ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記

11日(木曜日)『noventa y tres dias』
ホアン、朝出かける時今朝は何度?と聞く。自分の皮膚の感覚では12〜13℃位
ところだろうか?
私達の住んで所は夏は涼しくていいのだが、冬はその分やっぱり寒い。
人一倍寒がりのホアンにはこたえるようだ。
今日お花の稽古に出かけたついでに学生服を扱っているお店に行く。
ブレザーの下に着る安芸府の冬のチョッキと長袖のセーターを買って帰る。
学生服の”いとや”さんに何度も何度も行くので、すっかり名前を覚えて頂いた。
一度はホアンを連れて一緒に行った事があるので、サイズもよく分かって頂いている。

夕方早めに帰ったホアンに着せてみると丁度いい。
「明日から寒かったらこれを着て行きなさい」と言うと嬉しそうに「ありがとござまーす!」とにこにこ!。

私達がホアンについて一番感心するところであるが、いまだに私達が何かホアンにしてやると、
例えば、飲み物を出してやったり、お弁当のからを私に渡す時もそうであるが)
必ず”ありがとうございます”という言葉を言う。これは本当に『親しき中にも礼儀有り』で
気持ちが良い素晴らしい事だと思う。

主人が帰るまで、ちょっとお腹の空いたホアン、食卓の白菜漬けを見て
「おかさん、ちょっと食べて良い?」と聞く。
ホアンは主人と全く一緒で、白菜漬けの少し酸っぱくなったようなのを好む。
細く刻んだ白菜漬けにお醤油と七味をたっぷり掛けて、炊きたての白いご飯の上に載せて食べるのである。

コロンビアではご飯はピラフの様に炒めたり、いろいろな具を入れての混ぜご飯式で食べるらしいが
ホアンは今ではご飯、しかも何も入らない白いご飯だけが好きになったと言う。
コロンビアでの事を思い、炊き込み御飯も何度か作ってみたが、ホアンにいまいち受けが悪かった。
そう言えば主人も炊き込みは余り好きではない。
ホアンも今では主人と一緒で、おかずを先に食べて、仕上げに白菜漬けを白いご飯で食べるのである。
どうしてか分からない!僕は変った、白いご飯どうしても要る!と叫ぶホアンになってしまった。

毎年12月頃になると、白菜を50株も買って漬けるだが、今年はもう一人ホアンという白菜漬けのファンが
増えたので、12月だの言っていたら間に合わないので、白菜の安い時を狙っては、5〜10株位
買って来ては、小出しに漬けている。
今ごろの季節に漬けると、気温が高いせいか、漬かりも早く、思いのほか早く美味しく食べられる。

主人が帰って来て、また食べなおしをするホアンである。
                                     

夜マレーシアのポークーンからホアンに学園祭のお誘いとスピーチの事で電話が入る。
ポークーンは鈴峯高校でお茶のクラブに入っているそうで、お抹茶をたてるそうだ。
ホアンにいらっしゃいとの事だったが、あいにくホアンは行かれそうにないので、
ポークーンも残念そうであった。

2人の会話を聞いていると、今度のスピーチコンテストの賞金をお互い狙っているようだ。
ポークンーンは「ホアンごめんね、5万円は私がもらったわ!」と言えば、そこはホアンも負けじと
「ノーノー5万円は僕が貰う、ポークーンは2等だ!」とやり変えす。
そして「おかさん、5万円はホアンがもらいますと言って、言って!」と私に受話器を渡す。
しばらくポークーンと会話する。彼女もスラスラと日本語が達者になって、途切れる事なく
会話出来て、ビックリである。
今回のスピーチコンテストはAFSメンバー、ホアン・ポークーン・アグネッセ皆さんエントリー出来る様で、
それぞれがけん制しあって賞金を狙っている。(5万円は図書券で出るのだが・・・・。)
それでも彼らにとっては大きな収入である。みなさんガンバッテ!!

