ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                              愛子 記

     2005年 1月
1月3日(月曜日) 国際交流で幕開け
今日はアンヘレスが3人の友達を連れて我が家にやってくる。
私一人では手におえない・・・と助っ人に一緒にスペイン語を習っている知子ちゃん、真美ちゃんを呼ぶ。
お昼を一緒に食べましょうと誘ったので、11時頃来る予定だ。
真美ちゃんと知子ちゃんがまず到着。近くまで迎えに行く。
程なく近くのスーパーに着いたよ〜!とアンヘレスからの電話だ。
急ぎ真美ちゃん達を家に案内し、牡蠣フライをやってもらうよう御願いし、アンヘレスを迎えに。
訪れたのは、アンヘレスの友達で、京都の同志社大学で日本文学を勉強中のメキシコ出身のテオ、
神戸でNOVAの先生をしているニュージーランド出身のキャメロン。
そして広大で勉強中のブラジル出身のアンドレとなんと国際色豊か!!
テオは日本文学を勉強しているだけあって日本語はペラペラだ。
以前、テオとはアンヘレスの携帯で会話した事はあったが、会うのは初めてだ。

  オラ〜!マイ ネーム イズ キャメロン (ニュージーランドです)  オラ〜!! ソイ テオ (メキシコ人です)  ソイ アンドレ! (ブラジルからです!)

我が家に案内し、キッチンで手伝いをしてくれている真美ちゃん達とお互いに紹介しあう。
お正月なので、おせちも用意。
とは言っても毎年田舎でお正月をしていたので、おせちは出来ない私。
すこし見栄えの良いおせちを買っておいた。
見た目にはとても綺麗だが、さてさて彼らはお箸を付けるだろうか???
牡蠣フライも揚がったので食卓に付く。
ワインで乾杯!! ベイン・ベニード(ようこそ!!)とグラスをかたむける。
外は少し曇っていて、とっても寒い。やはり冷たいお料理よりも牡蠣フライのような
暖かい料理が好まれた。私が作ったのは、まき寿司と牡蠣フライぐらいだったが
物めずらしも加わって、半分位は食べてもらった。

私の隣りに座ったニュージーランド出身のキャメロンはまだ日本に来て8ヶ月なので
日本語はあまり分からない様子。時々テオが通訳している。
彼等留学生は年末には、岡山のお寺に結集し、ほんの少し日本の伝統に触れたそうだ。
例えば、座禅をくんだり、お経を唱和したそうだ。キャメロンはそれがとっても気に入って
心が落ち着いて素晴らしい経験だったと話してくれる。
岡山ではあたりが真っ白い雪が積り、ニュージーランドでは今夏のキャメロンには新鮮な
驚きだったようだ。アンヘレスも携帯のカメラにしっかりと雪景色を撮りこんでいて見せてくれた。
一通り頂いて、皆んなお腹も一杯の様子。
スペイン語の上手な真美さんはアンヘレスとテオと楽しく歓談している。
知子ちゃんと私はきゃメロンと通じる様で通じない英語でしばらく歓談。
でも彼らはそれぞれに日本をとっても好きな様子で、会話ははずんだ。

  スペイン語の達者な真美さん。  年末は岡山で座禅をしたのよ! へえ〜!!  でも 足が痛くてね〜!! 困っちゃったぁ〜!!

今日アンヘレスが我が家に来たもうひとつの目的は、主人のやっているパラグライダーを見る為であった。
年末に行われたサンタフライトでアンヘレスの友達、マルタは私と一緒に神の倉に行き、
タンデムフライトを経験した。
当日マルタが喜びを京都旅行中のアンヘレスのはずんだ声で報告したらしい。
それじゃ〜!と友達を引き連れて我が家に来たまでは良かったのだが・・・・。
今日も朝から神の倉に行っている主人に様子を聞く為電話する。ところがあいにく神の倉は雨模様。
「来ても誰も飛んでないよ」との事。
すっかり気落ちしたアンヘレスだったが、そこは明るいメキシカン!!。庭に出て池の鯉をつっついたりしている。
なぜか彼女は魚が大好きと言う。前に我が家に来た時、池にいる4匹の鯉に命名。
黄金色の鯉はキンちゃん、赤白の鯉はシャキーラ、真っ白の鯉はブランキータ、
そしてもう一匹薄いピンク色の鯉はルピータ。
名前を呼びながら、冬の今は蔭に入って眠っている鯉を長い竹でつっついている。
するとブラジル出身のアンドレも外に出て来る。
そこで写真を一枚撮る。広大で環境化学という難しそうな勉強をしている彼だが、
とっても穏やかそうな性格で、「今日は本当に招いてくれて有難う」と丁寧に言ってくれる。

  ここの鯉、みんな寝てるのよ〜!  いつも明るいアンヘレスとアンドレ。  真美さんは英語も達者。キャメロンと歓談

  京都には沢山のお寺、寺院があってね〜!!  日本文学勉強してるからね〜! へえ〜・・・・。  秀才 テオ。  日本大好きだよ!!

