ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記

10月11日(木曜日)
昨日朝起きる事が出来ず学校を休んでしまったホアン、今日は何が何でも
行かなければ・・・と思ったかどうかはわからないが、朝ご機嫌良く起きてくれた。

先日ホアンのお友達が「おじいちゃんのところで拾った栗です」と大きな栗を沢山
ことづけてくれた。
早速『栗の渋煮』をして、ホアンに『お弁当の時皆さんで食べなさい』と包んでおいた。

栗の渋煮は、と外側の固い鬼皮の間のやわらかい渋皮を破らないように鬼皮だけを
キレイに剥き、渋皮のついたままを渋さが無くなるまでことことと炊き、甘く煮込むのである。
これは結構不思議な感覚で頂ける。渋の付いたままの栗を見ると、あの栗の渋さが頭をよぎり
思わず”しぶい”ものと思って口に入れると、これはびっくりあの独特の渋味は消えて
まさに”マロン”甘〜い栗なのである。

いっしょにパラをやっているいっちゃんのお母さんが去年作って持って来てくれた。
あまりの美味しさにびっくりして、それから何度も渋煮作りに挑戦してみたが
なかなかこれがうまく出来ないのだ。どうしても栗の渋さが口に残り、上手く出来ない。
あの渋味をうまく抜くのがポイントなのだが・・・。
今日の出来は60点くらいかな??
第2段が我が家の台所の、鍋の中ことこと煮えている。

                                   

今日は何時に帰るんだろう?また遅くなるって電話が有るんだろうな〜・・・と思いながら
夕食の支度も何か手につかずにいた。
そこへ電話のベル!『あーあ、やっぱり遅いんだ!』と思いながら電話にでると
AFS安芸支部のエリックから電話だ。しばらくエリックと話をする。
エリックも体育祭や安芸の収穫祭など、色んな地域の催しものに参加したり
学校生活も楽しくすごしているようで、今はコスタリカに帰りたくない・・・』と言っていた。
そんな話をしていると、ホアンが帰って来た。こんな早い帰宅はめずらしい。
ホアンにエリックの受話器を渡す。

ホアンが殊のほか早く帰った来たので、あわてて夕食の支度にとりかかる。
先日、ホアンは行かれなくて残念だったが、AFS福山ツアーで、春に植えたさつまいもの
収穫をして、ホアンの分ですと支部長の堤さんが、大きな大きなサツマイモを届けて下さった。
今日は、そのさつまいもの天ぶらをしてみよう!
掘りたてなので、きっとほこほこして美味しいだろうと思う。

エリックとの電話を終えて、帰宅した主人と話しをしているホアン。
しばらくこういう光景が無かったので、私も台所でほんのりした気持ちで、聞いていた。
ホアンとの会話はなぜか本当に楽しい。ホアンは会話しながらいろんなパフォーマンスを
みせてくれるので、それも楽しいのかもしれない。

今日インターネットカフェに行ったら、両親からメールが入っていたそうだ。
フランスに留学中のお姉さんと同じ文面を同時に送られているので
「フランスの生活はどうですか?」とホアンにも届いていて、「あれっ??何これ!と思ったよ・・」と話すホアン。
お父様が新しく洋服の店を出されて、今日は10人のお客様が来られた・・・等と
国の様子を話して聞かせてくれる。

こんどホアンは学校の歴史の授業の時に、「コロンビアについて一時間お話をして下さい」
(pronunciar un discurso de la Colombia en un futur)
言われたそうである。このところスピーチづいているホアンである。
スピーチはまだある!広島ピースセンター主催のスピーチコンテストが11月18日にもある。
(Juan tiene discurso concurso el mes proximo)
これは原稿審査があり、その締め切りがあと一週間後に迫っている。
スピーチに悩まされているホアンである。

さつまいもの天ぷらも美味しかった。夕食を終えて、しばらく囲碁に興じたホアン
「10時半には寝ます!」と言って二階へ上がって行った。

先日朝起きられないホアンにほとほと愛想つかした私は
「ホアンは自分の体のリズムがわかっているくせに、自分で起きようと
する努力を全然しないんだから、今後一切お母さんは協力しない!」と引導を渡した。