ホアンは今朝も素直に1〜2回声を掛けただけで起きたので、「明日も今朝みたいに
ちゃんと起きてちょうだいね」と言うと、日本滞在期間が100日を切って、学校へ行く事、
また一日一日がとても大切だと思えるようになったと言うホアン。

日がたつのがあまりに早い事を実感しているようだ。
ポークーンとの会話の中でも、「後何日あると思う?」と彼女に聞き、すぐに返答出来なかった彼女に
「後93日だよ」と教えてやっていた。
11月はスケジュール一杯のホアン、一日一日を本当に大切にして欲しいと願う。

11日(金曜日)『ir a concierto』
alumnos escuchar el concierto de la orquesta 
今朝は安芸府高校から『2001年度 芸術鑑賞会』という学校行事でコンサートを聞きに
広島国際会議場(フェニックスホール)へ行くようになっている。

私の出かける時間と一緒位になるので、ついでにホアンを送って行く。
平和公園のあたりでは安芸府の生徒だろうか、何人も学校生徒が歩いている。
ホアンを近くで降ろし、私は会社に向う。
今日はコンサートがお昼で終わるので、クラスメートとボーリングに行くと言っていた。
久しぶりにホアン抜きで、日本そばでも食べに行きましょう・・・という事になった。

そういえば、蕎麦で有名な豊平で、廃墟となった農家を借りておそば屋さんをされている方から
メールが来ていた・・・

★★★ 夏に種まきをしたそばは元気良く育ち,そばの実を重そうにつけています。
11月4日 10時ごろからそば刈りをします。
今年は豊作の様です。
遊びにおいで下さい。
広島ホームテレビの取材が入る予定です。・・・★★★★

とこんなメールだった。もう新蕎麦が出来る時期なんだ。
今日食べに行く、『いいづか』さんも新そばが頂けるらしいので、そば好きの主人は
楽しみにしている。

  

夜くつろいでいるとホアンから電話。Juan alojarse en casa de amigo despues de la concierto
「クラスメートの所に今晩泊まります。おかさん良い?」
良いも悪いも、すっかりその気でいるホアン、「じゃー明日はパラグライダーの試験だから早く帰りなさい」と
言って電話をきる。
コンサートの後、みんなでボーリングに行き、食事をし、クラスメートの所で楽しんでいるらしい。
ホアンもたまには息抜きも必要だ。
コロンビアでは、毎週末がこの調子らしいから・・・・。

                                        
                                          

11日(土曜日)『雨 lluvia』
天気予報では午前中10%、午後から本格的に雨・・・となっていたが
すでに朝から黒い雲の覆われて、雨も降り出した。
ホアンからは10時になっても11時になっても電話は無い。
ホアンの事だから、夜遅くまで遊んで朝方寝てしまい、夕方まで起きられないだろう。
多分帰って来ても夕方か夜あたりだろう・・。Juan no ha vuelto todavia

昼前には雨は本格的に降り出した。主人もパラが無いとおおいに手持ち無沙汰だ。
また昼からパソコンでもつつきに会社に行くと言っている。
それでは私も・・・・・と美容院に行ったり、買い物に出かける事にする。

                    

久しぶりに街をうろうろし、夕方5時過ぎに家に帰ってみると、すでに主人は帰宅。
ぼけっとしてテレビを見ている。
「ホアンはまだ?」と聞くと、「全然電話も無いよ」と言っている。
大体想像はつく。ホアンが起きないのは生半可ではない。
その内びっくりして電話してくるわよ・・・・と言いながら夕食の支度に取り掛かる。

案の定ホアンから電話だ。「おかさん、ホアンねとった。いまから帰る・・・」だそうだ。
「雨が沢山だから、気を付けて帰りなさい・・・今晩何食べたい?」
「何でも良い・・・・いや勿論すき焼き・・・」とリクエストだ。

