ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記

             2003年
2月2日(日曜日)『!El tiempo pasa volando!』
Juanが留学生活を終えてコロンビアへ帰った行ったのが丁度一年前のこの日だった。
昨日夏の原爆研修で我が家にショートステイした尾道のヴィックのホストファミリィーに電話した。
我が家に泊まった折り、お扇子や乾電池、フィルム等を忘れて帰ったいたので、私もなかなか
際まで送ってやれず、つい、2〜3日前に送ってやった。
日本の思い出に!と雛人形の置物をお土産にと入れておいた。ヴィックからありがとうの
メールは届いていたので、帰国寸前のヴィックの声を聞こうと思って電話したのだが
時既に遅し!で昨日帰ったばっかりであった。
ホストマザーの方もヴィックが居る時は我慢していたんですが・・・と涙を流しておられた。

そうこうしていると、麗奈から携帯メッセージが入る。
ホアンに続いて安芸府中高校へ留学していたベネズエラのエンリケが今日帰国したそうだ。
エンリケも日本での留学生活を満喫して今日の帰国となった。
今朝、広島駅へ皆で見送りに行って来たという。
麗奈にとっては昨年ホアンと涙!涙!のお別れをした駅での事が思い出されて、哀しくなると言う。

エンリケの場合も、しかりで、彼に恋心を抱いていたお友達がいて、彼を見送った後、泣きじゃくって
いたそうである。一番多感な年頃だし、彼女達の流す涙は純朴で素敵だ!
私はいつも失恋、片思いの涙!しか無かったが・・・。

『逢うは、別れの初め!』というが、出会いが有って、別れも有り、また別れが有って
又新しい出会いも有る。
ホアンとも、ああして涙!涙!の別れであったけれど、私達は必ずホアンに逢いに行こうと思っているし
目下、着々と準備中である。

   

そのホアンは1月の初めにコロンビアの首都ボゴタの大学に入った。
すでに大学は1月から始まっており、ボゴタ市内に一人で住まいしている。
大学はアパートからバスで15分の所、『La Universidad de Los Andes』と言う名前の大学だそうだ。
この大学は各地から選りすぐりの頭の良い学生達の集まりだそうで、コロンビアの大統領ウリベ氏の
息子さんも通っているんだと言っていた。
こんな大学なので、ホアンも今までの様に、パーティ、パーティと言って遊んでばかりいられないようだ。
以前と打って変わって、電話すると、いつも試験が有る!といって勉強している様である。

ククタのお母様にとってはホアンは心配の種!
大学に行っても、ボゴタでの一人暮らしを良い事に、パーティ漬け、友達漬けになるのではないか?
と胸のうちをメールに書き綴っておられた。
そして、私達が言っても聞かないので、どうか日本のお父さんお母さんの言われる事は良く聴きますので
勉強するようにと言ってやって下さいとも・・・。
どうやらその心配は無さそうで、いかに頭の良いホアンとても、大学となったら話は別の様で
ホアン自信も、この機を逃したら自分もダメになると自覚したようである。
15で天才、20歳過ぎれば只の人!といわれないように、持ち前の頭の良さをいかして
立派な人になってほしいと願うばかりである。

2月10日(月曜日)『!Una explosio'n en la calle de Bogota!』
NHKのニュースを見ていたら、コロンビアで・・・・というアナウンサーの言葉にはっとして画面を見ると、
ボゴタの街で、時限爆弾が爆発した!というニュースを伝えていた。
ボゴタのある高級クラブで大きな爆発があり、25人が死亡、何十人ものケガ人が出た様子。
「ああ・・・ホアンもボゴタだけれど、大丈夫なんだろうか・・・・」不安が胸をよぎる。
いてもたってもいられず、翌日会社でインターネット電話(料金が格安で便利!!)を掛けて
様子を聞く事に。日本の正午はコロンビアでは14時間前なので、丁度真夜中10時頃である。
インターネット電話は安い反面、会話のキャッチボールがワンテンポもツーテンポも遅れるので
こちらが言葉を発するのとホアンの言葉とが、がっちんしてなかなか上手く会話が出来ない。
でも、次第次第に慣れて、一度言葉を発し、しばらく沈黙していると、やおらホアンが返事を
返してきてくれる。
ボゴタでの爆発の事を言うと、「大丈夫!大丈夫!」という返事。ひとまず安心。
爆発のあった場所はホアンのマンションからほんの2Km位のところらしい。
夜10時頃で、ヴォン ヴォン!!!と大きな音を聞き、すぐにガラスが、ガタガタ、ガタガタと
揺れたよ・・・とその時の様子を語ってくれた。
丁度ククタの友達と携帯電話していたそうで、すぐにその携帯電話は会話が出来なくなった
そうである。ククタに居れば未だしも、いつも危険の真っ只中にあるボゴタでは
ホアンも怖い思いを今から何度もする事になるのでは・・・・・。
あの爆発の何十分か前にバスで通ったんだ・・・とぞ〜とする様な事を言うホアンである。