優しいはずのおかあさんがしっかり怒ったので、すこし性根を入れ替えてくれた様だ。

明日はLPの方と久しぶりにお会いする。ホアンの日本語も大変達者になったので
きっとびっくりされるに違いない。
10月12日(金曜日)『コンペ出場?Jugar en el Campeonato
朝のホアン起こしが段々恐怖と化している今日この頃の私。
主人に言わせれば、『おまえがそう躾たんだから、最後まで面倒見ろ!』だそうだ。
これも一理有るけれど、ホアンの起きないのは生半可ではないのだ。
まるで蒲団に超強力な磁石でも取り付けてあるかのように、この小さな私が、ホアンの大きな体を
揺さぶろうが、目をこじ開けようが、ホアンの体は蒲団に吸い付いたようにへばりついている。

思い切ってバケツに冷たい水を汲んで来てぶっ掛けてやろうか・・・とさえ思ったりするのだが
蒲団を濡らして後を処分するのは私だし・・・・と思えばふるった勇気もしぼんでくる。
結局私ひとりが、ティッシュの箱をそこらにぶん投げたりしてストレスの発散をするのである。

先日の私の怒り爆発が少しはまだ功を奏してか、今朝も、一、二度声をかけたら
てこずらせる事無く起きて来た。
「火曜日と金曜日はいつもより少し早く出ます。なぜならK−1の練習日だから、カバンを
二つ抱えてバスに乗る時、人いっぱいだから、僕のカバンいつも邪魔になります」とホアン。
そう言って今朝はいつもより早めに出かけて行った。
今日は夕方LPの方にも久しぶりに会う約束だ。
今度のスピーチコンテストのや、年末の漢字の試験の事など、お話頂いて少しホアンに
カツを入れてもらわなければならない!


今日はK−1の稽古なので、ゆっくりと夕ご飯の支度が出来る。
朝バタバタする分、こんな時にやり残した事がゆっくり出来るのでうれしい。
夕食におでんをしたら、からしを切らしていたので、買いに出かける。
時間も丁度ホアンの帰って来る頃。
11時近くまで開いている『セブンイレブン』まで、出かけた。

からしを買ってバス停の前でしばらく待つ事にする。バスが来た。
”ああっ、ホアンがいるいる!”降りて来るホアンに声を掛ける。
車の方に近づくホアンは、またまたびっこをひいている。
「どうしたん??!」と聞くと以前痛めた足の甲が少しまだ痛いらしい。
おまけにふとももを先生に思いっきり蹴られて、痛たたっ・・・!と顔をしかめる。
生傷の絶えないホアンである。

「今日、先生からコンペ出なさい!と言われた」と報告するホアン。
急いで帰って主人にも報告する。
来月県立体育館であるK−1の試合に出させてもらえるそうだ。
ホアンはなかなか見込みがあると目を掛けて下さっているので
入部して間が無いホアンだが、出てみなさいと言ってもらったようだ。
ますますやる気満々のホアンである。

今日の練習の事を聞きながら、夕ご飯にする。

明日は休みだけれど、へんに遅くまで寝せれば、また来週からリズムを狂わせてしまう。
そう思いながら、ついつい土曜日だから・・・と気分がゆるんで遅くまで話をしてしまった。

明日はパラグライダーに行く!と言っているホアンだが、果たして起きれるだろうか??
1013日(土曜日)entrenarse para el parapente』
昨日はK−1の稽古日でホアンが帰って夕ご飯を食べ終わると11時過ぎになってしまう。
今日が土曜日で学校も休みという事でつい夜がまた遅くなる。

夕べは、クラスメートの夏来ちゃんからもらった『国際電話のカード』を持ち出して来たホアン、
「コロンビアに電話してみる」と言い出す。これは1,050円分のカードだ。
カードにかいてある指示に従って、カード番号を押し、国番号、ククタの町の番号そして
相手先の電話番号を押す。何度入れても”ツーツーツー”と音がして繋がらない。
カードにある問い合わせ先に掛けてみた。