すき焼きをして待てども待てども帰って来ない。5時に電話が有ってからすでに2時間はたっている。
「今から帰ると言ってから、また盛り上がって遊んでるんだよ」といい加減待ちくたびれた主人。
食べようかな?と思っていた時だ。「ただいまー」とホアン。
やれやれ、ようやくご帰宅だ。Juan volver a casa las ochode noche
「ホアン、友達の家から歩いて下温品バス停迄帰った」と言っている。
どうやらコンサートの後、食事やボーリングで手持ちのお金を使い果たし、バス代も無かったようだ。
安芸府中高校の近くの友達の家から、1時間掛けて歩いてバス停まで行き、そこからいつもの
バスで帰って来たと言う。
まあ、さんざん遊んだんだから仕方ないね、ホアン!。

明日は天気予報では、晴れそうだ。
今月はホアンのパラグライダーの練習出来る日が今日と明日だけだ。
あいにく今日は雨で出来なかった。
明日は山本さんも荒槙で新入生何人かの練習をされるので、ホアンも来る様にとの事であった。
そしてもし夕方条件が良ければ、神の倉(少し高い山)から飛ばせてもらえるかもしれない。
それを聞いてホアンも今夜は早くベッドに上がって行った。

entrenarse para el parapente manana
11月4日(日曜日)『』
昨日は一日すごい雨だった。
天気予報は晴れマークだったが、なかなか日が射さず肌寒い。
夕べホアンには「明日は8時半起床だぞ!」と主人はきつく言い置いたものの
どうも出足パッとせず、起すのも躊躇している。
それでもインストラクターの山本さんは荒槙で10時半から練習を始められるので
その時間に合わせて行く予定だ。
ホアンをぎりぎりまで寝せておいたが、そろそろ9時半、起さなければならない。
天気も少しづつ晴れ間が覗き出した。

主人はホアンを起こしに上がる。一回声を掛けたようだが、どうも起きた気配がない。
イライラしている。「わしは先に行くぞ」と言いながら服を着替え始めた。
「待って待って!ホアンすぐ起すから!」と主人をなだめ、二階に上がる。
「ホアン!、おとさんホアンが起きないので、怒って置いて行くって、すぐ起きなさい、
一緒に行きましょう!」と言うと、ベッドの蒲団の中から私を見ながら、何を言っているのか
考えているようだ。
様子を察知したか、私が洗濯物を干している間にホアンは起きて下に降り
朝ご飯を食べ始めていた。
主人も起きたホアンを見て待ってくれている。
朝食を食べていると、電話のベル。電話をとると、ホアンの友達アムジャからだ。
私は長くなっては・・・と思い、玄関の方の電話機でホアンに代わる。
しばらく玄関の電話機で話をしていたホアン、子機に切り替えて、
食卓でご飯を食べながら、会話を続けている。
時々はワハハ・・・と笑いながら、楽しそうに会話が続いている。
私も出掛ける支度が出来たので、居間でテレビを見ながらホアンの食事と
電話の終わるのを待っていた。
10分たっても20分たっても終わりそうにない。

「ホアンは状況わかっているのか?電話早く終われ!と紙に書いてホアンに渡せ」という主人。
私達の事には我関せずで話をしているホアンにいささか腹がたち、
「ホアン、パラグライダー行きたくないの?どうする?ここに居るの?」と聞く
ホアンはアムジャとの話を中断して、「この電話あと2時間いる」と言う。
『え〜ぇ!!あと2時間も私達を待たせる気でいたの??』 私は呆れ果てた。
主人もそれを聞いたとたん、切れてしまった。
「ホアン置いておけ!行こう!」
怒り狂って一旦積んだホアンのキャノピーを玄関にほうり投げる主人。
山本さんにすぐに連絡を入れる。「ホアン行かれそうにないので、すみません・・・・」と。

