ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記

52(木曜日)『九州へ』
今日からこの連休の間は、九州宮崎方面へパラ行脚である。
2日の夕方仕事を終えて、早めに支度の為家に帰る。
夕方同行の一人である、メンバーの石田さんが来られる予定だ。
6時過ぎには出発しなければならない。
主人も仕事を終えて5時半頃帰宅。
パラグライダーを積み、支度も整えた。・・・・がなかなか石田さんが見えられない。
彼も仕事を終え、三次の方から来られる。
夕方のラッシュにでにかかられたのだろうか・・・?と案じていると、主人の携帯に連絡ある。
「7時過ぎに着きます」との事。
6時過ぎに出る予定で、支度をしていたので、時間が余りすぎた。
じゃー今晩は夜通し宮崎に向けて走るので、到着は翌日早朝の2時頃だ。
旅館についても、お風呂も無いだろうし、そのままバタンキュウーだろうなぁ〜・・・と思い
シャワーを浴びる時間が有りそうなので、15分程、シャワーをする。これで安心だ。
ようやく、6時半に、石田さんが息子の健ちゃんを伴って到着された。
さあ!一気に高速道を一路宮崎に向けて出発。
途中、宮島SAで同行の山本さん夫妻、麦田さん、友井さn、杉本さん、鵜城さん、向井さんと合流。
下関、壇ノ浦SAで一度休憩をし、再び車を走らせる。
今晩の宿は宮崎県、西郷村にある”松井旅館”という所。道中は夜に向けて、雨!雨!
パラグライダーをする所と言えば、山の中。しかも奥深い山である。
夜中の道をぐねぐねと上がったり下がったり、延々走っていたようだ。
後部座席で熟睡の私は殆ど記憶無し。平和な事である。

西郷村の松井旅館という宿に着いたのは、真夜中2時過ぎであった。
私達の車は途中から、若い向井さんが運転をして下さったお陰で、
「眠る事が出来、楽をさせてもらった」と喜ぶ主人。
それぞれに割り当てられた部屋に別れ、そのまま布団にもぐり込む。
外はピチャピチャと夜通し雨が降っていた。
やれやれ、これでは明日のパラは到底無理だろうなぁ〜・・・・。

(金曜日)『宮崎にて』
朝6時過ぎ、同室の人の話し声で目が覚める。皆さん張り切って、早起きである。
私はいくらでも寝ていたい方なので、まだ、布団の中でうつら・・・うつら。
ついに同室2人の女性はお化粧が始まった。あ〜ぁ、起きなきゃーいけないかな・・・・・。
やおら、布団を抜け出し、支度を始める。
私のお化粧はものの5分で終了。皆さんの集まっておられる食堂へ急ぐ。
私を除いては、みなさんパラグライダーやりたい人ばかりなので、昨晩の疲れは
どこへやら、はつらつとお元気だ!
今回は、この地で、新しく開発されたパラグライダーのエリア、造次郎山という山へ上がる。
今晩もこの松井旅館に泊まるので、荷物はそのままにして、食事を終えた面々は
車に乗り合わせ、エリアの有る隣町、北郷村に向かう。
イントラの山本さんも初めて来られるエリアなので、何度か道に迷いながら一山越えて、
目的の北郷町の公民館に到着する。
最近は携帯とか、パラグライダー必携の無線等があり、奥深い山の中で少々道に迷っても
何の心配も要らない。
目的の公民館の近くまで行くと、片手に無線、左に携帯を持って、私達の到着を
見て、駐車場にどんどん誘導して下さる。
夕べあれほど降っていた雨は、どうやらあがり、ピーカンとはいかないが、徐々に回復するようだ。
午前中はこの公民館で、スライドなどを使ってエリアの説明がある。
昼食のおむすびを食べると、みなさん三々五々山へ上がって行く。
今回は私達広島勢は、広大の学生の参加もあって20数名駆けつけている。

何がなんでも飛びたい主人だが、せっかく宮崎まで来たのだから・・・と
今日は皆さんと別行動をする事に。
もう一組ご夫婦で参加の麦田さん夫妻、今日は高千穂方面を廻られるとの事。
それでは、私達も・・・と同行させて頂く。
麦田さん夫妻の車には、愛犬ラブラドールの”アニー”が乗っている。
アニーはご主人と寝起きを共にされる位、可愛がっておられ、ついには
奥様の地位も脅かされそうな様子である。

地元の協力で、差し出されたおむすびを頂いて、腹ごしらえも済んだので
それぞれの車を走らせ、高千穂峡を目指す。
以前には、温泉めぐりで九州の地は何度も来たけれど、高千穂峡は始めてである。
5月連休とあって観光客も多く、駐車場も一杯らしい。
地元の送迎バスの運転手さんに話を聞き、一番効率的な歩き方を教えてもらう。

       

まずは、送迎バスで高千穂峡に足を運ぶ。よくテレビ等で見る、切り立った岩
川の上にはボートが浮かび、川下りを楽しんでいる。
この高千穂峡の切り立った岩がおもしろい。
縦に何枚も岩を張り合わせたような、変な岩が連なっている。
主人に聞くと、柱状節理というらしい。
高千穂峡を後にすると、次は国見が丘である。
なぜか観光客がほとんどいない。もう皆さん見て廻られた後なのだろうか?