どうやら我が家の電話はダイヤル式になっているので、掛け方が違うらしい。
電話局の方の指示に従って掛けなおしてみる。
こんどは繋がった!ホアンのクラスメート、『ヒメナ』に掛けてみる。
残念ながら、彼女は大学進学をめざしてボゴタに出かけていて留守。

次はおばさんにしてみる。掛かったようだ。でもおばさんは留守で2〜3分おじさんのほうと
話をして電話を切る。KDDのアナウンスで残り度数は4分位しかない。
最後にホアンの家に掛けた。ところが”マミー・・・・ホアン”と一言二言、しゃべったと思ったら
カード終了で電話は切れてしまった。
”あ〜あ!終わっちゃった!夏来ちゃんにもっともっとカードと言わなくちゃー・・とまた冗談を
言っているホアン。「多分、おかさんかけて来ると思う」とホアン。
そこは親子以心伝心だ、1分とたたない内にコロンビアのお母様から電話がかかる。
きっと”何事かあったのでは?”心配されてすぐ掛けて来られたのだろう。

時計を見ればもう夜中1時半過ぎ、でもコロンビアでは丁度お昼頃。
おかあさんから電話がかかったので、私も安心して、紙に”おやすみ!”と書いて、先に蒲団に入った。

こんな事で夕べ2時頃まで起きていたホアンなので、今朝はぐっすりお休みだ!
主人はねぼすけホアンに関わっちゃーいられない!と叫び、さっさとパラグライダー出勤して行った。
『後から連れて来い!』である。

ホアンの寝ている内に・・・と掃除洗濯を済ませる。
外はいい天気。出かけるまでに少しでも!とお布団を干す。
ついでに寝ているホアンの蒲団もはがして干す!
ベッド脇のサッシの窓も開け放す。窓からはひんやりした風が入って来る。
何も掛けないのも寒いかな?と思い、そこらに投げ散らかしているホアンのバスタオルを一枚掛けておく。

私の仕事も一段落した。そろそろホアンを起こさなければ。
ホアンの部屋に行き、「ホアン!ホアン!」と声を掛ける。

休みにもかかわらず、目覚めは良い?。
「おかさん、蒲団を引っ剥がした。寒い!」と文句を言うホアン。
開け放した窓は、ちゃっかりホアンのあの長〜い足で閉められてしまっていたが
さすがに、蒲団をはがされて、寒くなって目が覚めたようだ。

「おとさんが待っておられるから、パラグライダー練習に行きましょう!」と言う。
ホアンは既にどの課題もクリアーしてしまったので、荒槙牧場での練習はつまらないらしい。
ぐずるホアンをなだめすかして、神の倉で待つ主人のところへ向う。

着いた時丁度主人もランディングしたところで、キャノピーをたたみ荒槙に向う。
荒槙では今日は誰も来ていない。今日の風はホアン向き。結構強すぎるくらい吹いている。
さっそく、練習に取り掛かる。
汗を流しても秋のひんやりした風が心地良い。
主人得意のね寝っころがってキャノピーを操作する方法を教えると、やはり感の良いホアンは
だんだん上手にコントロールしていく。
ひとしきり汗を流し、5時過ぎに練習を終わる。
しばらくスーパー銭湯に行っていないので、久しぶりにお風呂に入って帰る事にした。

何をやらせてもすぐにマスターしてしまうホアン、兎に角神の倉から早く飛びたいばかりなのだ。
荒槙のような低い所で練習する事に飽きてしまっている。
何とかして練習の大切さをわからせようとするのだが、てんでばかにしてしまっているホアンだ。
主人もやる事は一杯あるのに、わかってくれないホアンにやきもきしている。

今月27日28日は、平和カップと言って、コンペティションが神の倉で開催されるので、明日は
エリアの草刈や掃除だ。
私は町内会の祭りの為、1軒1軒縄を張っていかなければならない。
「明日、おかさんを助けてね」とホアンに縄張りの手助けを頼んでおいた。
手助けはしてくれるだろうが、起きてくれるかどうかが問題だ!!
1014日(日曜日)
今朝も秋晴れの良い天気だ。今日は午前中、神の倉の草刈りなので、主人は8時過ぎに
出かけて行った。「後からホアンを起こして連れて来い」と言って。
まったく!私はホアンのお守り役なの??