ホアンがアムジャとどれだけ大切な話をしていたのかは私達にはわからない。
でもそんな状況ならば、なぜ一言、『どうしても電話切れないので、お父さん達先に行って下さい』
言ってくれなかったのだろう?と本当に情けなくなってしまった。
ランディング場に着くまで、私達の怒りは収まらなかった。
「主人は今日帰ったらホアンと話をしよう!」と思っている様だ。
私も少しホアンに言って聞かさなければならないな〜・・・と思う。

ランディング場に着くと近藤さんが立ち上げ練習に汗を流しておられた。
風が少しきつくて誰も上に上がろうとしないので、私も彼女の機体を借りて少し練習する。
今日は何だか飛びにくる人も少ない。
うだうだ言っていたら、お昼のサイレンが鳴る。
皆さんようやく腰を上げられ、お昼のお弁当を買って荒谷山へ上がる事にする。

ホアンの事がず〜と気になった。あれでも”ごめんなさい”と電話があるのでは?と思ったり、
今朝のホアンの事を考えると、またムラムラと怒りが込み上げて来たり・・・・。
もし、ごめんなさい・・・・と言ってくれたら、すぐにでも、迎えに帰ってやるのに・・・・と思ったり。

腹ごしらえの終わったフヤイヤーの方々は、風をみはからって、ぱらぱらとテイクオフし始める。
ベテランの人は皆テイクオフし、あまり良い風でないので、躊躇しているフライヤー、
何人かの人の飛びを見て、私も一回飛ばせてもらう。
久しぶりだったので、あんまり粘る気になれず、そそくさとサブランディング目指して
飛んで降りた。
キャノピーをたたんで近くのセブンイレブンまで行くと、しばらくしていっちゃんのお母さん
玲子さんが荒谷山から降りて来て、私ともう一人のフライヤーを拾ってくれた。

あたりも薄暗くなり始め、ホアンはどうしているdだろうか・・・・と気になった。

たぶん、電話を終えて玄関に行って見れば、ホアンのキャノピーがぞんざいに
放り投げてあるので、私達の怒りの程がさっせられる事だろう。

一本飛んで少し気分も落ち着いていたが、家に帰るにつれて、今朝の事が
思い出され、また何だか怒りが込み上げて来てしまった。

6時半頃、あたりはもう真っ暗だ。心細い思いでホアンも待っている事だろう・・・。
家に着くと玄関の灯もつけてありホアンが、申し訳無さそうな、悲しい顔をして出迎える。
蚊の鳴くような声で「おかえりなさい・・・」と主人に言っている。
今朝玄関に放り投げたホアンのキャノピーはいつもの階段の下の所定の所に
収められている。私達のパラ道具もすぐに手伝って片付けてくれるホアン。

居間に座り主人、身の置き場もないような感じで居間に一緒に座るホアン。

やおら、話し始める主人。
「今朝の事、どうしておとさん、おかさんが怒ったのかわかるか?」と主人は問い掛ける。
『おとうさんとおかあさんはホアンが起きてからイライラしながら、ずっと待っていただろう?
だけどホアンは全然そんな事も気にせず、ずっと電話で話をし続けたね。
どうしても電話が切る事が出来ないのなら、その事を言えば良かった。
そしたら、おとうさんは先に行くかもしれないが、そんなホアンを置いておかあさんは行かないはずだよ。
ホアンの電話が終わるのを待って一緒に行ってくれるはずだ。
ゆうべ、今日の予定は言ってあったはずだ。10時半には荒槙に行き、イントラの山本さんも
来てホアンが来るのを待っておられる。だからここを少なくとも9時半には出発する事。
ホアンは起しても起きないばかりか、おかさんにもう一度起されて、時間ももうぎりぎりだった。
それから、朝ご飯を食べ、シャワーを浴び、支度が出来るまで30分はかかるだろうホアンを
お父さん達は待っていたんだよ。
そんな状況をわかりながら、平気でホアンは話をしていたんだよ。
そして待ちきれなくなって、おかさんがホアンに聞いたら「あと2時間いる」って言ったよね。
もしおかあさんが声を掛けなかったら、ホアンは延々おとうさん達を2時間も待たせる事に
なったんだよ。』
ホアンはうなずきながら、主人の話を聞いていた。
ホアンはホアンで、悪いとは思っていたようだが、自分としても、子機に切り替え、早く朝ご飯を
済ませて、パラグライダーに行きたかった。でもアムジャの電話が少し深刻だったので
なかなか電話が切れず、早く終わって!と心の中で思いながら、話をしていたらしいが・・・