寒いのでもう一度中に入り、3時のおやつにする。
昨日焼いておいたチョコレートケーキとチーズケーキを食卓に。
チーズケーキの売れ行きはいまいちであったが、チョコレートケーキは美味しかったのか
あっという間に売れてしまった。
このケーキは板チョコをバターと一緒に溶かして焼いたケーキなのだが、温度を上げたり、
下げたりと結構面倒だったが、とっても評判が良かったので、良かった〜。
このケーキは私の18番にしよう!!
少し落ち着いて間があいたようなので、すかさず私はトランプと百人一首とウノを用意。
百人一首はみんな眺めていたが、日本人でも難しいのだから、彼らにはなんの事やら!!という様子。
「犬棒カルタ」いわゆる「犬も歩けば棒に当たる」と言う、私達が小さい頃からあるカルタであるが
これを物珍しそうに長めていたキャメロン、気に入ったのか「これ下さい」と言う。
そうか、まだ日本に来て日の浅いキャメロン、これで日本語習得か?良いアイデアである。
残ったウノのゲームをする。彼等はきっとどこかでやった事があると見えて、ルールも良く知っている様子。
早速カードを配りゲーム開始。
このゲームは二人以上、何人でも出来るので楽しい。同じ数字のカードや色のカードを真ん中に出して
早く手札が無くなった人が勝ちである。
手持ちカードが後一枚になった時、すかさず”ウノ!!”と言わなければならないのだが、言い忘れると
ペナルティで再び手持ち札を数枚頂くようになるのだ。
最初はテオが勝ち!続いてアンドレ!私達はブーであった。
何度か楽しく遊んでいるうちに、4時頃になり、今日夕方から岩国の友人の所へ行く事になっているテオが
「ぼく、そろそろ行かないと・・・」と言う。
駅まで、アンヘレスの車で送って行く予定なので、皆んな腰を上げる。
とても楽しかったと、それぞれに御礼を言ってくれる。
テオは今年の3月にはメキシコに帰ってしまうので、再びは会えないかもしれないが、アンドレ、キャメロンは
またいつか会う事もあるであろう。
メールのやり取りなど約束して、玄関先まで見送る。
アンヘレス以外初めて会う人ばかりだったが、南米というお国柄か、とても明るく、友好的で
あっという間の半日であった。
真美ちゃん、知子ちゃんも終始にこやかに彼らと歓談し、彼女達もまた招待を心から
喜んでくれて、ホストの私としては、ほっと胸をなでおろすところであった。

知子ちゃんや真美ちゃん達とはそれから暫く雑談をする。
春になったら、みんなでドライブでもしましょう!と真美さんの提案。

外はすっかり暗くなり、真美さんたちも我が家をあとにする。

とっても楽しい一日であったが、アンヘレスの今日のメインであったパラグライダーを見る!という
希望に添えなかったのが唯一残念であった。
またその内パラグライダーを見に、神の倉へ連れていってやろうと思う。


1月28日 (金曜日) Cumpleanos de Martha
今日は花金。といってもこのところ一年で一番の寒さ。早く家に帰って暖まりたい。
そんな事を考えていると、アンヘレスから突然メールが入る。
”Hola, Mama Aiko! Hoy is cumpleanos de Martha y ella quiere cenar en Hiroshima.
Quieres venir con nosotras?"  今日はアンヘレスの友達、マルタの誕生日らしい。
二人は西条に住んでいるけれども、夕方広島に出て来て食事をするので、私達も一緒にどう?と
お誘いのメールである。
土日はいろいろと予定があって忙しい私達だが、ウィークデーなら仕事が終われば何も無い。
すぐに折り返し「喜んでご一緒しましょう!」とメールの返事を書く。
彼女達と付き合っていてびっくりするのは、私達より余程広島市内に詳しいという事である。
マルタにしてもアンヘレスにしても、メキシコのほんの一握りの優秀な学生であり、国から奨学金を得て
こうして日本に留学しているが、上手にお金を使い、日本をエンジョイしているように見える。
デオデオの前で8時に会う約束をしたので、主人ともども出かける。
金曜日の夕方とあって、広島の街中は結構人通りが沢山だ。
待っていると、アンヘレスとマルタが仲良く私達に気付き足早に歩いて来る。
「オッラー!!マルタ、アンヘレス!!」久しぶりの再開に抱き合う。
「行きましょ!」と言って私達を案内してくれたのは、デオデオの裏どおりあたりの”KEMBY’S”という店。
扉を開けて中に入ると、そこは何か別世界の様相だ。目を凝らして見回すと外国人のお客さんが多く、
ウエイトレスも数人は外国人だ。やはり外国人は外国人同志集まるこんな場所があるんだ〜と感心する。
一番奥の方に進むと、小さなステージがあり、ドラムとかピアノとか楽器が置いてあり、
時にはバンド演奏などもやっているのだろう。その近くの席の丸テーブルに座る。

       

ここでは何カ国かの外国の料理が食べられるみたいで、メニューを開くと、ずらずらと訳の分からない
料理名が並んでいる。アンヘレスに何でもいいお任せするから選んでね」と言うと、やはりメキシコ料理の
中から何点か選んでいた。
お料理が来るまで、マルタに私達が準備した、花かごを「フェリス クンプレアーニョス 誕生日おめでとう!!」と
言って渡す。感激のマルタ!
数分すると目の前にずらずらとお料理が並ぶ。サラダ、タコス、肉料理等等。
ご飯に漬物党の主人はタコスを2個位食べたが、どうもこれ以上は喉を越さない様子。
タコスは小麦粉で焼いた薄いクレープの様な物に色々な具を撒いて食べるのだが
私も最後には水で流し込まないと、喉を越さない。
でも彼女達は一生懸命次から次へと撒いては私達の為に作ってくれる。
「もう、充分よ!」と言うと、美味しい??美味しい?と顔を覗き込む。
「でも、本当はここのタコスちょっと美味しくないの!」なんて言っている。
1時間位は座っていたので、ウエイターが水を注ぎに来たり、お皿を下げに来たりするので
気にした主人は、「そろそろ出ようか」と声をかける。

      

      

彼女達は明日大学は無さそうだし、私達もゆっくり出来るので、「うちに泊まりなさい」と誘うと二人共大喜びだ。
「ありがとう!ありがとう!」と上機嫌。
アンヘレスは以前にも我が家に泊まっていて、彼女の「マイパジャマ」がしっかりと我が家に置いてある。
ルンルン気分の二人を連れて我が家に帰宅。
実はマルタの為のバースデーケーキも買っておいたので、お風呂からあがり揃ったところで
ふたたび「ハッピーバースデー」をする。
二階からアルバムを数冊持って降り、我が家に来ていたホアンの事や、私達のヒマラヤ旅行、主人の
パラグライダー等の話に花が咲く。
明日主人は仕事なので、「わしは寝るぞ!」と一足先に二階に。
さあ、それから話をする事延々3時まで。
インターネットで私の大好きなラテン音楽を引き出してくれるアンヘレス。
また、メキシコの親戚の人と会話もしている。向こうにはカメラもセットされているようで
二人の女性がアンヘレスに「元気〜?」と言って手を振っている。
「さあ、登録しておくから、次には愛子が会話しなさい」と言ってホットメールのアドレスを登録するアン。
まさに驚異のインターネットの世界である。
「ベッドが良い?たたみが良い?」と聞くと、”たたみ〜”というので、二階のタタミの部屋に
仲良く二つ布団をならべて床をとっておいた。
「もう、3時だよ、寝ましょう!!」というと、ようやく腰を上げる二人。
まさにケセラセラのお二人さんである。
しかし、こうして日本に留学して教育を受けられるというのは、やはり恵まれた家庭の子と見えて
お行儀も良く、玄関の靴なども、きれいに先を前に向けて脱いでいるし、二階に上がる時は
「おやすみなさい」と丁寧に頭をさげて上がって行った。
とても性格の可愛い二人である。

      

1月29日 (土曜日)
夕べ遅かったので、二人共よく眠っている。
主人は早朝から仕事なので、すでに8時半を廻って出かけてしまった。
ぎりぎりまで寝かせておいてやろうと思い、家事をする。
彼女達はすっかり日本食も気に入っているので、何でも食べると言っていたが
アンヘレスはやはり納豆だけはダメだと言っていた。
11時前には私も出かけなければならないので、10時になろうとしているので
そろそろ起こす事に・・・。
二階に上がり、トントンとノックすると、マルタもアンヘレスも起きていたのだろう「ハーイ」と元気は良さそうだ。
夕べ泊まる予定ではなかったので、二人共顔を洗っただけの”スッピン”状態。
といっても、普段から余り化粧っけの無い二人なので、さほど支障は無さそうだ。
食卓の準備も出来たので、「さあ、食べて頂戴!」と言うと「Aikoさんも一緒に!!」と気を使ってくれる。
私はすでに主人と食べてはいたのだが、「それじゃ〜もう一度食べましょうか?」と食卓に座る。
納豆苦手!と言っていたアンヘレスだが、納豆に卵をかき混ぜて、納豆入り卵焼きにして出してみた。
そんな事とは知らないアンヘレスは、美味しそうに食べてしまった。
「実はこれ納豆なのよ」と言うと・・・「うん?でもこれなら大丈夫!」とペロリと食べてしまった。
彼女は何でも楽しもうとするおおらかな性格である。

こうして二人の我が家への滞在もそろそろおひらきだ。みんな出かける支度も整ったので
彼女達は西条へと、私は市内へと別行動だ。
私の後ろを運転してマルタが来ている。我が家を出て2キロばかり走った所で左右に分かれるので
バックミラーを見ながら手を振ると、彼女達もバイバイと手を振っている。
私は左へと向かい、右に行くはずのマルタの車は私の後を着いて来ている。
「え!どうして、高速道を通って帰らないの〜??」すぐに携帯をしてみると、なんと彼女達は府中にある
”ソレイユ”に遊びに行くのだそうだ。のんきな二人である。
西条にいるとなかなか遊ぶにしても、買い物にしても彼女達の気に入る場所がないらしい。
広島に出てくると、しっかりあちらこちらをウインドーショッピングして帰るみたいだ。
ま、ごゆっくり!!