「町内の祭りの縄張り」もなるべく午前中に終わらせておきたい。
ホアンをあてにするのもな〜・・・と思いながら、まあ出来るところから
一人で張って行こう・・・と近所から張り始める。
町内会の役員さんが言われるには、祭りの縄はなるべく切らないで、張って行って下さいとの事。
という事なので、脚立を引っ張り出し、車の出し入れ等に邪魔にならないように張っていく。
そうしていると、近所の方が出て来られて、手助けして下さった。
とうとうわいわい言いながら、私の受け持ちの16軒分の縄張りは終了してしまった。

これも日本の風物詩だから・・・・と我が家のだけでもホアンに張らせてやろうと思い残しておいた。

夕方パラグライダーの練習して帰っていれば遅くなるので、買い物を済ませておくことにする。
寝ているホアンをおいて近くのスーパーまで出かける。
20分程して帰ってみると、あら不思議!ホアンが起きて来た。
「どうしたん?目が覚めた?」と聞くと、どうやら電話のベルで起されたらしい。
受話器をとったら切れた・・・と言ってまだ寝ぼけ眼。
さっそく買って来た御寿司などでお昼ご飯にする。

腹ごしらえも終わったので、今日も神の倉へとミュージックをがんがん聞きながらホアンとドライブだ。
主人にどんな様子か電話してみる。
どうやら先ほどの電話は主人がかけたらしい。
「来るのか来ないのか?」と最近やる気の無いホアンにいらいらして・・・・・・。
「今から連れて行くから・・・」と主人をなだめる。

神の倉に着くとメンバーの井口さんが「稲垣さんはさっきクロカンに出られましたー」と教えて下さる。
携帯に掛けて、迎えがいるかどうか聞いてみる。
しばらくして、ランディングした白木駅の近くから「迎えに来てくれ〜!!」と電話入る。
今着いた神の倉から再び、もと来た道を引き返す事20分。
道路脇にヘルメットをかぶった主人が、まだかまだか・・・・と待っていた。
このクロカンというのは、神の倉のテイクオフをとびだして、高度を稼いで、延々飛べる所まで
飛んで行くのである。今日は風も良かったのだろう。15km位の距離まで飛んだそうだ。

何も無い田んぼの真中にふわりと大きなグライダーが舞い降りるので、駅から降りて来た
女子高校生に「どこから飛んで来ちゃったんですかぁ〜??!」と黄色い声を掛けられ、
ご満悦の”不良おやじ”さんであった。


   

主人を乗せ、ぎゅうぎゅう詰の乗用車でそのまま荒槙牧場へ向う事にした。

荒槙に着くと、今日は沢山のグループが練習している。
地森さんのところ、プレジャークラブ、そして広大も・・・。
風はあまり強くない。ラージヒルから無風に近い風で飛び出している。
無風での立ち上げも自信の有るホアンにとってはあまり面白くない。

近くの牧場を管理している事務所に使用許可書を出しに行った主人、もどってもまだもたもた
しているホアンに腹を立てて、(ホアンはやる気が無いのか!!と言って)さっさとラージヒルに上がって
他のグループの指導員達と話をし始める。
やっと支度の出来たホアンを連れて主人のいるラージヒルに上がるとテイクオフはビギナー達で
賑わっている。ホアンは遠慮して後ろの方で立って見ている。
すぐに主人の「早くキャノピー広げて、無風で飛べ!!」と指示。
やる気の無いホアンを何とか奮い立たせようと、地森さんに相談する主人。
『ターゲットを踏ませたら?』と言われたようで、ランディング場に置いてあるピンクの目印を
指差しホアンに指示を与える主人。5回踏んだら神の倉だ!!とはっぱを掛ける。

無風で完璧にテイクオフしたホアン、ターゲットを狙ってはいるが、2m位オーバーしてしまった。
何か目標があると、やる気になるホアン、キャノピーをたたんで勇んで上がってくる。

