ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記
愛子 記
2003年 |
3月1日(土曜日)『Ceremonia de Graduacio'n!』 今日はホアンの通っていた安芸府中高校の卒業式だ。 前々から麗奈始め越君達が「おかさん、卒業式絶対来てよ!!」と言ってくれていた。 ホアンに電話した時も、「おかさん、行って行って!!」と言う。 そうだな〜・・・と考えつつ、遂に当日が来た。 前日、麗奈が私達が忘れていては!とわざわざメールくれる。 「おかさん、9時10分までに学校に来てね」と。でも、夕べから、外では雨模様だ。 ふっと思い付いて着物で出かけようと考えていて、すでに支度も整えてある。 この雨で少し気が重くなってはいたが、もうこの様な事は2度と有るまいと思い 近くのお友達に着付けを手伝ってもらうよう頼んでおいた。 朝早く起きて着物を着付ける。 雨足は段々ひどくなる。ただこの雨で幸いした事がある。 いつも晴れた日にはパラグライダーへといそいそと出かけて行く主人。 天気予報はしっかり雨マークなので、昨夜から「安芸府の卒業式に行こうか・・・」と言ってくれる。 一緒に行ってくれれば、ビデオ撮影をしてもらえる・・・と喜ぶ私。 身支度も整ったので、時間に遅れないようにと出かける事にした。 少し早かったので学校への上がりがけの道路沿いに車を止め門まで歩く。 卒業生の父兄の方々が三々五々集まり始めた。 体育館の準備された3年2組指定席あたりに座る。隣に見覚えのあるお母様がおられる。 うん?あ!麗奈のお母様だ!とすぐ気付き言葉を交わす。 麗奈は4月から、はれて市内エリザベート音楽大学に進学が決まった。 大好きな音楽の道に進むようだ。お母様も、麗奈は女の子だし、とりあえず広島に居てくれるので・・・と 安心のご様子。(・・・が本人はすぐに海外に音楽留学したいと願っているようだが・・・) 椅子に座っていると、向こうからご夫婦がこちらを見ながら近づいて来られた。 あぁ!!越君のご両親だ。入り口で主人に会われたご様子。「暫くです・・・おめでとう御座います」とご挨拶。 越君は九州、それも大温泉地別府の方の大学へ行ってしまう。 毎日温泉気分??ではいられないだろうが、ちょっぴりいいな!!と思う温泉好きの私。 さて、在校生達も先生引率のもと卒業生の後ろの席に整列し始める。 時間になり卒業生達が拍手で迎えられ、先生を先頭にクラス毎に入場して来る。 3年2組は山名先生引率の元入場してきた。おめでとう!!と心の中で叫んでいる私。 主人は入り口あたりでビデオをしっかり構えている。 全校生徒が入場を終える。校長先生のご挨拶や、PTA、父兄等の祝辞が続く。 そして卒業証書が各クラス代表生徒に手渡される。 ![]() ![]() 1組は田谷君だ。そして2組は奥君が代表で受け取りに出る。 麗奈はこの卒業式に答辞を読ませて下さいと校長先生に直談判したそうだ。 でも、この答辞は毎年生徒会長が述べる事になっていると言われ それでは!と卒業生から学校へ送る『記念品授与』を代表して校長先生に 手渡すという大役を掴んだとの事。 指名され麗奈が立つ。演壇に静かに上がり校長先生に目録を手渡す。 スカートが短いので、ちょこんと頭を下げる麗奈。逆に校長先生はうやうやしく そして深々と頭を下げておられる。 後で聞くと、「いつもは全然緊張しないのに、ものすごくあがっちゃって、足がガタガタ 震えたよ・・・・・!」と麗奈。 校長先生、PTAの方は朗々と心をこめて、生徒達に語りかけられた。 しかし、生徒会長の答辞は、少しつまらなかった。 それは、きっと自分の頭で考え、自分の言葉で語らなかったからだろうと思う。 高校生活を振り返り、楽しかった事、辛かった事、忘れられない思い出を 自分の思いで語ったなら、もっと卒業式らしく、感慨深く、それぞれの子供達の 心に深く残る式であったろうと思うのだが、淡々と式は進み、あまり涙も無く さらりとした卒業式であった。 再び父兄や在校生に見送られ卒業生は退場して行った。 皆さんには会えないのかな〜・・・と思っていたら、教室の方に行って下さいと指示される。 良かった!と麗奈のお母様と一緒に3年2組の教室に向かう。 教室で皆さんに会い、”おめでとう”の言葉を掛ける。 廊下で田谷君や泉ちゃんに会う。田谷君は嬉しそうに私達が卒業式に 出られた事を喜んでくれる。 「田谷君立派だったね!」と私達もとっても誇らしい気持ちになる。 皆さん着席し、担任の山名先生から卒業証書を各自手渡される。 途中感極まって、山名先生は涙ぐまれた。