私が「行きたくないの!ホアンずっと電話しているのなら、私達行きますよ!」と言ったので
どう答えていいかわからなかった」と説明する。
結局ホアンにとっては、友達と一緒にパラグライダーへ行く事よりも、アムジャの方が
その時は大切だったようで、なかなかその事を言えなかったのだろう。
玄関の放り投げられたキャノピーを見て、私達の怒りの程を知ったホアンだったが
携帯電話を掛けて私達にすぐ謝るという事までは、考えなかったようである。

外国人はI'm sorry は言わない・・・・と良く聞くが、なるほど、ホアンも
やってやる事には必ず”ありがとう”と感謝の意を表すけれども、いまだかつてホアンの
”ごめんなさい”は聞いた事がない。
外国人はディベートに強いといわれるが、『ああ言えばこう言う』のホアンだと思う。
私はいつもそれでやり込められている。

結局ホアンとこの日のことを話し合ったが、自分自身の思い、気持ちを差し引くと
100%自分が悪いとは思っていないホアンであった。
ただ、こうしてホアンとまっこうから喧嘩が出来る関係になったのだと
その事を主人は喜んでいるようであった。

11月5日(月曜日)『!』
昨日の事もあり、私達に迷惑をかけては?と思ったか、夕べは2個の目覚ましtを枕もとに置いて
寝たホアン、6時半を過ぎたので、起しに上がって見ると、起きてベッドにボーとして座っていた。
すぐに下におりて、朝ご飯を食べ始める。
さっさと支度も済ませ、出かけて行った。

玄関のところに置いた寒暖計は12℃をさしている。
顔を引きつらせて出かけて行った。


                    

ホアンが寒がるので、2週間程前からヒーターを出した。
ホアンの部屋にひとつ、下の居間にひとつ置いている。
夏のクーラーでもそうだが、外気と部屋内気温の差が大きくなるので、どうしても
風邪を引きやすくなる。

夕食を終えて、ホアンは明日のスピーチの事を考えなければならない。
白い紙とエンピツを持って降り、スピーチの原稿を書くと言う。
テーマは”日本とコロンビアとの違い”である。
台所の机に向って、自分の考えを主人に聞いてもらっている。
文化の違い、国民性の違い、主人の言う『起承転結』を頭において、スピーチを組み立てているようである。

そうこうしていると、コロンビアのお母さんから電話である。
また長くなるのだろうから、私はお風呂に入ったり、明日のお弁当の準備をする。

30分程お母様と話をすると、時計はもう12時近くだ。
火曜日のスピーチは学校へ行って友達に見てもらう事にしたホアン、
「明日また起きられないから、もう寝なさい!」の私の言葉に
「おやすみなさ〜い」と上がって行った。


11月6日(火曜日)『スピーチは大成功!』
昨晩ホアンのLPであるNさんから電話を頂いた。
今日ホアンはk−1の稽古があるので、始まる前に少し時間をとって勉強を見てもらえそうだ。
エールエール館で5時に会う様に約束。

今日は午後の最後の時間にスピーチをするホアン。
うまく出来るといいが・・・・。

今朝の寒暖計は8℃をさしていた。今日は立冬!
お昼のニュースでも、広島が一番冷え込んだと言っていた。
寒暖計の8℃を見るや、自分の部屋の手袋を取り出してきて、かばんの中につっこんでいた。
自転車を運転する時、手や耳がすごく冷たいらしい。
朝私はホアンのカッターシャツのわきの下あたりに”ほっかいろ”ぺたっと貼ってやった。