プレジャークラブも地森スクールも4時過ぎ練習を終えて、生徒達は皆下に降りて行った。
さあ!ホアンと私だけだ、頑張ろう!
このターゲット狙いは結構やる度に違うので、なかなかターゲットを踏む事がむつかしい。
結局ホアンも私も4回位トライしたが、一回も踏む事が出来なかった。
ホアンも”むつかしいー!!”と頭をひねっていた。

練習を終えて神の倉に戻る。
台湾出張の大方さんが一時帰国で神の倉に久しぶりに見えていた。
大方さんはホアンによくスペイン語でメールを下さってホアンもとっても喜んでいる。
東屋でホアンと大方さんはスペイン語・英語・日本語をまじえて会話がはずむ。
自転車で駆けつけた兵萬さんもホアンに声を掛けて下さり「日本語うまくなったね〜!!」
と言って下さる。

秋の日はつるべ落とし!当たりも薄暗くなり始めたので、ホアンと私はゴスペラーズの
”No more tears”を熱唱しながら帰宅する。
10月15日(月曜日)『Fotos
めっきり朝夕涼しい・・・・寒くなった。
何だか火の気が恋しい今日この頃。今朝も曇っていて肌寒い。
朝起きて朝食を食べるホアンは歯をガチガチいわせ、肩がぶるぶる震えている。
そろそろヒーターを出してやらないといけないかな??

天気予報が午後から雨模様になると言っていたので、「ホアン傘有る?」と聞くと
「学校に沢山有る・・・」と言っていた。学校へ行くまでは雨は降らないだろうと思って
傘は持たずに出かけて行った。
ボーとしているホアンなので、無くしても良いようにと、安いビニールの傘を持たせている。
もう、3、4本学校へ行ったきりになている。

主人を起して朝ご飯を食べていると、「おかさん、ホアン下温品で降りた、雨降ってる!」と
途方にくれた様子で電話してくる。
「じゃー、もう少ししたら行ってあげるからまってて!」と言い急いで支度して出かける。
またまたホアンの策略にひっかかってしまった。学校へ着く頃は雨は上がってしまっていた。

学校では来週から試験なので、クラスメートも試験勉強に余念が無い。
ホアンに夕方遅くまで付き合ってくれる友達も居ないのか、ホアンも早く
学校から帰って来る。

私の撮り貯めした写真が一杯になったので、現像にまわしたら、随分前に撮ったホアンの
面白い写真が出来上がってきた。

夜ホアンと話をしながら、書き物をしていた時である。エンピツ削りでエンピツを削りながら書いていた。
ホアンが新聞紙に、その削りカスを広げだした。
何をするのかと思いきや、真っ黒い芯の削りカス(黒い粉)を手に取り、何と顔に塗り始めたではないか!
鏡を見ながら丁寧に塗りつけている。
ホアンの顔は見る見るうちに真っ黒になった。手の甲にも首にも塗りつけていく。
私は可笑しくなって、げらげら笑い転げてしまった。でもなんだかかわいい!
全部塗りつけて自分でも鏡をまじまじと見つめている。
ひとしきり私を笑わせた後、『ホアン、お風呂入ってきます』と真夜中にお風呂に入って
またもとのホアンになって出て来た。
ほんとに何でも面白い事を考え付くホアンである。

 ある夜のホアン 第一段!・・・polvo de tocador la lapiz   エンピツの芯の削り粉を顔に塗ってと・・・Juan se empolva la cara  

 こんどは首だぁ〜・・・!Despues cuello   どうだぁ〜!!Acabado!!   

またある時は私がパラグライダーで使っているサングラス、サンバイザーを付けて高らかに歌ったり
怒った顔、学校で風紀の先生はこんな顔をされるんだよ・・・・と言いながら
怒った顔や、私の気に入っている笑った顔等、百面相をして見せる。本当に表情豊かなホアン!

 ある夜のホアン 第二段!alguna noche.....      K−1の勇ましき(?)姿・・・Valiente Juan!   マウスピースをして・・・気持ち悪うっ!!vergonzoso Juan!