この時を待っていたかのように 父兄のお母様がたも目頭をハンカチで抑えられている。 子供達は「せんせ〜い!!!」とまるで、いたわる様に笑いながら声を掛ける。 ![]() ![]() 担任の山名先生は子供達から見れば、私達同様丁度おとうさん位の歳まわり。 でもこのクラスの雰囲気はいつも明るく、先生と子供達が同じ目線である時は尊敬し、 ある時は甘え、ある時は父親に対する目線の様に接している。 そして副担任である大田先生はホアンが一番大好きだった先生だ。 留学して間もない頃、ホアンは大田先生の名前をよく口にしていた。 ホアンは物理が大の得意。そして大田先生の物理の講義は大好きだった様だ。 それを認めて下さった大田先生にホアンも私達も、とても感謝している。 ホアンが来て学校に通い始めた最初の頃、私が寝ようといていたら ホアンの部屋の電気がついてなにやらゴソゴソしている。 「何してるの?」と聞くと、コロンビアから持って来たおみやげを出して並べている。 そして、「ホアン担任の上西先生、そして大好きな大田先生にあげるんだけど おかさん手伝って」と言う。 それは何んでもないような、ちっぽけなお人形の置物だったが、コロンビア土産にと いくつか買い揃えて来たようだった。その中の一つを大好きな大田先生に 差し上げようとしたホアンの気持ちが理解出来た。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() また担任の山名先生は子供達を前に面白い事をお話された。 それは、喫煙についての話で、自分はタバコを吸っていたのだけれど ある時、由也が山名先生に近づき、「せんせい、臭っせ〜!!!」と言い 果ては匂い消しの”ファブリーズ”をシュッ!シュッ!と浴びせらてしまわれたそうだ。 そこで、はたと考え込まれた先生。一大決心をし、禁煙に挑戦。 タバコをやめて初めて、こんなに臭いものか・・・と気がつかれたそうである。 こんな話を生徒達を前に、面白おかしく話される先生。楽しそうに聞く生徒達。 子供達から両先生に花束が贈られる。また涙ぐまれる先生。 このクラスにとってホアンの存在は大きかった様で、クラスにとっても 良い思い出になった事はなによりである。 皆さん揃っての写真、ビデオ等撮り、私達は失礼する。 大学へ、またアメリカ、オーストラリアへ留学・・・と皆さんそれぞれに 大いなる夢を心に秘めて羽ばたいて行く。 私達は常に心にかけ、皆さんの事を忘れず、皆さんの将来を見つめていたいと思う。 そして、きっと何時の日かホアンも再び日本に来ると思うので、その時は又 一回りもニ回りも大きく成長された皆さんと、わいわい言いながら、語り合いたいものである。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
3月20日(木曜日)『Concierto en vivo』 レイナや越君達は晴れて県立安芸府中高等学校を卒業したけれども、もうひとつ 行事が残っている。それはライブコンサートである。 前々から「おかさん、レイナの卒業ライブ絶対来てね!」と言ってくれていた。 と言うのは聞こえが良いが、要するにコンサートチケットを買わされたのである。 一枚500円だ。でも200枚あっという間に完売した!と喜んでいた。 今日はその当日。ウィークデーなので仕事が終わってから駆けつけた。 丁度、レイナ達の出番もその頃なので、聞く事が出来る。 駅前のおもちゃランドの上階がコンサート会場。 エレベーターで会場に近づくと、既にガンガンに音楽が響いている。入り口で何度か 見た懐かしい顔が見える。 パクちゃが入り口で「おかさーん」と駆け寄って来る。スヤちゃんもいた。 スヤちゃんは東京へ行くと言う。一度家に来て欲しかったのだが、遂に機会を逸した。 でも「夏休みに帰ったら遊びに行きます」と言ってくれた。 レイナ達はもう出番が近いのでスタンバイしているのだろう。由也君が前の方に案内してくれる。 会場はタバコの煙と、若者の熱気でムンムンしているし、なんだか場違いな所へ来た様で気恥ずかしい。 聞くと今日演奏するのは、皆んな安芸府中高校生のグループだそうで、10ものグループ名がチケットに書いてある。 一つの高校でそれだけあるのも、すごいなぁ〜と感心する。 前の方へ行くと越君のお父様がいらっしゃった。 気分の若いお父様で、既に開演前から来ておられるとかでノリノリである。 「娘から、息子からチケットを買わされて、仕方なく付き合ってます」という大人が数人・・・私も入れて・・・。 入り口でオーストラリアの大学に行く元安君と出会った。 