       

さてここらあたりで、温泉のメッカ!1〜2ヶ所は温泉に漬からなければ・・・・と
いう事になり、高千穂峡にある、大きな温泉に入る。
500円だそうだ。1時間ほど温泉を楽しむ。

今晩は近くの公民館でパラグライダーに集った皆さんの懇親会がある。
5時までには帰って来て下さい!と山本さんから携帯が入る。
ゆっくり温泉に漬かってもいられない。
今日は温泉一ヶ所で諦め、猛スピードで西郷村に帰る事にした。

九州という所は、皆さんおっとりして、いたって”のんびり”である。
法定速度を守って、礼儀正しく運転されている。
シューマッハの主人は追い越し線だろうが、なんだろうが守ってられない。
ひやひやするような、あおり運転を繰り返しながら、無事旅館に5時少し過ぎに到着した。
途中、後ろを付いて走っておられる麦田さんに、「もうすこし、スピード落として下さ〜い!」と
言われてしまった。
予定時間内になんとか旅館に着いた。まだ皆さんパラのエリアから
帰っておられなかった。やれやれ・・・である。

今晩の懇親会には、地元の方々が沢山お酒やおつまみ等を用意されていた。
お酒が一滴も飲めない主人は、はやばやと座をはずし、車で寝ていたので
早めに失礼して旅館に引き上げさせてもらった。

(土曜日)『宮崎にて』
いくら飛びたくなくても、一日位は付き合わなければいけないだろうな〜・・・。
今日もとびっきりの快晴とは言えない。
雨こそ降らないけれど、どうもしゃきっとしない天候だ。
パラきちの皆さんは、とにかく雨さえ降らなければいいのだ。
朝食を終えると、エリアへ向けて出発進行である。
夕べの懇親会の行われた公民館に集合。そしてエリアに移動する。

今日こそは飛ぼう!と皆さん目を輝かせておられる。
今日は主人は、ダミーで1本は飛びたいといっている。

まず地元のフライヤーがタンデムで模範フライトをしてみせる。
大体どこに行けば上がるとか、ここは良く無いとか、地形を見れば判断されるらしい。
今朝はまだサーマルも無いし、ランディング場目指してまっしぐらである。
風はまっすぐではあるが、時々強かったり、時々死んだように無風になったりする。
私達のグループも山本さんがまず飛ばれた。

次に主人だ。麦田さんや友井さんなどもスタンバイしておられる。
主人の飛ぶ前に広大OB別府さんが飛んだ。テイクオフ前は木立が立っていて
その間に切れ間があるので、そこを縫うように飛び出していく。
主人が飛び出した時、一瞬風が弱まった。飛び出したものの、その木立が抜けられそうにない。
このまま行けば、木立の上にツリーランだ。
そこはパラ暦8年のベテラン主人。とっさに機転を利かせて90℃右ターン。
木立の前の細い道をまっすぐにランディングして行った。
その判断にか、やれやれツリーラン回収免れた!という喜びからか、見ていた皆さんから
思わず拍手を頂く主人であった。

これが私が飛んでいたなら、まっすぐ行く事しか考えず、見事木立にパラの花を
咲かせて、恥ずかしい思いをしたことだろう・・・・。

       


今日は数人飛び出しただけで、また天候がくずれ雨となった。
私達は諦めて、日向のエリアに向けて移動する。
ここは、近くに鏡山と言うハンググライダーのメッカ、立派なエリアがあり明日、明後日と大会がある。
この大会には、グループから4人ほどエントリーしている。
ここでは、またまたダミーで飛ぶ予定の主人である。
さてさて、明日の天気はどうなんだろう・・・・?


(日曜日)『鏡山大会』
ここは宮崎県臼杵郡北川町という所。
パラグライダーでよくあちこち回っておられる山本さんは、手ごろな宿賃で
それでいて、広々した施設を良く知っておられる。
夕べの宿も、”夕府村 ホタルの宿”という、この町の運動公園の敷地内にあり
まだ、近年出来た施設だろう、木の香りのする大きな建物であった。
朝少し早く起きて、運動公園の中を散策する。
目の前は大きな川が流れていて、なるほど夏にはホタルも沢山飛ぶであろう
そんなゆったりした山郷である。
朝食を終えて、8時半には鏡山のエリアに出発する。