  

NHKのお気に入りの番組”プロジェクトX”を見ながら、ホアンを待っていた。
10時少し廻った頃、ホアンは帰って来た。
顔や耳が冷たかったのだろう、赤くなっている。

すぐに今日のスピーチどうだった?と聞く。
すごく良かった、と自分で言っている。

ホアンは日本の諺がすごく好きだ。意味もしっかり理解して使っている。
ずっと前に主人はホアンに集中力(押忍!!)をつけてやる為、火の点いたマッチを舌に当てたり
針で腕の筋肉串刺し!をしてみせたりした。
その時教えた諺だが、『身体髪膚 これを父母に受く 敢えて毀傷せざるは孝の始めなり』
これを教えた。ホアンは学校へ行ってしっかりこれをお披露目したらしい。
しかしこんな旧い諺なんか、だれも知らないかもしれない。ホアン何それ!!
黒板に書いても、『しんたい』は読めるにしても、『はっぷ』『きしょう』なんてだれも読めなかったようだ。
こんな固い諺ばかりも・・・と主人、この間は「美人は3日で飽きる、ブスは3日で慣れる」とか
『女こころと秋の空』なんぞと教えてやったら、ホアンは女の子をつかまえては、これを連発しては
嫌われているらしい!。

今日のスピーチでは、使ったタイミングが余りに良かった。
スピーチの中に『女心と秋の空』と言う諺を入れてスピーチを終えて帰ろうとしたら、
クラスメートから”もうひとつ! もうひとつ!”ともうひとつコールが湧き上がり
帰りかけたホアンはまた檀場に戻り”言わぬが花!”とパフォーマンスよろしく手を振り上げてやったらしい。
これが大受けして、校長先生もお腹を抱えて笑っておられたそうで、今日のスピーチだ大成功だったようだ。

この調子で18日のスピーチコンテストもがんばってホアン!

今朝ほっかいろを貼って出かけてホアン、これが重宝して、冷たくなった手をいつも服の下に突っ込んでいたら
クラスメートが「なにしようるんホアン!」と言うので、ジャケットをはぐって見せたらみんなが暖を求めて
ホアンにもぐれついて来たそうだ。
k−1でシャツを脱ぐ頃まで暖かかったようだ。

ホアンも鼻水が出て、少し苦しそうだ。
風邪薬を飲ませて早く休ませる。
11月7日(水曜日)『ホアン風邪気味!』
私も、今日一日鼻水が出て、少し喉が痛くなってきた。
週末京都旅行を計画しているので、寝込んでしまったら大変だ。
風邪に効く強力なアンプル風邪薬を買って来た。しっかりうがいもした。

今日はリズム体操の稽古の日だが、だいじをとって休む事にした。
出掛けるホアンに「おかさん、今日稽古休むから、ホアンも早く帰ってらっしゃい」と言っておく。

  

今日は何時頃帰るかな〜??と思いながら、6時半過ぎ家に帰った私は夕食の支度をしていた。
6時半頃だった、電話のベル。「おかさん、ホアンまだ学校。傘無い」
「学校の傘は?皆は?」事情がつかめず、矢継ぎに聞く。
どうやら今日はこんなに雨になると思わす、学校の置き傘が全部出払って、ホアンの使える傘が
無くなってしまったらしい。
「今からすぐ行くから玄関の所でまってなさい」と伝え、雨の中をぶっ飛ばして学校へ急ぐ。
お友達も一緒かな?と思い、学校に着くと、暗闇の中から安心した様子でホアンひとりが、小走りに
かけて来た。
帰られる先生も玄関に立っているホアンを心配して下さり、「ホアン、どした?」と声をかけて
下さったらしい。雨で寒かったので、風邪気味だったホアン、あまりひどくならなければいいが・・・・。

家に帰ったホアン、安心して「あ〜ぁ、疲れた・・・」という表情。
居間のストーブ前で長〜くなって、スヤスヤとうたた寝。
夕食の支度が出来て、主人が帰るまで、毛布を掛け、そのままにしておいてやる。

しばらくして、お腹が空いたか、ホアン起き上がり、台所に来る。
主人はなかなか帰りそうにない。
「おかさん、ホアン漬物とご飯でちょと食べて良い?」と言う。
桶から出したばかりの白菜漬けが美味しそうに見えたらしい。
「いいよ、いいよ!」と炊きたての白いご飯をお茶碗についでやる。
ホアンはほんとに不思議な子だ。こんな酸っぱくなったような白菜漬けに唐辛子をパッパッと振り掛け
おしょうゆをなみなみと掛けで食べるのだ。ぺろっと食べてしまう。

帰った時少し心配になり、脇の下で体温を計った。頭に手を当ててみたが、少しぽっと熱かった。
体温計は6度5分で熱は無かったが、ホアンが少し熱いと言う。
今度は口に含んで計ってみた。8度有る。頭に私のおでこを当てると、”うん?”熱が有る。
「ああ!大変」ホアンは「だいじょうぶ!、だいじょうぶ!」と言っている。
近くの薬局に即効性の風邪薬を買いに走る。
アンプル剤と強壮剤を奨められたので、早速買って帰る。
そのうち主人も帰って来たので、急いで夕食を済ませ、買って来た風邪薬を飲ませ
早く寝かせる事にした。
明日は週末の事を考えて、学校休ませる事にした。

                                

11月8日(木曜日)『ホアン風邪気味!学校休む』
朝ベッドのホアンの頭に手を当ててみた。熱は下がっている。

熱は下がったが、今日はすっかり学校休む気でいる。えてして日中を油断すると
又夜熱が出る事が多いので、今日一日寝かせる事にした。
由也にメールをうって欠席を頼む事にした。
”何か有ったら、すぐに連絡しなさい”とメモに書いて会社に出かける。
多分昼過ぎくらいまで、寝ている事だろう。

今日は私も風邪が治りそうな、油断するとまたひどくなりそうな感じだ。
ホアンに買ってやったアンプルや市販の風邪薬や、愛用の強壮剤やいろんなものを
私は飲んでいるので、何が効いたやらわからないが、かろうじて寝込まずに済んでいる。
私の場合は殆んどが”寝込む事が出来ない!!”と言う気力だけで頑張っている。
だから嫁いでこのかた寝込んだ事が無いのが唯一の自慢である。
ちょこちょこ風邪はひくけれども・・・・月曜日にはしゃきっとして会社に出る。


ホアンが心配で夕方早めに家に帰ってみる。家が真っ暗なので、まだ寝ているのだろうか?
車から降りると、真っ暗な居間でテレビを見ていたホアンが玄関をあけてくれる。
「風邪はどう?」 「だいじょうぶ!」とホアン。
「おかさん、ドライブ行きましょ!」とホアン。一日(と言っても4時頃まで寝ていた・・・)退屈していたようで
外の空気を吸いたいようだ。
「ビデオ借りに行こか?」と言うと、OK!OK!とホアン。
時間は6時半頃、「このまま安芸府に行きましょ!」とホアン。「まだ由也が学校にいるよ」と言う。
そう言いながら、ビデオショップでホアンお奨めのビデオを4本程カゴに入れる。
時間も遅くなった。主人が心配するので「帰りましょ!」と家に急ぐ。
ホアンは毎年夏に英語の勉強の為ワシントンに行っているので、その時は沢山映画にも行ったり、
ビデオショップが近いので借りて来て見るらしい。映画についてよく知っている。
私が『ラブストーリー』が好きだと言うと「おかさん、これを借りなさい」といろいろ教えてくれる。

