ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                              愛子 記

3月16日コロンビア完了

コスタリカ・コロンビア訪問記
コスタリカ編
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    NO2写真コスタリカ百景へ
       コロンビア編へ!!
12月26(金曜日)
あぁ、遂に出発の日が来てしまった。ワクワク半分、不安半分といった気持ちだ。
広島空港へは9時半頃に行けばいいので少し時間はある。
玄関の大きな壷にお正月らしく南天、ゆり、ラン、葉牡丹等を生けておく。
長男は私達の留守に帰って来る予定なので、近所におせちのお世話されるかたがおられ、
何もしない主婦は,張り込んでおせちを注文しておく。(これでカンベンしてもらおう!!)

広島空港は10時45分初羽田行き。
空港近くの正広パーキングにボンゴフレンディを置く。
荷物はスーツケース1個にリュックサックを1個づつ背負う様に荷作りした。

主人は昨日現場に行って寒かったせいで、風邪をひいてしまったようだ。さいさき不安がよぎる。
10時20分、搭乗券を見せて荷物のチェック、搭乗口に進む。羽田には12時着だ。
羽田から12時半のリムジンバスに乗り、成田空港、国際線コンチネンタル・エアーラインの有る
第二ターミナルを目指す。
いつもの路線が少し混雑しているとの事で、途中から高速を降りて成田に向った。
充分時間はとってあるので、余裕をもって成田到着後、第二ターミナルにあるコンチネンタル航空
の搭乗手続きの所へ行く。
カウンター手前では、係員の女性が不安そうな旅行客に声を掛けては、誘導してくれている。
私達もカウンター手前の荷物チェックに連れて行かれ、スースケースを開けられ、
中身を徹底的に調べられた。
ホアンの為に持って行く漬物も一応チェックされた。少し匂いがもれる。臭いので早々に納められる。
そんな事をしてもらっているうちに、あっという間に時間は経ってしまった。

   何だかウキウキするわね!!   どんな旅になるのかなぁ〜・・・・!

日本時間夕方5:00。いよいよヒューストンに向けて十数時間の長い空の旅の始まりだ。
座席は真ん中の席だったので、出入りし易い。機内持込みとしたリュックを足置きにする。
う〜ん、これは楽だ。靴を脱いでリラックスする。
かつて10時間以上も身動きもせずじ〜と同じ姿勢でいたことは無い。
健康な人だってきっとそれだけでも身体が変になっちゃうだろうなぁ〜・・・・。
調子の良い人、悪い人。若い人、年老いた人いろいろいらっしゃるだろうし・・・・。
私は少し膝坊主が痛くなるのではないかな〜と心配。
旅行に出かける前に、スペイン語クラスの京子ちゃんから、「長時間飛行機の中ではいていると
足が楽よ」と、海外旅行用ソックスをプレゼントされた。
これはなかなかの代物。長旅で足がうっ血しないように繊維が編んであるらしい。
今日は早速それを履いてスニーカーという出で立ちだ。

ヒューストンまで10678Km、巡航速度1000Km/時 
現地到着時刻は1月26日午後1時34分予定である。
正面テレビ画面に飛行機の現在地がずっと表示されているが、到着時間が3分と狂っていないのは
驚きである。
機内でイミグレーションカードが配られた。私達は空港でもらってすでに書いていたのでOK。
飛行機の旅の楽しみの一つに機内食がある。
私に靴下をくれた京子ちゃんは、「私は機内食がすっごい楽しみなんですよ〜!!」と言葉に
力が入っていた。
私も「どんな食事が出るんだろう・・・・」と楽しみではあるが、その前にちょっと疑問に思う事がある。
美しいスチュアーデスさんが、ジュースや機内食が配られる前に、パンつかみの様なもので、
おしぼりを配りに来る。
多分ネパールに行った時もそうだったのかもしれないが、忘れた。だからいつ頃から
このお絞りの配り方になったのか、昔からそうだったのか、定かではないが。
清潔さという面では、ベストな方法なのかもしれないが、何だかばばっちいものを
渡されているような感覚になるのは私だけだろうか・・・・。
私は自分では、とってもきれい好きな方だと思っている。たとえばテレビの上とか机の上などの
白っぽい埃が目に付いた時!はいてもたってもおれなくなって、雑巾を持って拭きまくるのだが
それに比べて主人は、一段階上の”ばい菌”が嫌いなのである。「埃で人は死にはせん!!」と言う。
ばい菌嫌いの主人の場合、例えばトイレに行った時など、『自分のお尻を拭くのだから良いだろうに』
と私は思うけれども。ティッシュをカラカラ、カラカラと山の様に使わないと気が済まない。
そしていつもトイレの水をつまらせてしまうのである。
そして、私が使う雑巾はばい菌の巣だといって、触ろうともしない。
とにかく、タオルとかハンカチなどというものはばい菌の巣だと思っているらしい。
だからこの飛行機内でのお絞りの配り方は、主人はきっと大賛成のはずだ。
どうでも良い事だが、そんな事を考えながら、機内食も頂いて、ひとねむり。
どこでも心地よく眠る私は今のところ、すこぶる快調。
案じていた長時間の空の旅も、どうにか耐えられて、無事ヒューストン空港(ジョージブッシュ空港)へ到着。
降りて施設の中に入って行くと、そこは今降りて来た人だけでも、延々と長蛇の列である。
どこが最後の人かわからない。行けども行けども列は連なっている。
ようやく最後の人に辿り着く。「こんなに並んで次の便に間に合うのだろうか?」と不安だったが、
少しづつ、列は前に進んで行った。
どうにかチェックも終わり、今度はコスタリカへのフライトである。まだ3時間くらい余裕はある。
ヒューストン空港を17:40発。コスタリカ着は、夜9時12分である。
ヒューストンとはあまり時差が無いので4時間弱のフライトである。
搭乗口西の果てのD−10というところで待っていると、あれっ!搭乗口掲示板に”フランクフルト行き”と
表示された。
コスタリカじゃーない。変だ!!一人二人聞きに行っている。
私も聞いてみた。見上げる様に背の高い黒人係官は「D−8です」無愛想に言う。
あーぁ、寸前に搭乗口って変わるんだ。
コスタリカ方面はあまり行く人も少ないのか、人もまばらだ。
時間があるので、アイスクリームをほうばりながら待つ。
こんなところでの時間はなんだか、すぐに経つような気がする。
コスタリカ、サンホセ空港ではエリックが今や遅しと、私達の到着を待っていてくれるに違いない。
搭乗口の通路端には、日本では見られない光景だが、カウボーイハットのいかついおじさんが
一段高い所へ腰を掛け見下ろしている。よくみると彼は靴磨きのおじさん。
へぇ〜・・・靴磨きかぁ〜商売になるのかしら。そうしていると、お客さんが一人座った。
立派に商売成り立っているんだ。・・・面白い・・・。

