎてしまっていた・・・!なんて言うのは
とても信じられない、という表情だった。
日本は忙しいの!!
4月20(金曜日)[お弁当談義!]
一週間はあっと言う間に過ぎていく。
ホアンの学校が始まってから、私は以前より一時間程早く起きる事にした。
朝はホアンの持って来たラテンのCDを聞きながら朝食の支度やお弁当を作る。

お弁当もホアンの好んで食べる物、そうで無い物が分かってきたので
だいぶ残さず食べてくれるようになった。
とにかくご飯はほんの一握りで良い。
押し寿司に昔使っていた、花びらの型やひょうたんの型、動物の木型に
ご飯を型押しして、楽しんで食べてくれるように工夫した。
以前はほんの一握りのご飯でも残していたが、今は殆ど食べているので
うれしい。
彼はスナック類が好きなので、じゃがいもをスライスしてカリッと揚げ
ポテトチップスを作る。食後のデザートに別の容器に入れて置くと
残さず食べている。
「ホアンに私が作ったのよ」と言うとえー!!とびっくりしてくれた。
これもいつかホアンに教えてあげよう・・・。
彼は野菜が苦手!
日本人の食生活で野菜は重要な部分を占めるが
彼の国では殆どの食物はクックする(煮たり焼いたり・・・)と言っているので
生で食べるという習慣は無さそうだ。
きゃべつの千切りも食べない。レタスのはっぱも全然食べない。
卵焼の中に忍ばせても今のところ食べていない。
野菜をどう料理して食べさせるか・・・!が問題だ。
お弁当に欠かせない物はなんと言ってもお肉!
ハンバーグでも良い、塩コショーで焼いても良い。
お肉だけは最初から残さず食べている。ウインナーも大好き!。
一生懸命作ったお弁当を残さず食べてくれているとほんとに嬉しい。
空手が始まるとお腹もすくだろうなー!
張り切って作らなくっちゃー!!

   かつら剥き上手でしょう   かきあげてんぷらも上手でしょう