ボゴタでの一人の生活はどんなの?と聞くと
食事は週3日間、夜をメイドさんが作ってくれる。後は自分で作る(?)か外食。
ところが、あまり規則正しい生活をしていないらしい。日本に居た頃より10Kgは
痩せたと言っていた。
そんなホアンだが、「おかさん、漬物が食べたい!おかさんの漬物が一番!」と
嬉しい事を言ってくれる。
年末に、あの臭い漬物をビニールに入れ、しっかり梱包し、送ってやった。
お母様は”臭〜い!!”と部屋から飛び出されたそうだが、それでも召し上がって
すっかり気に入ってしまわれたそうだ。ホアンがボゴタに行く時は、
「ホアンは日本に居る時にしっかり食べたんだからお母さん達が頂きます」と言われ、
ホアンに言わせると「ククタのお母さんが僕の漬物取った!」とわめいていた。
私には、今でも信じられないのだが・・・・。
それでも、ホアンは日本のご飯を食べたい!食べたい!というので、先日カップヌードルや
お米等を詰め込んで、ボゴタのホアンに送ってやった。
ホアンもうすぐ着くから待っててね。


                            


2月13日(月曜日)『Recibir una carta de Madre!』
ホアンとはボゴタでの爆発事件の事は電話で話しが出来た。
何事もなかったとの事で一安心の私達だったが、ククタのご両親もさぞかしご心配だっただろうと
メールを出して、心中をお察ししたとろころ、早速に下の様なメールを頂いた。 


   

Hola AikoSan:
 
Como estan ? esperamos que en japon todo ande bien. Jorge y yo, nuevamente solos y con la tristeza o nostalgia de no estar con nuestros hijos.            
Afortunadamente podemos hablar por telefono y con juan mucho mas pues esta muy cerca.
 Ya hace un mes inicio las clases en la Universidad y esta muy contento y muy juicioso. Estudia mucho y ya dejo las fiestas de todos los fines de semana. Ojala continue asi, el sabe que es importante tener metas grandes en la vida pero que para alcanzarlas se debe trabajar mucho, con disciplina y responsabilidad. Creo que el lo entiende y ahora se ha rodeado de un ambiente de estudio que le sirve mucho.  Nosotros creemos mucho en las capacidades de Juan y es peramos grandes cosas de el. Gracias por apoyarlo y darle buenos consejos, yo se que el los respeta y quiere mucho, a usted y a takeshi.
 
La bomba de Bogota fue terrible, nos asustamos mucho pues juan vive cerca al sitio de la explosion y pasa por alli para ir al centro comercial que a el le gusta. Afortunadamente no le paso nada, pero estamos tristes por los que murieron y por los que tuvieron que vivir ese infierno. Colombia es un pais muy lindo pero la violencia nos esta acabando. La economia esta muy mal y el presidente no quiere negociar la paz y esta enfrentado a un grupo terrorista muy peligroso. Ahora hay que cuidarse mucho pues creo que las bombas van a continuar.   
 
Bueno Aiko, tengo que irme al trabajo, gracias por su mensaje, lo entendi muy bien pues su Espanol es muy bueno.
hasta pronto, zulima

   

大体の内容は、スペイン語の辞書と首っ引きで訳したところ・・・
  
  愛子さんお元気ですか?日本でお変わり無い事と存じます。主人も私も、子供達の居ない新たな
生活になり、淋しくもあり、皆の居た頃を懐かしく思います。幸いホアンは近くの街ですので
いつも電話で話が出来まる事はうれしいことです。
大学の授業が始まって早一ヶ月になります。ホアンはとても嬉しく思っており、また頑張っております。
以前の様に毎週末のパーティも今はやめたようです。・・・がこのまま続いてくれるといいのですが・・。
ホアンは人生の大きな目的や自分の希望達成の為にも今頑張らなければならないし、またそういう環境に
置かれており、頑張ってもいるようです。
私達はホアンの素晴らしい才能を信じまた彼に期待もしております。
いつもホアンをいつも支え、忠告を頂いて感謝しております。そして、私はホアンが武さんや貴女を尊敬し、
心から愛しているという事を知っております。

ボゴタでの爆発事件はとても恐ろしい事でした。私達はホアンが爆発現場のすぐ近くのアパートに
住んでおりますので、ぞ〜と致しました。あのあたりは、ホアンが気に入ってよく買い物に行くので
ほんとにびっくりしました。幸いにもホアンに何事も無かったので一安心でした。
しかし、沢山の人が亡くなり、怪我をした事は本当に哀しい事です。
コロンビアはとても素晴らしい国ですが、この様な暴力が絶える事がありません。経済状態も悪いです。
ウリベ、コロンビア大統領も平和への話し合いを望んでいません。そして危険なテロリスト集団と対立しています。
今現在もこの様な暴力が続く事に充分注意を払わなければなりません。

さて愛子さん、私も仕事に行かなければなりません。メールをありがとうございました。貴女のスペイン語
は良く理解出来ましたよ。
では又、スリマ

   

このようなメールを書いて下さった。
ホアンがボゴタに移った事は、ご両親の不安、ご心配は尽きる事がないだろうと思う。
目下、アメリカ、ブッシュ大統領も、こぶしを振り上げて、連日の如くイラクを非難し、戦争に突入して行こうとしている。
しかし、反面少しづつではあるが、アメリカ国内でもじわじわとイラクとの戦争反対の世論が高まっている。
戦争に依って苦しむ、市民や幼い子供達を見ると、心底、戦争はあくまでも、最終の手段であって、
力にまかせて戦争に突入していく事だけは回避して欲しいものだと心から願わずにはいられない。