   無事元気にヒューストンの空港に着きましたよー!!   ヒューストン空港内での風景・・・《靴磨き屋さん》

そんな風景を観察しながら待つ事3時間。ついにコスタリカに向けての搭乗開始。
私達もどうにかスムーズにここまで来た!あと少しでエリックに会えるんだ。
こころワクワクし始める。
機内の人となり、ほっと一息ついていると、コンチネンタル航空の機内スチュアーデスの女性から
まず、(こちらもパン掴みの様な物で)お絞りが配られ、次に「お飲み物は何にしましょう?」と聞かれる。
[jugo de naranja, por favor!] とオレンジジュースをお願いする。
スチュアーデスさんはおせじにも若い!とは言えない。色は浅黒く、背は高く、真っ黒い制服なので
肌の黒さが余計に強調され、圧倒されそうである。
フライト時間があまり長時間ではないが、それでもアルミ箔に包んだハンバーガーの様な
機内食が配られる。アメリカまでのフライトでしっかり寝たので、目はパッチリ。元気そのものの私。

飛行機の小さな窓から下を見下ろすと、町の明かりがとってもきれいだ。
客室乗務員の「サンホセ空港に到着しました」と言っているのだろうアナウンスに心は跳ねてくる。
さあ!!!着いた。エリックは待っていてくれるかな!
搭乗客がどんどん降りて行く後を付いて行く。機内預けの荷物を受け取るべくコンベアーの処へ行く。
ところが、待てども待てども荷物は出て来ない。
どうやら、荷物を乗せて出てくる例のジャバラの機械が調子が悪いと言っている。
ほんの少し動いては止まり、動いては止まりしている。

無線を手に持った係官も、「お手あげじゃ〜!!」と言わんばかりに椅子に座り込んでいる。
遂に堪忍袋の緒が切れたか、アメリカ人の女性が係員に文句を言い始める。
ジャバラの機械は依然動き出したかと思うと、また止まってしまう。
結局1時間弱みんな呆然と立ち尽くして待つ羽目に。
エリックは心配しているだろうなぁ〜・・・。私達も少しイライラしてくる。
そうしている内にやっとベルトコンベヤーがおもむろに動き出し、ヒューストンからの荷物が
出てきだした。ヤレヤレ!!。

こんどは手荷物のチェックだ。キップや、パスポートを見せて手荷物、身体のチェック。
リュックや来ているベスト、ポシェット等全て機械を通す。
大の字の様に立ってボディチェック。全てOK。
スーツケースを転がし、リュックを背負い歩き始めた時、係官の男性が、ちょっと待って!と私達を止め
そして、鼻をつまむ格好をする。主人が「漬物じゃ〜!!」と顔をゆがめる。
あ〜ぁ、ここまで無事持って来て、コスタリカで漬物没収されるの〜??と不安になる。

スーツケースを開き、「これは日本のピクルス」と言うと、思ったよりすばやくOK!と言ってくれた。
足止め食った皆んなは、それぞれ足早に出口に向う。
到着時刻よりすでに1時間は過ぎている。
出口ではそれぞれの出迎えの人達がいまや遅しと、目当ての人を待っている。
そんな中で、「おかさん!!!」と声がする。あ!!エリックの声だ。何処?何処?
一際背の高いエリックはすぐ見つけられた。
「エリック!!!」 「おかさん!!」2年ぶりの再会を抱き合って喜ぶ。
エリックはまだ車の免許が無いようで、お姉さんらしき人がエリックの後ろに立っている。
彼女とも自己紹介をし合う。彼女はエリックの一番上のお姉さんでアクサナ。

   エリックー!! ”おかあさん!!” 後ろにアクサナ。   会えた!会えた!夢見たい!!!

エリックがスーツケースもリュックも持ってくれて駐車場に行く。
ここでびっくりしたのは、アクサナの車のハンドルには警察官が使う警邏棒の様なものが
斜めに嵌められている。主人にあれは何?と聞くと、「ロックしてあるんだ」と言う。
盗難よけなんだ!生まれて初めて見た私は目を白黒させてしまった。
サンホセからエリックの住んでいる、カルタゴ、トレスリオスの町まで車を走らせる事約1時間。
静かな住宅地に到着。エリックの家の門のカギが開けられ、玄関の前に数人の女性が立って私達を
出迎えて下さっている。やはりここでもこんなに頑丈に鍵を掛けなければならない事にすこしびっくり。
それぞれに自己紹介をしながら、挨拶を交わす。
お母さんのEmilia (エミリア) 、そしてエリックと一緒に空港まで来てくれた一番上のお姉さん
Aksana (アクサナ)そして、2番目のお姉さん、Larissa (ラリッサ) ,エリックのすぐ上のお姉さん 
Lindsay (リンゼイ)という家族構成。
今日はエリックの従妹も来ていて挨拶を交わす。
居間に通され、再会を喜び合い、お土産のお披露目である。
エミリアには漆塗りの文箱、アクサナ、ラリッサ、リンゼイにはお化粧の為に熊野の化粧筆を用意した。
従妹には扇。
エリックには、いっちゃんのおかあさん(玲子さん)に頼んで作ってもらったのだが、特製2004年カレンダー。
エリックが日本に居た時の写真を入れてパソコンで作ってもらったものである。
エリックはこれを何よりも喜んでくれた。良かった!!!
ひとしきり積る話が続き、皆さんそれぞれに明日仕事があったり、私達もシャワーを頂く事にしてお開きとする。
よかった!皆さん本当にいい方で。
おかあさんも女手ひとつでエリック初め娘さん達3人を育て上げられた様子、みるからにコスタリカ版肝っ玉母さんだ。
お部屋は私達の為に一部屋用意して下さっていて、ベッドのある小奇麗な部屋である。
シャワーを済ませスッキリして、今夜はこのくらいにして、疲れを癒す為ベッドにはいる。
こうしてコスタリカ最初の一夜は深けようとしている。