明日行ってしまう事を由也から聞いていたので、準備して行った小さな花束を渡す事が出来た。 元安君は明日行く事を誰にも内緒にしていた。皆に見送るされると淋しくなるので・・・と。 私にも「誰にも言わないで!!」と何度も繰り返していた。 思えば元安君が、『豆匠』での送別会の時、ホアンを送る言葉をスペイン語で言った。 ?Ya te vas? Te extrano mucho!と確か言ったように思う。 元安君もホアンへ贈る言葉を一生懸命捜して、やっとこの言葉を見つけたと言っていた。 其れを聞いたホアンも思わず「かわいい〜!!」と口にしていたが その意味は 「もう、行っちゃうの? 僕は淋しいよ」という意味だと最近わかった。 今オーストラリアに旅立つ元安君もきっと今同じ気持ちなのだろう・・・。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 一時間程ライブを聞いた後、今日は主人の甥っ子が大阪の高校卒業して大阪の料理学園にいくので、 あえて、お祝いに主人一押しの「北夢」のぶっかけうどんをご馳走してやる事になっているので レイナや越君・田谷君・本城君のライブ演奏を聞いたので、失礼する事にした。 後一週間もすれば、みんなそれぞれに新しい生活に向かってスタートするのだなぁ〜・・・・・。 東京、北海道、大阪、九州、山口、そして地元に大学に・・・・・と。 期待と不安を心に秘めながら、でも夢を追いかけて大きく羽ばたいてほしい。 みんな頑張れ!!!! |
3月30日(日曜日) 昨日泉ちゃんからメールが入る。「おばちゃん!僕、北海道に1日に行くんだ。 もうおばちゃんち遊びに行く日が無いけど、30日行っていい?」と。 私も30日は丁度あいているので、「いらっしゃい!」とメール返する。 泉ちゃん友達連れて来ていいのよ・・・とメール打っておいたが・・・・。 午前中片付けをして、昼から夕食に何をしてやろうかな・・・と買い物に出かける。 泉ちゃんは夕方に掛けて来るようだ。 彼らは食べ盛りだから・・・と思い、ご飯を炊き、お寿司やお赤飯等支度した。それとおかずを何品か・・・・。 夕方5時過ぎ、泉ちゃん来る。一時間程ダベリング。 泉ちゃんは北海道の畜産大学に進学する。小さい時から獣医さんに成りたかったと言う泉ちゃん。 「おかあさんが言うには、僕が3歳の頃から獣医に成るんだと言ってたんだって!」と それこそ、小さい時からの夢!だったようだ。きっと泉ちゃんは心やさしい子なのだろう。 そうしていると、由也君から携帯入る。「泉行ってる?どうしてる?」と。 「僕と田谷、今府中に居るんよ、行こうかぁ〜?」と言っているので、 「はい、いらっしゃい!いらっしゃい!」と誘う。「じゃー、今から田谷と行く!」と由也。 泉ちゃんは、ガレージのバイクに乗りたかったらしく、「団地一周して来るね〜!」と乗って出てしまった。 このバイクは、由也が我が家のガレージに誰も乗らず埃をかぶっていたバイクを改造して 塗装をやり変え、すっかり見違えるようにしてしまった。 やがて由也のバイクになるだろう。 6時半頃、由也君田谷君到着。お腹空いたぁ〜・・・と言う。 主人は今日は同期会の役員会の集まりで8時頃になる。夕ご飯は泉ちゃんと二人???と ちょっと心細かったところだったので、たちまち3人になり嬉しくなる。 おまけにネイバーさんの堂河内愛ちゃんも今から走って来ると言う。 居間の方に食器を並べ、お腹空かせた子供達に夕飯を振舞う。 私の拙い料理でも、「美味しい、美味しい!」と満足そうに食べてくれる。 ”あいあい”はお父さんが釣りに行かれたとかで、もう夕食を済ませていた。 それでも私の料理、お漬物に御箸をつけてくれる。 あいちゃんは広島市立大学だそうだ。田谷君は修道大学。 由也君は今から稼いで秋にはオーストラリアに行く予定でいる。 主人の同期会も終わっている頃かと携帯してみる。 「みんな、おとさんは?おとさんは?」と言ってるよー!といっておいたので 同期会の二次会もそこそこに切り上げて8時半頃には帰宅。 どうしても一席ぶたなければ気の済まない主人。子供達を前に説教だ。 おとさんの説教も暫くは聴けない?とみんなしんみり聞いている。 さて、今夜は田谷君は我が家泊まりとなった。 由也、泉ちゃん、あいちゃんもすぐだが、夜道なので送って行く。 泉ちゃんは北海道と遠いけれど、あいちゃんも田谷君も地元にいるので 由也君がまた引き連れて来てくれるだろう。 みんな良く来てくれたね。ありがとう。そしてがんばって! ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |