スペイン旅行記 愛子 記

     2006年 7月・8月
7月15日(土曜日)スペインに向けて いざ出発!!
今年4月に夫婦共々はれてリタイヤ族の仲間入り。かねてよりの念願であったスペイン旅行をする機会が訪れた。
パラグライダーの知人で、現在東京朝霧エリアでインストラクターをしておられる川地さんという方から
「6月半ばにスペインパラツアーがありますが、稲垣さんどうでしょうか?」とのお誘いがあった。
これはちょうど良い機会とばかり参加OKする。日程は7月15日成田初パリ経由でスペインマドリッド着。帰国は23日。
丁度良い機会と思ったのは、パラグライダーを楽しんだ後、私達はしばらくスペインに滞在し、出来れば少し時間を
かけて、スペインを知ろうと思ったからである。
6月半ばという事であったが、なかなか人数が揃わなかったらしく、結局7月予定のパラグライダーフランスツアーのメ
ンバーをスペインツアーに変更し、10人余りのメンバーが揃ったようだ。

さて、顔ぶれは、インストラクター川地さんを筆頭に、朝霧エリアや関東・北陸で飛んでいるメンバー8名。
そしてスペインで合流する2名スタッフである。まずは東京成田で川地さん他メンバーの方達と合流する。
荷物はパラグライダー兼1ヶ月弱の旅行の為、まずは主人のパラグライダー道具一式、大小のスーツケース3個の合計4個。
パラグライダーと大きなスーツケースは預けの荷物、小さいスーツケースは機内持ち込み荷物とする。

川地さんとの合流は夕方であったが、東京に居る長男に会うため少し早めに広島空港から東京へ向かう。
土曜日で会社が休みの長男はすでに羽田で待っていてくれた。
一時間余り、スペイン旅行の話や、仕事の事そして早く身を固めるよう、ちょっと苦いことを言って羽田を後に成田向かう。
一番先に着いた私達は、川地さんしか面識が無い主人なので、それらしき人を雑踏の中に探す。
大きなパラザックを担いでいる人が居た。声を掛けるとやっぱりそうだ。
この方は菊池さんと言われて、朝霧で飛んでおられる人であった。半導体関係の仕事で良く東広島には来られるとの事。
そうこうしていると次々とメンバー参集。ところが肝心の川地さんが未だである。
携帯で連絡をとられると、高速の事故に巻き込まれて車の中でイライラ状態らしい。
でもだいぶ余裕を持って出られたので間に合うことは間に合うらしい。待つ事小一時間、無事川地さん到着。
揃ったメンバーは川地さん以下、菊池さん、木村さん、野中さん、長岡エリカさん、田村康子さん、
渡辺さん、三島さんと私達である。
空港には川地さんの奥様と坊ちゃんがお見送りに来られていた。
奥様は山口出身の方なので、少しお話をする。「奥さんも飛ばれたらいいのに・・」と言って下さった。
以前川地さんが広島に来られた時、我が家に泊まられてスペインでのパラのお話をした時、私もタンデムフライトを
したいと言っていたので・・・。そう思っていたのだが、わざわざ私のためにタンデム用の機体を持って行かれるんだぞ」と
主人が言うので、私にはこのスペイン旅行の目的は他にあったので今回は諦めた。
メンバーの中には、フランスや、スイス等パラグライダーの経験者もいらっしゃったようだが、
スペインでのフライトは始めてなので、期待にあふれた様子。
メンバーが揃ったところで、空港での搭乗手続きなどして、スペインへ向けての出発となる。
まずは11時間あまりのフライトでパリに到着予定だ。
飛行機に乗り込むと心ウキウキする。3年前に南米コロンビアに向けてフライトして以来の長距離フライトである。
10時半離陸。フランスドゴール空港には時差を(日本時間−7時間)入れると16日の朝早くの到着だ。
機内では良く眠られ、無事ドゴール空港に着くも、まだ朝早いため空港の人はまばらだ。
ここで3時間待ち、スペインへのフライトとなる。

 パリドゴール空港 パリドゴール空港

空港では、メンバーの人たちは携帯電話の番号をお互いに聞きあって自分の携帯に登録する作業。
スペインに到着するとすぐにパラのエリアに直行するからだ。
私達はスペイン逗留先で借りる事になっているのでそれからだ。
とりあえず皆さんの電話番号を控えておく。
さて3時間のスペインへのフライト待ちの後、マドリッドに向けて出発となった。
機内からフランスの国土を見下ろすと緑と赤茶色の大地が見渡せた。
あーあ、これがフランスかぁ〜・・・しばし、はるばる来たこの大地を感激しながら見ていた。
7月16日(日曜日)
パリからマドリッドへのフライト時間は2時間である。
上空からは赤や、黄色の大地の間にオリーブの木であろうか、はたまた葡萄の木なのだろうか行儀よく縦横一直線に
木が植えられている。これがスペインなのかー・・・としばらく息をのみ下を眺めた。
飛行機は高度を少しづつ下げて無事マドリッド空港に到着した。
だれもチェックでひっかかる事無く無事ゲートスルー。
このマドリッド空港で、現地パラグライダーチームを補佐するインド人エディと車回収の為アルジェリア人でラザックという
人が待っているとの事。
待つこと30分余り、ラザック、エディと合流。

 マドリッド空港前

私達はマドリッドでの逗留先となっているSNJ(スペインなんでも情報の略)という施設へ携帯電話を借りに
川地さん運転の乗用車で連れて行ってもらう。
マドリッド市内に入ると、さすがマドリッドなんだ!!すごい車、ビュンビュンスピード出して走っている。
車は左ハンドルの右側通行。道はロータリーになっていて、地図に疎い私は何が何だかさっぱりわからない。
川地さんは世界大会やパラツアー等で何度もスペイン、ヨーロッパは来られているので、マドリッド市内の運転も
臆することなく流れに沿ってスピードを出して運転されている。見ていても怖いくらいだ。
私なんか立っていてくるっと一回りしたらもう右も左も分からないほどの、ど方向音痴で悲しくなる。
マドリッド市内を地図を片手に私達の泊まる予定のSNJのほぼ近くまで来た。
スペインに来て初めて私のスペイン語力が試される時が来た。
小さなお店に入って行き、SNJの住所を見せて「この住所に行きたいのですが・・・・」と言うと、
まさに目と鼻の先にそれはあった。
どうにかスペイン語が通じた事にほっとする。
お願いしていた携帯電話を借り、すでにパラエリアである「ピエドラヒタ」に向かっている皆さんを追いかける。
マドリッド市内からそのエリアまでは車で一時間半くらいである。
途中のSAのようなレストランで軽く食事をし、皆さんの後を追いかける。
午前中にマドリッドに到着したので、パラメンバーの面々はやはりひとっ飛びしないと気がすまない様子。
とにかくパラエリアに向かうことに・・・。
スペインに来てびっくりしたことの一つに、”日没がとても遅い”という事。
8時になっても9時になっても外はとても明るいのだ。日暮れは10時半頃。
最初は私の時計が間違っているのかと一瞬思ってしまったほどである。
そんなわけで、パラフライヤーにとってはかなりの時間飛ぶ事が出来るのできっとうれしいと思う。
結局その日は皆さん長時間の飛行であったにもかかわらず、元気にフライトされていた。
7月17日(月曜日)
さて、私たちの宿泊先である旧農家には、一階、2階共で、5部屋から6部屋あり、お風呂シャワー室がある。
昨夜の飛行機、パラのフライト疲れも充分癒され、朝はゆっくりと目が覚めた。

 宿泊先の別荘 野外テーブル 宿泊先の別荘玄関

 宿泊先の別荘プール 宿泊先の別荘バーベキューコーナー

食堂では川地さんを中心に、昨日のフライトデータをコンピューターに取り込んで、反省会であろうか、盛り上がっている。
さて、大方の反省会も終わったようで、それぞれに腹ごしらえをした後、三々五々パラ支度をととのえて、さあ出発だ。
スペインで必ず忘れてならないのは”ペットボトル”である。日中の温度は40度近くに上がると聞いている。
皆さんでかける前に途中スーパーに寄りペットボトルの水を買う。昨日に引き続き今日もピーカンのスペインである。
私はビデオカメラで皆さんのフライトの様子を撮る。
フライトに関しては主人がHPを逐一書いているので、そちらにお任せである。(40Kmのクロスカントリー)
それぞれに思う存分(?)飛んだ面々は、ピエドラヒタでパラフライヤーの行きつけのバール兼レストランで夕食だ。
スペイン語を勉強はしたけれど、メニューを見てもどんな料理やらさっぱり分からない。
結局川地さんに注文は委ねることにした。
このピエドラヒタから宿泊先までは車で40分くらいである。
食事を終え、やっと日没となった10時半すぎ宿に戻る。
私は飛ばないので疲れないようなものだが、ここスペインの暑さは格別だ。
けれども、日陰にさえ居れば、ほんとに天国!とても乾燥しており、汗もかかない。
これがスペインの素晴らしい魅力だと感じた。

 宿泊先の別荘での朝食 ピエドラヒタのレストラン 
7月18日(火曜日)
スペインの夜明けは大体7時頃である。夜が遅い分みなさん朝はゆっくりと休まれているようだ。
朝起きて窓を開けると少し曇りのようだ。
パラグライダーの為には今日の天候はあまり芳しくなさそう。皆さん様子見でゆっくりとされている。
まずは朝食を昨日の残りパンにハム、チーズ等をはせこんで頂く。メンバーのうち女性軍は洗濯機を借りて洗濯に余念がない。
メンバーの一人菊池さんという方が、昨日ランディングした時にデジカメを落としたと言われて、
回収の為雇われているラザックという人と、探しに出かけて行かれた。
そして2時間ほどたった頃、見つから無かったようでがっかりの顔でもどられた。
その後ザックの底から出てきたらしい。良かった。
芳しくない今日の天候で、皆さんはそれぞれに洗濯、納屋で卓球、キッチンでパソコン・・・等等思い思いの時間を過ごしている。
私は近所の探索に・・・。スペイン人はいつもにこやかで、明るくて、人なつっこくて、陽気である。
私もスペイン語ブラッシュアップの為、勇気を出して近所の人達の会話に加わる。
私が二言、三言スペイン語をしゃべると、もうスペイン語のわかる日本人が来た!!とばかりに弾丸の如くしゃべってくる。
あああ!!やめて。と言いたいところだがいったんしゃべりだしたおじさん、おばさんは止まってはくれない。
もうこなったら、わからくてもいいや!で相槌を打つ。20%くらいしか理解出来なかったなぁー!もっと勉強しなくては!!!
結局今日のパラグライダーはどうやら中止となり、セゴビアへの観光モードに切り替わった様だ。
Segoviaは水道橋で有名な所。水道橋を見た後は、子豚の丸焼きを堪能。
生まれて間もない(10日から15日)の可愛い子豚を可愛そうに!!美味しそうな丸焼きとなり大きなお皿にのって出てくる。
そしてレストランでは、シェフがパフォーマンスをしてくれる。
お皿にのった美味しそうな子豚ちゃんを皿でポンポンポンと切り分けるのである。
お皿でも切れる程柔らかいですよ!!というパフォーマンスらしい。そしてそのお皿を床にポーンと投げて割るのである。
居合わせてお客様からは、拍手喝さい。
そして可愛そうな子豚は人々の胃袋の中へと消えていくのであった。子豚ちゃんごめんなさい。
今夜のお食事代は・・・お一人様40ユーロ (≒¥5500)でした。
ピエドラヒタの宿泊先にもどったのは11時過ぎであった。

 セゴビアの水道橋 セゴビアの有名レストランで

 ウエイトレスの首筋には「和」の刺青が かわいそうな子豚ちゃん
7月19日(水曜日)
朝は少し日がさしていたが、だんだん今日も雲行きがあやしい。
11時過ぎまで皆さんはうだうだと過ごしておられる。
昨日に引き続き今日もパラグライダーにはあまり芳しくない天候のようだ。結局今日も観光モードとなった。
今日の観光場所はサラマンカである。こうしてスペインは飛べなければ観光の場所がいくつもあるので楽しい。
サラマンカは大学と聖堂が有名。
出かけたのが既にお昼まえだったので、街に着くとまず腹ごしらえだ。通りに車を置きレストランを探す。
インド人のエディはベジタリアンなので、フランスレストランにラザックと入っていった。
私たちは川地さん達と他のレストランを物色。皆さんの意見がバラバラで結局
エディ達を追いかけてベジタリアンレストランへ押しかけた。
豆のスープやメロンの冷たいスープ、きのこのグラタンとスペインに来て初めて胃の休まる食事に出会った気がした。
ここサラマンカには白雪姫のモデルとなったアルカサル城がある。とても可愛いかっこいいお城であった。
またサラマンカ大学も有名。貝の家と言ってコンクリート壁に巡礼を意味する貝の形のものがくっつけた建物。
15世紀頃立てられたゴシック様式の建物である。街を一通り見歩いた頃しとしとと雨が降り出した。
急ぎ車に乗り込みピエドラヒタへと戻る。

 白雪姫のモデルとなったアルカサル城 

 ベジタリアンレストラン 一休み

夕方近所の奥さん達がお散歩に誘って下さった。マドリッドやバルセロナといった都会に住む人達の
避暑地であるこの場所は立派な家が多い。
散歩していると大きな角を持った牛がいる。「これは闘牛用の牛なのよ」と説明して下さった。
近くに住むアンヘルがロバを引いて来て、エリカちゃんと私を乗せてくれあたりを一周してくれる。
今日も楽しい一日でした。

 ロバに乗る??? ロバに乗る???
7月20日(木曜日)
天候も何とか良さそうで、今日こそ飛ぶぞ!!と皆さん張り切っておられる。
今日は近所の奥さんグティが「トルティージャを教えてあげよう」と言われたので、村に残る事に。
パラメンバーの田村さんが絵葉書を出してほしいと頼まれた。丁度ロバのアンヘルが声をかけてくれた。
「この絵葉書出したいんだけど・・・」と言うと、「私はポストマンだよ!お安い御用」とばかり私を車に乗せて
宿から下ったあたりで別の女性を呼び止めて何か指示している。
そして10枚の葉書を6ユーロで出してもらった。
頼みついでに、主人のサンダルを買いに行きたいんだけど・・・と言うと、「じゃーピエドラヒタの町へ
連れて行ってあげよう」とまったく人のいいアンヘルである。
そのまま車を飛ばしてピエドラヒタの町へ連れて行ってくれた。
そして主人のサンダルを買うとこれはAikoに買ってあげると私のサンダルのお金を払ってくれた。
まあ、とても安かったみたいだけど、得しちゃった。
午後から、グティのおうちに伺ってトルティージャを教えて頂く。
トルティージャはジャガイモをスライスして炒め、溶いた卵をそれにかけて
ふんわりと焼き上げるスペインの代表的な食べ物である。
グティは上手に包丁を操り、まな板も使わずジャガイモをスライスしていく。
勿論お箸を使うわけではない。フォークでフライパンのジャガイモを混ぜ、フォークで卵をかき混ぜメレンゲ状にしていく。
30分ほどでふんわりとしたトルティージャの出来上がり。
これは皆さんで召し上がれ!とフライパンからお皿にポンとひっくり返し渡して下さった。
パラグライダーから帰った皆さんに喜んでもらえそう!!
3時からアンヘルは隣町のバルコに連れて行ってくれ、夕食までご馳走になってしまった。
夕食は皆さんとアビラの街に行く。
今日も楽しい一日であった。

 アビラの城壁(世界遺産) 
7月21日(金曜日)
今日はピエドラヒタは風が強いし、フォローで飛べないらしい。
パラグライダーツアーも明日が最後なので、別のテイクオフ場に行って見ることに。
がたがた道を車を走らせ風の具合を見る。風がめっちゃ強い。皆さん座り込んで風の納まるのを待つ。
パラグライダーというのは、風待ちのスポーツでもある。何時間も待つ事は苦にならないらしい。
すでに時計は6時だ。スペインでの6時はまだまだ明るい。何せ10時半過ぎにならないと暗くならないのだから・・・。
6時過ぎ頃ようやく風がおさまってきた。
インド人エディが一番手でテイクオフ。彼はパラの世界大会などにも何度も出場するベテランである。
一番にテイクオフして皆さんが飛び出して来るのを待ち、飛んでいる人には的確なアドバイスをし、高度の下がって人には
あそこがいいよ!とサーマルの発生している場所を教えている。すごい人だ。
菊池さん、えりかさん、田村さんがテイクオフして飛んでいる。主人もテイクオフ。
今日は主人は頑張った。ピエドラヒタへの途中までエディと二人だけで飛んで行った。(15Km?)
大満足の日だったようだ。それぞれに皆さん最後のパラを楽しまれたようで、夕方はアヴィラの街まで行き夕食を食べる。
明日はマドリッドに戻り、帰国の途に着く皆さん、戻り帰国の支度をしなければならない。
宿にもどったのは12時をまわっていた。
田村さんは皆さんより一足先の飛行機のチケットなので私たちも一緒に彼女とマドリッドに戻る事になった。
運転は川地さん。
お風呂に入り、支度をしていたら3時。4時には此処を出発しなければならない。
うとうとと小一時間ほど寝た後マドリッドに向けてピエドラヒタを後にした。


7月22日〜8月10日YOUTUBE動画にて