   皆さんに、それぞれお土産のお披露目。   「僕おかあさんに会えたの夢見たい!!」

   こんなに歓待して頂いて光栄です!!   舞妓さん、僕日本思い出すな〜・・・・。
12月27(土曜日)
ゆうべ寝たのは12時過ぎ。
飛行機の中での睡眠で寝は足りているが、やはりベッドに入ると疲れも出ていてぐっすり眠った。
朝8時頃起床。キッチンではカタコトとエミリアお母さんの朝食の支度が始まっている。
おもむろに台所の方に行き「ブエノス ディアス!!」と声をかける。
「ブエノス ディアス!!」と言って、ニコニコと笑い返して下さる。
「よく眠れた?」とスペイン語が早速返ってくる。
スペイン語は私・君・あなた・彼・彼女と動詞が変化するのですごく難しいと感じる。
わからなければ最後の手段、動詞の原形、つまり不定詞で言えば理解してくれる。
「お蔭で、よく寝ました」と私。
キッチンに面したテレビのある居間に行きしばらくくつろぐ。
ここからは、パティオといって中庭がすぐ見えて、エリックの飼っているのだろう犬が2匹たわむれている。
一匹は真っ黒い毛の長い犬。一匹はちわわのような毛の無い犬だ。
エリックが起きて来て、「こっちの犬はサッチャン」こっちが「ハル」と紹介してくれる。
そうそう!インコもエリックの大切なペットで、カゴの中で、チーチー!キッキッキッと鳴いている。
主人も起きて来て、朝食だ。こちらのかたの朝食は大変質素。
コーヒー、ジュースととうもろこしの粉を使ってお肉や野菜を春巻き風に巻いて作ってある
エンパナーダという食べ物。
ジュースはエミリア自慢の庭にあるレモンを使ってあるのでとてもフレッシュで美味しい。
平素私も朝ごはんはあまり量を食べないので、丁度良い量だ。
朝ごはんを食べながら、「今日は近くにある火山を見に行きましょう」とエミリア。
さっそく支度をして、エリック、エミリア、主人と私でお出掛け。

   僕の家、丸い窓が目印なんだよ。   真夏のペンキ塗りが僕の仕事。 でも僕嫌いネ。

   「ここは母の自慢のパティオなの」 とリンゼイ。   このインコ僕によく慣れてるでしょう。

   僕の名前は ”さっちゃん!”です。   私はやんちゃな”ハル”です。

今日は仕事が休みの一番上のお姉さん、アクサナが車の運転。
ちなみにエリックの家庭では、お母さんのエミリアはAFSの活動もしておられる。
もうひとつAFSのような組織なのだが、やはり留学生などを受け入れたり、
ホームステイ先を捜したり、地元でそういう組織の新聞を作ったりいろいろ活動をしておられるようだ。
一番上のアクサナは近くのパイナップル工場に勤務。
2番目のラリッサは銀行、3番目のリンゼイは英語も話せるので翻訳の仕事などをしている様だ。
エリックは今は未だ大学で、物理療法士の勉強をしている。

車を走らせる事1時間あまり。「volcan Irazu]へ着く。
コスタリカは火山の多い国でもある。地図を見るとコスタリカの国真ん中を横切るように
火山帯が走っている。イラス火山はその右端に位置する火山。
ここは50年から60年前に爆発をした火山で、今は静かに休んでいる。
標高3200mというので、少し肌寒い感じもする。見下ろすとエメラルドグリーンの火口湖が見える。
エリックが力いっぱい火口に向けて石を投げる。観光客はまばらだ。

   ここはVolcan Irazu だよ。   火口湖はほら!綺麗なエメラルドグリーン!

   標高3200mだから、少し寒いでしょ!  アクサナ   「Takeshi! 写真撮るからこっち向いて!!」

   

ぐるりと散策をして、エミリアの行きつけのレストランへと向う。
看板に「Sanchiri」と書いてある。何を注文していいのか分からないので、お任せする。
お皿にご飯と豆とお肉がのったものが出てきた。
私達には量が多い気がするが、少しお腹も空いていて美味しく頂いた。
食後のデザートは、エミリアは「 ARROZ CON LECHE」 アクサナは 「 FRUTAS CONN HELADO」
というアイスクリームだ。
なかなか美味しそうだ。私も少しづづ食べさせてもらった。甘いけれどとても美味しかった。
このレストランの壁には、訪れた人が自分の国の紙幣を貼り付けて帰っている。
ぐるりと廻ってみたが、日本からは訪れる人もかつていなかったのか、日本の紙幣は見当たらない。
早速財布から1000円を取り出した私、皆んなの名前と日付を入れ壁に貼り付けた。
良い記念になったな〜!!

   物思いにふける? アクサナ。   話は尽きないエリックと私。

   レストランの壁に日本円貼り付け第一号!   ご飯、豆、とまと、きゅうり、お肉、バナナです。

火山とレストランを後にし、途中古い教会を訪ねた後、家に戻る。
家に帰ると庭先でお母さんの妹さんが旦那さんと一緒に訪ねてこられていた。
茶菓子を食べ日本のお話をする。お土産にカレンダーを差し上げる。
このご夫婦は夕べ泊まっていた従妹のご両親。一人娘さんのようだ。
1時間ほどの訪問で彼らは家も近くらしく、娘を伴って帰っていかれた。
そうしていると、今度はリンゼイのフィアンセの訪問。私は早速デジカメ片手にインタビューする。
彼はコンピューター関係の仕事をしており、2年後にはリンゼイと結婚したいと思っているそうだ。
インタビューしていると、今度は二番目のお姉さん、ラリッサの恋人の訪問。
日本からはるばる来たと言うことで、こうして皆さん歓迎してご挨拶に来て下さる。
そしてとどめはエミリアお母さんの妹一家の訪問。一段と家は賑やかになる。
さてさて何をしようか・・・・そうだ!小さい女の子がいるので折り紙を教えてやろう。
丁度いい具合に、日本からお土産にと思って折り紙セットを買って来ていた。
鶴か、ふうせんか箱くらいしか折れないが、まあさし当たって見栄えのする鶴を折ろう。
みんな食卓の机にすわり、好きな色を手にとる。
こうしてね、そう!こうして、きちっと端と端を合わせてね・・・・・私の手元を見つめながら
皆一生懸命ついてくる。6歳のモニカもきれいに折っている。
さすが、お兄ちゃんエイドリアンも上手な手つきだ。上手く出来てちょっと自信もった様子。
最後、顔を小さく折り曲げると鶴の出来上がり!お腹の小さな穴に息を吹きかけ膨らませる。
羽を拡げて飛んでいる姿になるとみんなの目がきらきら「わぁ〜!!」と歓声!
もう一個作る!!と再び挑戦だ。また一生懸命に折り始める。
最初より2番目、段々手が慣れて来たようだ。だいぶ早く折れるようになってきた。
一羽、二羽と鶴が完成する。モニカのおかあさんとおとうさんは早々と諦めてしまい。
子供達の手元を見つめている。
とても気に入った様子で、彼女達は出来上がった鶴を優しく手の中に入れ、帰った行った。
良かった!!!折り紙も日本の伝統芸術の一つだし、あの小さな一枚の紙から、こんな可愛い
折鶴がという事に目を見張り、子供達の目はキラキラ輝いていた。
そして無心に折る姿が印象的だった。
「あ〜ぁ、折鶴の折り方を忘れていなくて良かった!!」と胸をなでおろす私でした。
こうしてエリックの家での一日は暮れていった。
主人は日増しに咳がひどくなり、遂にベッドにダウン。早々と寝てしまった。

   エリックの従妹一家の訪問。   日本って行ってみたいけど、遠いよな〜・・・・。
12月28(日曜日)
今朝の目覚めはすこぶる快調!何故か時差ぼけも無い私。
朝のコスタリカは少し肌寒い。日本の秋といった気候だ。
風もビュービューと結構吹いている。中庭に出ると、エミリア自慢の観葉植物の大きな葉が
ゆっさゆっさと風で揺れている。
てっきり暑い!!というイメージで来たので、この気候は思いの外であった。
一年の内でこの12月1月2月あたりが一番良い季節らしい。
私達が訪れる前まで、ず〜と雨ばかり降っていたそうだ。

さて、主人は・・・というと相変わらずゴッホゴッホと咳をしている。
エミリアは今朝も早くから、キッチンでカタコトと朝食の準備。
いつもの美味しいレモンジュースとマンゴーにヨーグルトをかけて頂いた。
こちらの朝食は至ってシンプルだ。
今日はエリックの2番目のお姉さんラリッサの運転で、私達を 『Inbio Parque 』という植物公園に
連れて行って下さるそうだ。
ここはエコロヒコ(生態学的)の公園で、野鳥、へび、カイマン、鳥、蝶など自然の動物が
この公園の中で守られ生かされている。
女性の説明員の方が、ひとつひとつの生物、植物について説明してくれるのだが、ほとんどわからない。
エリックも時々通訳してくれるのだが、わからない・・・。
一回りしてこの公園の中にあるレストランで食事。主人は末期状態にてまったく食欲無いという。
ジュースだけを頼んでもらい、私も今一食欲ないので、子供用のメニューで・・・と頼んでもらったのはいいが
充分大人用の量があり、少し残してしまった。
こちらの食事は朝夕が簡素だが、お昼にしっかり頂く様だ。
大きなお皿には、パラパラのご飯、サラダ、お豆の炊いた様なもの、そしてチキンとかビーフといった
お肉の料理が付く。少し私も喉越しが悪くなってきた。
さて、お昼も頂いて、今日は主人の調子依然好転しそうにないので、エミリアも気を使って早々に
帰宅する事に。

   「インビオ植物公園」   「ほら!これは昔のままのアケビなのよ」 スペイン語わからないな・・・。

   疲れた鳥。   時差ぼけも知らない元気な私。

帰って、主人はすぐにベッドに横になる。
私は別に眠くはないので、キッチンに面した居間に行く。居間ではアクサナが一人テレビを見ている。
勿論スペイン語が流れているが、ドラマはアメリカ映画で、シガニーウイーバーが出ている。
アフリカのコンゴ(だろう?)のゴリラを命を懸けて守る物語。彼女は密猟者に殺されてしまうのだが。
それが終わると今度はサスペンス風のやはりアメリカ映画であった。
アクサナと二人で、「可愛そう〜・・・」とか「怖い〜!!」とかいいながら、2本しっかりみてしまった。
アクサナとこうしてみている間に、なんだか心が打ち解けて、距離が近かくなった気がして
なんだかうれしかった。

外が少し暗くなり始めた頃、昨日折鶴を教えてあげた、エリックのおばさん一家の訪問である。
ご主人はWilliam, 奥さんはHannia そして娘のモニカ、ロサナと息子のエイドリアンだ。
6歳の可愛いモニカが昨日折った折鶴を手にして、「これにサインして下さい」と言う。
なんと、折鶴がとても気に入った様子で、そ〜と手の中にいれた折鶴を差し出している。
私は鶴の羽に名前を書き、「Gracias!」と言って返す。
これはとても私にとって嬉しい出来事であった。
帰って休んでいた主人も、少し調子よくなったか、起きだしてきた。
「もう一度しっかり覚えたいので教えて!」とのエイドリアンのリクエストに、再び折り紙教室を開く事に。
昨日折ったので、だいぶスムースに折れる様になっている。
1羽、2羽と可愛い折鶴が出来てくる。
千羽鶴の様に糸に出来た鶴を通すと、「わー綺麗!!!」と目をキラキラさせる。

   今度はWilliam おじさん一家の訪問。   「Japo'n って何処にあるの?」とうさん!

今度は、主人が卵を立てる事に挑戦させる。
「コロンブスの卵」はお尻を少し割って立てるのであるが、主人のは生卵を本当に立てるのである。
卵は絶対に立たせる事は不可能と誰もが思っているが、これが立つのである。
ただし、すぐには立たない。10分位神経を集中させると、以外や以外ぴったりと立つのだ。
これも辛抱強い私はやってみせると、モニカやロサナ、エイドリアンも挑戦する。
なかなか出来ない。大人はついにみんな諦めてしまった。
頑張ったロサナが遂に立てた。
エイドリアンはこっそり別の部屋に行って挑戦している。
遂に立った!!!大喜びしていた。
主人は友達に「日本人から教わったと見せてやれ!!」とエイドリアンをけしかけていた。
皆で写真を撮り、11時頃皆さん帰って行かれた。

   卵 立った!立った!   ”僕だって ホラ! 立ったよ”

主人はふたたびベッドで休んだので、彼らが帰った後、キッチンでコーヒーを飲みくつろぐ。
エミリアがカラメルを焦がして作った甘い飲み物をだして下さった。
エリックがアルバムを出してくる。
エミリアの若かりし頃、エリックの赤ちゃんの頃の写真、日本留学時代の写真と沢山見せてもらった。
こんどはリンゼイが見せてくれる。
彼女は2年ほど前にはフィンランドに留学をしていた。その時代の写真は興味深い。
『この男の子は、日本人で名古屋の方から来てた人よ』等と教えてくれる。
エリックのお父さんの事は、なくなられたのかもしれないし、また別の事情があるのかもしれないし・・・と
私は一度も尋ねた事はなかった。
リンゼイが写真を見ながら、「おとうさんはエリックがまだ小さい赤ちゃんの頃出て行ったの」と私に話し掛けた。
「そう?」
『今私達はお父さんはいらない!おとうさんは私達という家族や沢山の物をすてたの。でもお父さんの得たものは
ほんの小さな事だけ。でも私達はこんなに沢山の幸せがある。』 と語った。
そしてエリックも 『僕も、おとうさんは要らない!』
きっと私に話す事で、リンゼイは自分の心にもまた確認したかったのかもしれない。
私は黙ってそれを聞いていた。
エミリアが何故あれだけ威厳があり、家族をここまでにされたのかうなずける気がした。
そして家族一人一人に深い思いやりがある事も・・・。

エミリアが新聞を持って来て私に見せてくれる。
それはエミリアが活動している、トレスリオスでの留学生などの世話をする組織の新聞の様だ。
びっしり書かれたスペインア語。一枚一枚めくりながらエミリアが説明してくれるのだが、
今の私のスペイン語力では、5%くらいしか理解不可能なので、頂いて帰ってゆっくり辞書首っ引きで
調べてみようと思い、「頂いていいですか?」と聞くと、快く差し出して下さった。
その他にも沢山のコスタリカの地図や観光案内スポットなど、きれいなパンフレット等も下さった。

キッチンの隣りはエリックの部屋である。
「入っていい?」と言うと、「どうぞ」とエリック。
壁には日本の思い出が一杯飾られている。
ホアンが日本を離れる時かぶっていた帽子というか、三角の傘である。
それに”神風”というハチマキを掛けている。
「この傘、ホアンが持っていましたね、僕欲しい!!でした。だから僕も広島で買いましたネ」
と説明してくれる。
写真も一杯飾ってあった。エリックのホストファミリー井上さんの家族との写真。
クラスメートとの写真など。日本の生活はとても忘れられないものの様だ。


12月29(月曜日) トンカツ・天ぷらを作る
コスタリカでの滞在も今日一日だけとなってしまった。
毎日があっという間に過ぎてしまう。
今日はエミリアが私達をサンホセに連れて行って下さる予定だ。
10時過ぎ朝食を頂き出かける準備。
サンホセは車で約1時間。
今日はラリッサが私達の為に運転をかってくれた。

エリックの住んでいる、カルタゴのトレスリオスでは、あまり人が沢山!という印象がなかったが、
ここはコスタリカのキャピタル、サンホセ。さすが人,人の波だ。
そして今日は年末の買い物客も繰り出してごった返している。
エリックが「ここはおかさん、ちょっと気を付けてネ!」とスリ注意情報を出してくれる。

人の渦の中に溶け込み、コスタリカの雰囲気を感じながら散策。
時々私達を不思議がり振り返って見ている。
エミリアは私達をサンホセの郵便局に連れていって下さった。
ここでも「日本からはるばる来たのよ!!」とうれしそうに自慢げに話すエミリアである。
ここで私は、母や兄の所にポストカードを書いて出す。
もっと友達の住所を記録してくれば良かった!と後悔する。
エリックと一緒に窓口に行き、コスタリカの切手を貼り投函。
今度は二階にあがり、コスタリカ郵便の歴史館になっているので、見せてもらった。
楽しいひと時を過ごし、再び大通りを歩く。相変わらず人の波は途切れる事を知らない。

   サンホセ郵便局で絵ハガキを送る事に。帰る頃着くのかな?   私の家にも送っちゃえ!!