山に上がると、昨日まで雨が続いていたので、視界ゼロ。雲の中である。
11時頃には、霧も晴れて来るでしょう・・・と大会スタッフの説明。
今日の大会参加者がぞろぞろとテイクオフエリアに集まって来る。
皆さん、キャノピーを広げゼッケンを張ったり、ナビゲーターに地図を取り込んだり
準備に忙しい。
お昼近くになって、ようやく霧の晴れ間からかすかに海が見えた。
あ!だんだん晴れ渡って来た。
大会スタッフの方が「ダミーで出る人は準備して下さい!」との声。
おかしな事に地元のダミーの人が全然居られない様子。ついに、若い青年がトップを切って
ダミーフライト。飛び出して行ったと思ったら、霧の中へと消えて行った。
こんな視界の中で飛ぶなんて・・・・と身震いがした。
霧に包まれたので、再びウエイティング。気のあせる主人。
そして10分後、支度を始める主人。少し霧も晴れてきた。
私達の時間も迫っていて、のんびり構えてはいられない!とばかり
えいや!と立ち上げて、ダミーフライトの主人、視界100m、霧の中へと
消えて行った。

大会参加のフライヤーは、どんなフライトなのか、目を凝らして見たいところだが
視界ゼロではどうしようもない。
テイクオフからは見えないけれど、下のランディング場からはある程度の距離から
はっきり視界に入って来るので、様子が逐一報告される。
『途中のヘリポートの上で上がっていま〜す』
その報告に、大会参加者はすぐに準備を始める。競技開始の『ゲートオープン』も宣言される。
さあ、私はこうしてはいられない。主人がランディングしたら、拾ってすぐに熊本に
向けて走らなければならない。
ランディング場である海岸の方に主人を見つけ、車にパラ道具を詰め込み、さあ!出発だ。
鏡山で1本は飛べたので、主人もまずは満足の様子。

   石田さん初コンペ参加    雲の中へ消えて行った


道中は思ったより車は混んでなく、順調に熊本入りする。
ここでは、主人のホームページを見てメール下さり、ついに会う約束までしてしまった
ハンドルネーム『田村タマ』さんという方に会う予定だ。

菊池温泉は以前パラグライダー始めた頃、温泉かねてよく訪ねた所。
この温泉の湯は、ぬめぬめとして肌がしっとりする。
毎日こんな温泉に入れる地元に人が羨ましい!。だって、肌が若返る気がするから!
そしてお化粧ののりもとてもいい気がする。

今晩はタマさんと会って、食事もご一緒にする予定だ。
タマさんがホームエリアにしておられる、俵山というエリアに行き、
タマさんと会ったので、早速宿泊予定のホテルに案内していただく。その後、食事だ。
今日タマさんは俵山で初山飛びされたそうだ。殆どのフライヤーがそうであるように
もう、うれしくてしかたない!といった表情で、終始ニコニコ顔であった。

   今日が初山飛びの日だったので・・・・ウレピー!!



九州熊本といえば、”馬刺し”だそうな。
タマさんがすでに、ホテルの近くのお店に予約されたいて、早速夕食。
まずは初飛びを祝って”乾杯”。今日の飛びに付いての感想を聞く主人。
自分の初飛び等も思い出されてか、主人も一緒になって喜んでいる。
私は・・・というと、何が悪かったか、少し調子が悪い。
せっかくの馬刺しも存分に味わう事が出来ず、早々に菊池温泉に漬かり
ホテルに戻る。

タマさんは今年の3月頃からパラグライダーを始められたばかり。
今は楽しくて仕方ない!といった様子。
奥様は看護婦さんでお子さんがお嬢さん2人。
みなさん最初頃にタンデムなどでパラを経験された様子。
タマさんも「土日ごとに家族連れ立って俵山に行く」というのが理想の様だが・・・・。
主人がホアンがパラグライダーを始めた頃のビデオをダビングして、参考にと差し上げた。
「本当に、ホアンさんはすごいですね〜!」と感心しておられた。
感心な事に、私のホームページも主人のホームページも最初から殆ど読んで下さっており
「より立体的に理解出来、楽しかったです」と嬉しい事を言って下さっていた。
翌日朝、もう一度タマさんに会う約束をする。

(月曜日)『一路広島へ』
今日の天気予報はどうも芳しくない。
このまま朝出発して、神の倉へ行けば、1本でも2本でも飛べるかも・・・・と
考えた主人。タマさんにその旨連絡し、お暇する事に。
朝食を済ませ、ひたすら広島へ向けてシューマッハだ。
朝7時半に出発する。
SAで一二度休み、自宅に着いたのは12時少し過ぎだった。
我が家のお漬物が一番良い!とお茶漬けご飯でお昼を済ませた主人、
神の倉へと出かけて行った。あまり飛べそうな天気でもないのに・・・・・。

私は・・旅行の間の片付けと洗濯に時間を費やす。
やれやれ、長旅にほっと、一息ついた。
我が家に車を置いて同行した石田さん、車を取りに来られたのは夜12時を
少し過ぎていた。
あれからの鏡山はまずまずで、石田さんも大会で好成績。
一緒に行ったパラを始めて間もない杉本さん、向井さん等もフライトされたそうだ。
良かった!良かった!
結局飛ばなかったのは、私だけ・・・・。また次の機会に・・・・。
私は温泉が一番!