コロンビアの人はみんな、こんなに明るいのだろうか・・・?
根っから事を楽しむ国民性なのだろうな〜・・・・。ホアンが羨ましくもある。

ホームページを見て下さっている皆様、ホアンも写真掲載OKしてくれたので
ホアンの百面相を見てやって下さい。

コロンビアのお父様、お母様ごめんなさい・・・・。
1016日(火曜日)『』
今日は火曜日。K−1の日なので、いつもの様にカバンを二つ抱えて
早くに出かけて行った。台風の影響で雨も降りそうだ。

K−1に行くと、何があるかわからないので練習日に限り携帯電話を持たせている。
ホアンも携帯を持っていると、少し安心の様子。

天気予報では夕方にかけて大雨注意報も出ていた。仕事を終えて夕ご飯の支度をしていると
外の雨音も聞こえる程激しく降っている。
携帯でK−1に行くかどうか聞いてみて、迎えに行ってやることにした。
ホアンに電話する。「ホアンですか?私は誰?」  「おかさんです。今何しとるんじゃー?」
広島便を上手に使い笑わせる。
「今、越と一緒!駅前のエールエール館」とすっかりエールエール館がホアンの帰宅ルートに
なってしまったようだ。
「あとで、K−1行きます」と言うので、終わった時迎えに行ってあげるから・・・と伝え電話を切る。

夕ご飯の支度をしておいて、時間を見計らって駅の近くのK−1道場に向う。
雨も依然沢山降っている。
暗くなると方向音痴の私はますますこんがらがってしまう。
今日もまた道場の場所を間違えてしまい、ホアンに嘲笑される。
「おかさん、どうしてわからない!」と言われてしまうのである。

車に乗ったホアン、すぐに「きょう、K−1のせんせいおこった!」と言う。
ホアンが何かしたのだろうか??と良く聞いてみると、こうである。
来月コンペティションがあるが、それに参加するメンバーがどうやらホアンの他にいないらしい。
先生としては、入って間が無いホアンが”勿論出ます!”と勇み立っているのに、従来のメンバーが
手を挙げない事に立腹されて、その中のメンバーの一人をぼこぼこにヒットされた?らしい。
今日は大会を控えているので、打ち合いはソフトにソフトに!と言われたらしいのだが
その人だけには、めっちゃ強力パンチを浴びせられたらしい。

ホアンはK−1を楽しんでいるので、大会もきっと待ち遠しい事だろう。
私達もホアンの勇壮に闘う姿を見るのがとっても待ち遠しい!!

今日はLPのNさんが学校へ来られて、ホアンに授業をされたらしい。
帰りの車の中で、「今日、これ習った」と言って、「おかさんはホアンを毎朝起す」
「ホアンはおかさんに毎朝起される」と言って、『何々される』という形を習った事を教えてくれる。
この言い方はホアンにとって、とても衝撃的だったようで、この言い方を沢山覚えたら
僕の日本語もっともっと一杯いろいろ言える・・・と目を輝かせている。

ホアンは教えてもらった事はいっぱつで覚えてしまうので、もっと沢山日本語の
言い回しを教えてやりたいと思うのだが、何せ、家では勉強するものではない!という
習慣が身についているので、習おうとしてくれない。
もったいない気がして仕方無い。
1017日(水曜日)『』
今日は私達2人とも稽古の日。今朝ホアンには何も言っていないのできっと
私達の予定などは忘れているだろう。
まあ、ホアンが早い時間に帰って来るとは思えないので、良いだろう。

夕食の支度をして一応机の上にメモを書いて出かける。

夜お稽古を終えて帰ってみると、主人だけが電動椅子に座りテレビを見ている。
「ホアンは?」と聞くと、「たった今帰って、二階へあがっとるよ」と言う。
「今帰ったん??」今日は何処で道草食ってたんだろう・・・・。
降りて来たホアン、「僕電話した、でも誰も出ない、おとさん、おかさん遅いの気がついた」と言っている。
なるほど、携帯を見ると、お友達の平田君のを借りて、きっちり7時半と9時半頃電話している。
早く帰っても、ひとりなので、目一杯平田君に付き合ってもらったようだ。平田君いつもありがとう・・・。

ホアンは来月”広島ピースセンター”主催のスピーチコンテストがある。
昨日LPの方から、詳しい事を聞いて来た。
まず書類審査があるので、スピーチする内容の原稿提出をしなければならない。
それも一応明日LPの方に提出して見てもらう。
これは上手く出来ると、賞金5万円だ!5万円にはホアンは目がくらんだ。
コロンビアから持って来た自分のおこづかいもそろそろ残り少なくなって来たホアンにとって
この5万円は魅力的だ!お金につられて私達もホアンにはっぱをかける。
題は『平和』についてで、400字用の原稿用紙に2枚800字書かなければならない。
ホアン!明日が締め切りだよ!頑張って!!
1018日(木曜日)『』
来週からクラスのみなさんは中間考査で試験だ。
学校が終わっても、グループで試験の勉強をしたり、みなさん試験に向けて頑張っている。
そんな訳で、試験の無いホアンは”蚊帳の外”状態で皆さんに相手をして貰えないようだ。
試験当日も試験の無いホアンはずっと図書室で自習する。
12月にある漢字テストの勉強をしたりすれば良いのだが、さっぱりやる気のないホアンである。

それより何より、今日は例のスピーチコンテストの原稿締め切りだ。
どうも机に向う様子はさらさら無い。
どうすれば書く気になってくれるのだろう??

仕事を終えて帰り、夕ご飯の支度をしていた。
流しに向かいながら、ホアンのスピーチの事やリズムの本番が近づいたな〜・・・等と
ぼけーと考えていた。
突然後ろから”わっ!!”と大きな声。私はびっくりして腰が抜けそうになり、その場にへたりこんでしまった。
『あ〜ぁ(ホアンだ!と思い)びっくりした・・・』と言いながら振り返ると「おかさん、びっくりした??」
と目を丸くして立っている。そして「ただいま!」と言う。「早かったね・・・・」
こんなに早く帰ってくれると、つい嬉しくなってしまう私。
久しぶりに、ホアンと台所で仲良くとんかつを揚げる事にした。

最近トランプの手品に凝り始めたホアン、何度も何度もトランプを使った手品を
披露してくれる。
5回の内3回は失敗する。トランプを一枚手のひらに持ちサっとての後ろに隠したり
すばやくそれをまた表に出して見せたりする。
ホアンはとっても器用だ。ほんとに上手にトランプを扱っている。

またコインの手品も上手だ。両方の手の中にそれぞれ10円玉を4ケづつ持ち、そのコインが
右の手の中から左の手の中へと一枚一枚移っていく手品。これは私も目を疑う程上手だ。
マジシャンの素質もあるの??
よる遅くまで私を相手に繰り返し繰り返しやって見せてくれる。

手品はいいけど、肝心のスピーチを早く書かなきゃーホアン!!
1019日(金曜日)『学校無断欠席!』
今日のK−1の練習に、ホアンは来月コンペの申し込み書を持って勇んで行った。
来月の試合を前にしているので、練習はあまりきつくないらしい。
今日は沢山人が来た!と帰る時報告する。
ホアンの説明では、事情があまりよくわからないが、空手の先生や生徒さんたちが
一緒に練習したのではないかと思う。
ホアンも空手の先生と相対して練習したそうである。
前回K−1の先生にめっちゃやられた生徒さんも今日は来て頑張って練習していたそうだ。
やっぱり少々ではへこたれない。さすがK−1やっているだけはある!
ホアンもK−1でヒットされて、顔や目がボコーと腫れあがるの、”かっこいいー!!”と
言うのである。自分も誰かにヒットされてそうなりたい!とも言っている。

夕べ遅くまでホアンと話をしていて今朝起きられなかったホアンを私は休ませてしまった。
おかさん、明日僕休む・・・試験の前で昼までだから、いいよいいよ!というホアンの言葉に
ついほだされてしまった。
後で主人におまえが悪い!とこっぴどく怒られてしまった。

つい安きにながれてしまう私である。