エミリアは私達にアイスクリームを買ってくれる。
日本では見ない光景があった。それは一人の女の子がエミリアに近づき、アイスクリームをねだっている。
みるからに、貧しそうな、こぎたない感じの7〜8歳くらいの女の子だった。
エミリアも、うなずき、順番を待つ事20分。そしてその女の子はエミリアからアイスクリームを
一つ受け取ると立ち去って行った。
この様な光景は子供だけではない。大人の場合は車での信号待ちをしている時だ。
フルーツやお菓子を売っていたり、なにか訳のわからないものを売りにやって来る。
それでも人はコインを出して気軽に買ってやるのだ。
エリックに言わせると、「これ、日常の光景!」なんだそうだ。
車社会の日本ならば、とっくの昔に車に引かれて死んじゃうよ〜!!って感じだ。

エリックに聞くと、日本円でほんの20円か30円払っている感じだそうだ。
それでも人は生活がなりたっているのだろうなぁ〜・・・。
面白かったのは、ボールでジャグジーを車の停車時間1分で見せて
何がしかのお金をもらう大道芸人であった。
こうして稼いで大道芸人はバカンスに海岸にいったりするそうなのだ・・・・。
なんとも南米的な生き方なんだろうと、びっくりするやら、感心するやら・・・・
でも日本だって一昔前にはきっとこんな光景もあってのではないかと思う。
国が豊かになれば、このような光景は殆ど見られないけれど、目の前で見た物売りの人
そして、事もなげに財布からコインをだして買ってやる人々には、何か今の日本人の失った
温かいおもいやりの心を感じた気がした。

街でエリックに見てもらって私の大好きなラテンミュージックのCDを買った。
サルサ、メレンゲ、 メルセデス・ソーサやセリア・クルースも買ったぞ!! 超うれしい!!
ラリッサが私達の行く先で車を留めて待っていてくれる。
街でおみやげも大体買った。主人は、もうグロッキー状態。行く先々で腰を下ろして休んでいる。
エミリアも気を使って早々に家路に急ぐ事に。

   わー!この曲大好き!!サルサ?メレンゲ?   「コンドルは飛んで行く」が街中にこだまして素敵!。「買って!安くしとくわよ」

コスタリカでの滞在も今日だけなので、主人がお礼に何か日本の料理を作ってみたらどうか?と提案。
家に帰って一息つきながら、メニューを考える。
エリックは「ご飯を食べたい、ご飯を食べたい!!」と懇願するように言う。
他には?とリクエストを聞くと、エリックが我が家に来た時に食べたらしいのだが、きゅうりとタコの酢の物。
お米は私達より一足先にコスタリカを訪問された、安芸支部の藤岡さんが、持って来られていた。
それじゃー!と、ご飯を炊いて、トンカツときゅうりの酢の物と、天ぷらと私の一番得意のベーコンと
ジャガイモで私自慢のオーストラリアン・スープを作る事にした。
必要な材料をリストアップして、エミリアに見せる。
アクサナの運転で早速30分のところにあるスーパーに出かける。
でっかいスーパーマーケット!!なんでも一杯揃っている。私はうれしくなってはしゃぎまわる。
エリックもとっても楽しそう。
私はエミリアとの距離がぐっと近づくのを感じながら、彼女と腕を組み売り場を廻る。
卵の売り場に行った時、丁度エリックのクラスメートがアルバイトをしているので紹介してもらい、挨拶。
今度は彼女のお父さんも登場。ひとしきり話に花が咲き、売り場を離れる。
大体揃ったので、レジに向う。「これ、私が払います」とエミリアに言うと、ニコッとする彼女。
「ドルでいいよね〜?」とエリックに聞くと「たぶん、大丈夫!」
ポシェットからドル札を出し支払いすると、レジの女性は、偽札かどうか調べているのだろう!
いぶかしげな顔をして一枚、一枚天に透かして見ていた。
「偽札のわけないでしょ!!」と言いたいところだが、こちらでは、どうもカードの方が信頼性は
高いようである。

さて、材料は揃った!キッチンを借りて、お料理の始まりである。
ごはんを炊く準備はエリックが。水加減が一番大事なのだが・・・・。
電気釜でしか炊いた事が無いので、果たして美味く炊けるだろうか?
固めに炊く積りで少し水を少なめにしてしまい、出来上がったご飯はホチホチ!!
ビデオ撮りをしていた主人、見かねて水を足し、蒸らしては水を足し、小さな炎にして
蒸らすように炊いてみる。エリックは何とか手伝おうと思ってか、そのお鍋を混ぜ繰り返している。
「あ〜ぁ!!やめて!!そんな事しちゃー!!台無しだぁー!!」
果たしてご飯はめちゃくちゃ!ホチは何とか避けられたようだが、半ば餅の様になってしまい
大失敗作だ。(あ〜ぁ、私が最初からゆっくり時間を見て炊けば良かった・・・)
エリックは「ごめんなさい!僕がまぜたから・・・・」とひた謝りだ。
それでもエリック、ご飯が炊き上がるやいなや、”待ってられない”という感じで、
お鍋にスプーンを突っ込んでご飯を食べている。
「お〜!!神様!!」と言わんばかりに、天を仰ぎ喜びを表すエリック。
これほどまでに食べたかった日本のご飯だが、どうやら日本から帰国して以来、
日本のお米を炊いて食べた事は無かったようだ。
”美味しい!!おいしい!”を連発している。
こんな失敗作でも、これほどまでに喜んで食べているエリックをみると
電気釜で美味しく炊き上げてやりたかったな〜・・・・とふと後悔の念の私。

次に、ジャガイモを剥き、ネギを切り、スープを作り、トンカツへと移る。
お肉にお塩、コショーをして下味を付け、エリックに小麦粉、パン粉をつけるのを手伝わせる。
もうウキウキの気分である。きっと日本に居た時の事を思い出したのだろう。
キッチンで格闘する事2時間半。その間には、アクサナ、リンゼイ、ラリッサそしてエミリアが
「お腹空いたわ〜!!」と代わる代わる偵察に来るのである。
天ぷらの衣を揚げたのを、つまんで食べてもらう。「おいしい!!」「Muy rico!!」を連発。
エリックが日本から送ってもらったお餅を出して来た。
「お餅だけは、僕絶対食べられない!!」といい、手を向〜こうに伸ばして
顔をゆがめながら、お餅が糸を引くところをやってみせるエリック。
それじゃー、これでどう?と薄く切り、揚げもちにして、少しお塩をふりかけ、食べさせると、
案外美味しかったのか、お餅じゃないみたい・・・・といいながら美味しそうに食べている。