風邪で休んでこんな事してちゃいけないね〜!!と言いながら、4時ころまで寝ていたので
夜寝られなくなったホアン、借りて来たビデオを遅くまで見ていた。

11月9日(金曜日)『ホアン風邪気味!学校休む
ホアンは今日も学校へ行きそうにない。
由也から『昨日、なんで学校休んだ?』とメール入っている。
「えー?私がうったメールが行ってないんだ」 あわててもう一度メールを打ち直す。
「ごめんなさい、明日から京都に行くので、今日も大事をとって休ませます」と由也君に
欠席報告をお願いしておく。
ホアンの日本滞在がだんだん少なくなって来て、ホアンあこがれの新幹線にも乗せてやりたい。
京都も見せてやりたい。そんな思いで10日11日と、一泊とまりで京都旅行する事にした。
ホアンが風邪でダウンしたら大変だ。

今朝は熱は無さそうだが、ゴホンゴホンと少し咳が出ている。
机の上に錠剤の薬を飲むようにメモしておいた。

                                 


夕方帰ると玄関は灯りがついて、私の帰りを待ってくれているようだ。
「ただいま〜!」というと、ホアンがにこにこっと玄関に出て来る。調子良さそう。
居間にホアンを座らせて頭に手を置いてみるが、熱はなさそうだ。
今日も4時まで寝ていたらしい。
ホアン!そんなに寝てばっかりいると、目が腐るのよ!
と私が良く母から言われていた言葉を言ってやると、「それ 何?」と聞く。
ゆっくりと繰り返し言ってやると、クスっと笑った。
目が腐る!と言う表現が面白かったのだろう。

つい先ほど、私が用意して出かけたお好み焼きを食べたと言う。
「今晩は早く休んで、明日が早いのよ!」とは言ってみるが、4時に起きたのでは
今晩は寝られはしないだろう・・・。

主人もまだ帰りそうにないので、ホアンを先にお風呂に行かせる。
4時まで寝ていたホアン、お風呂にも入り、”さぁ、これから一日の始まり!”とばかり
元気ハツラツだ。おいおい!また夜・昼逆になっちゃった!

主人も帰り、早めの夕食にする。
4時頃お好み焼きを食べ、私の買って帰った肉まんも食べたホアン、夕食のお肉が
半分しか入らない。「これ、おかさん 食べなさい」と私に回す。
夕食を終えたホアン、今度は主人相手に宗教論議を始める。

ホアンは宗教についてものすごく興味を示す。
主人が「今日は『白骨の章』を教えてやろう。」と仏間からお経の本を持って降りる。
そして、いつもお葬式や法事の時にお坊さんが読まれる、『しょうしんげ』を読み始める。
「ちょっと待って、これを聞くときはね、こうして・・・・」と私が頭をたれて、じっと目を閉じて
聞く真似をして見せるとホアンも同じ様にしている。
謡でならした主人のお経はお坊様そのもので、なかなかどうにいっている。
これを英訳になんてむつかしいが、とにかく人間の命ははかなく、明日の身が分からない・・・事を
説明すると、感慨深げに聞いている。
「これつらつらに思うに、まこと はかなきは・・・・」という白骨の章。
そんな宗教談義をしていると、もう11時過ぎだ、ホアンは夕方4時まで寝ていたので
今晩は寝ない・・・と言う。
「じゃー、いつもおかあさんがホアンを起すんだから、明日はホアンがおかあさん起してね」
「4時半に戸をノックしてね」と頼む。
お風呂から出て、明日の支度をもう一度していると、「おかさん、これ見なさい」と
借りて来たビデオを一緒に見たがる。
「ハルマゲドン」である。もうちょともうちょとと時計は1時半をさしている。
ホアンの哀願する目に負けて、ついに2時半まで見てしまった。
いかに言ってもねなければならない。ホアンに頼んでお布団に滑り込む。

ホアンはすこし当てにならないので、携帯を目覚ましセットしたのと
電話機をセットしたのを枕もとに置いて寝る。
                                         


11月10日(土曜日)Kiyoto 京都旅行に・・