ワイワイ言いながらトンカツ、天ぷらが出来上がっていく。
さあ、食卓の準備だ。トンカツをお皿に盛り、グリーンの野菜とトマトを飾り、彩り良く盛り付けする。
主人は「いいか!日本料理は目で食べるんだぞ」とエリックに教えている。
スープをお皿にそそぎ、さて食卓が賑やかにセットされた。皆さん席に付いて〜。
まず主人がお箸の持ち方の講習である。リンゼイはとっても上手。アクサナもうまい。
エリック日本直仕込みで完璧。
エミリアは2本のお箸と格闘していたが、ついに諦めたかフォークを手にして”いただきま〜す!”。
みんな、怖いもの見たさか、ハラハラドキドキの気分か・・・・はたまた興味一杯、目をクリクリさせながら、
食卓に並んだ料理に手を伸ばしている。
「うん、これはいける?」「うん、美味しい」あれよ!あれよ!で山盛りのトンカツ天ぷらが売れている。

私は作っている間にお腹一杯になった気分になり、あまり箸もつけず、皆さんの顔を見つめていた。
皆さんおいしい、おいしいと言いながら、お皿に注がれたスープも無くなっている。
キュウリの酢の物も、ほんの少しだけづつ、お皿につけたので、訳のわからないうちに
皆さんの胃の中におさまったようだ。
う〜ん、結構皆さん食べて下さった。山盛りあったトンカツは一つ、、二つかけらが転がっているだけ。
良かった!まずまずの出来だった・・・・胸をなでおろす私。
3時間も待たせた分、皆さんお腹空き空き状態で、一気に胃袋へと入って行ったようだ。
皆さんの顔も満足げである。

   エリック、トンカツの衣付けて頂戴ね。   さあ!揚げましょ!

   エリックがキュウリの酢の物が食べたいって言うの。ほら!タコ買ったよ。   ジャガイモの皮剥き。私は手前に、エリックはむこうに向って剥く。

一息ついたので、私が「明日は早くボゴタに向けて出発します。日本へのお土産に、皆さんに一言づつ
言葉を頂けたらうれしいです」というと、主人はビデオを構えて撮る準備だ。

最初の席に座っているアクサナがなぜか、目頭を押さえ涙ぐんでいる。
これには私が感動!何故アクサナが?一緒に黙ってテレビを見ただけだったのに・・・。
私にはアクサナが一番自分の感情を押さえ、淡々としている女性にみえた。
仕事も近くのパイナップル工場で働いているし、決して派手とは言えない。
主人とあとで話した事だったが、彼女が一番上のお姉さんだし、おとうさんがおられなくなった後も
妹や弟そして、お母さんを助け力になってきたに違いない・・・・と。
きっといろいろな事がふっと思い出されたのかしれない・・・。

私達への言葉としては、日本からわざわざ訪ねた事への精一杯の感謝の言葉であった様に
思ったが。
そしてリンゼイのフィアンセ、そしてリンゼイ。彼女は今度私達の結婚の時には
もう一度来て、結婚式に参加して下さいとうれしい言葉を言ってもらった。
エリックとエミリア最後にして、今度はラリッサだ。
遂にラリッサも貰い泣きしてしまって、短い日だったけれど、とてもうれしかったと言ってもらった。
エミリアはずっと目を押さえて涙ぐんでおられる。
エリックにとって私達は日本でのホストファミリーではなかったのに、こんなにも歓待して
もらった事がなによりもうれしく、エリックの家族の温かい思いやりがひしひしと感じられた。
テレビで「うるるん滞在記」というのをやっているが、ほんの3日間だけの滞在だったのに、
まさしくそれを地で行く、かけがえの無い気持ちを沢山沢山頂いた。
「いつでも帰って来てください。ここは貴方がたのお家です」とも言って頂いた。


   「エミリアさんいろいろ有難うございました。」   「エリックがまた日本に来て勉強出来るよう応援してます」

   「皆さんの温かい心がとてもうれしかったです」   こんな素敵なお土産まで頂いて!

   「僕には何を頂いたんだろう?」   涙ぐむエミリア・・・皆さんウルウルと・・・

主人は「日本とコスタリカはなんと言っても15時間の時差があり、私は昼と夜が反対になってしまった。
60年間同じリズムでやってきたので、変わる事が難しいです、ごめんなさい」と言うと、皆さん、ナダ、ナダ、と
大丈夫、気にしてませんよ、と言って下さっている。
そして、「お母さん(エミリア)が、娘や息子をこれまでにされた事をとても感心しています。
エミリアは強くて、優しくて、賢い女性だと思う。お母さんを大事にしてください、私達も皆さんの事絶対
忘れません」と言葉を添えた。

次に皆んなが「アイコ!スペイン語で」と促すので、う〜ん、困ったなーと思いながら、とつとつとありったけの
スペイン語を並べて喋る。
「ほんの少しスペイン語を話せるだけでも、こうして皆さんと意思の疎通が出来とても嬉しかった。
エリックはもう一度日本、特に広島県の三原で勉強したい(インターネットで大学を検索している様だ)との
なので、私達も楽しみにしているし、きっと来る事が出来る様いつも応援しています。
その時は絶対、みなさん一緒に私達の家に来てください」と挨拶した。
そうすると、エミリアは「その為には、もっと、もっといっぱい働らかなくっちゃ!」と声をあげる。

今度はエリックが思いを言う。
エリックは私達がコロンビアに行くかもしれない・・・とエリックにメールを打って後、
エミリアから丁寧に「コロンビアに行くのなら、絶対私達の美しい国コスタリカにも来て下さい」と手紙を頂き
考えたあげく、「もう二度と私達の年齢では、あんな地球の裏側なんぞへ、行く事も無かろう」と
コスタリカの訪問を決めた。そして、エリックにメールを打ってからの事や日本に居た時の思い出を、
事細かに、身振り手振り交えて嬉しさを表現してくれた。

この人、僕にとてもとてもスペシャルの人ネ。
「僕、平和公園行った時、イナガキの家に行きましたネ。いっぱい話して、温泉も行ったネ。
パラペンテしました。ウレシカッタヨ。あれいい!またやりたいね。でも、その時僕の靴忘れるダメね。
(これは、パラグライダーにエリックを乗せて、タンデムといってインストラクターと二人で飛んだ時
片足の靴が脱げてしまって片方の靴だけで飛び出して行ったので)
イナガキ、コスタリカ来るのとてもうれしく、パソコンの前で、大騒ぎしましたネ。
『お〜ぁ!!ホアンの日本のおかさんコスタリカ来る!!来るよ!!
すごい!すごい!、どうする、どうする、わたしたちとても嬉しいになりました。』
お姉さん、おかさんに言いました。『どうする!何処行きます!?』と、
イラスの火山行きますネ、インビオ・パルケ行きますネ。でも日があったらもっと行きたい。

今度は飛行場での様子・・・『僕のねえさんに、あれ、あれイナガキ来ったよ、あれだあそこだ、』すると
ラリッサ、「何処!!何処どの人?どの人?来った来ったネ!!」と大興奮を表現する。
この4日間はとてもうれしい4日でした。コスタリカもっと沢山の時間でおいで下さい。
僕、温泉、パラペンテもう一度やりたい!そして日本のいろいろの事ネ。
おみやげ、嬉しかったよ。カレンダーおみやげの中でいしばん嬉しかったね。
おみやげはホアンいつも『コロンビアのコーヒー1番!!』言いますね。でもコーヒーは
「コスタリカ勿論1番!!!ネ。』と強調。
エリックの心をいっぱい表現した挨拶も心を打つうれしいものだった。

20分位思いのたけを喋ったあと、主人が、「さあ、エリック、今のを皆さんにスペイン語で
言ってあげろ!」と言うと、みなさん、どーと笑い、そして聞きたそうに耳を傾ける。

エミリアから私達にと用意して下さったお土産の贈呈。
私には、コスタリカの代表的な陶器の水差しの様な置物、Tシャツ、AFSのエプロン、主人にもAFSの
ネーム入りの帽子、T−シャツ、等頂いた。
私達はしっかりと抱き合って、心から全てに感謝をした。

ちらかしてしまったキッチンの後片付けをエミリアにお願いして、私達は明日の出発の為荷造りを始める。
ほぼ、スーツケースと二つのリュックサックに荷物が納まり、シャワーを浴びて寝付いたのは
12時半頃だったろうか。
明日の朝は7時には家を出る予定だ。
空港までは1時間弱だが、年末の観光客等で空港もごった返しているかもしれない。
早いに越した事は無いので、しっかり目覚ましを掛けてベッドに入る。

12月30日 (火曜日) 『 いよいよコロンビアへ 』 
コスタリカでの最後の朝。5時半には目が覚めた。外はまだほんのりと薄暗い。
お化粧をし、身の回りの支度を整え、主人を起こす。
熱はないようだが、相変わらずゴホゴホと咳はしている。
そのうち私にもうつるんだろうなぁ〜・・・・。
日本ではバスタブの中にどっぷり身体を漬けて、しっかり温もる事が出来るが
外国ではシャワーだけなので、かえって風邪をひきそうである。
コスタリカの朝も結構肌寒い感じなので、なかなか温もらないシャワーを浴びると
ぶるぶると寒さで震えそうだ。
エリックの家では、各部屋にそれぞれシャワーとトイレが付いている様だ。
私達を空港におくって下さるので、朝早いがエミリアがすでに起きられたのだろうシャワーの
音がしている。
7時前になったので、居間の方へ出ると、エミリアが「おはよう!」とニコニコとしている。
エリックもちゃんと起きて支度も整った様だ。
別れはいつも悲しいけれど、また何時の日か会う事も出来る事を信じて、皆さんと
お別れをする。
玄関先で写真を撮り、車の運転をしてくれるラリッサ、一緒に空港まで来てくれるエリック
が車に乗り込んで、玄関先でエミリア、アクサナ、リンゼイにお別れを言う。
三人は車が曲がり角にさしてもず〜と手を振って下さっていた。

約1時間程でサンホセの空港に着いた。
空港の施設の中までエリック達は入れないので、二人にお別れをする。
エリックは少し涙ぐんだ。しっかり私達は抱き合って別れの言葉を交わした。
エリックは今物理療法師の勉強をしているが、行きたい大学が三原にあるといって
インターネットで検索していた。
彼は努力家なので、きっといつの日か日本に又来れる事を信じて、応援していたい。

   いよいよお別れね。3日間はあっという間でした。   リンゼイいろいろありがとう!!ほんとにありがとう!

空港内に入ると、フロアーいっぱいの人々・・・。
とりあえずカウンター(TACA)に向って並んでいると女性の係員があちらでなにやら払って
またこちらに帰って来てくださいと言う。そうか空港税を払わなければいけないんだ。
主人はとても心配性なので、とにかくあの窓口へ行って聞いて来い!とせかす。
意を決して聞きに行くと、そこはインシュアランス(保険)の窓口だった。
それ御覧なさい!とにかく皆さんがならんでいるところで、空港税を払えばいいんだから・・・。
そしてTaca空港のカウンターで搭乗券をもらう事に。
列の後ろの方に向って係官が「マイアミ〜!マイアミ〜!」と言っている。
たぶんマイアミ行きの人の飛行機の時間がせまっているのだろう。
優先的に搭乗手続きをやってくれるようだ。
Tacaのすいたカウンターに行くと、女性係員が「何処へ行きますか?」と聞く。
(勿論スペイン語)この位は私も理解出来るので・・・・「A Bogota 」と答える。
預け荷物は?(solamente uno) 1つだけ・・・と答える。
「OK!」と全て順調に手続きも終わった。ほっと一息ついて、搭乗ゲートに座って一休み。
10時40分発なので、まだ小1時間ある。
私達の印象では、南米時間っていうのがあって、きっと発着時間は結構出たら目なんだろうな〜・・・
思っていたが、なんのその!飛行機は一分たがわず時間通りボゴタに向けて出発した。
あ〜ぁ、ついにコロンビア、ホアンの居るコロンビアに向っているんだ!!