ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記

1221日(金曜日)『優勝の盾をお披露目』
今日は終業式。明日から冬休みに入る。
学校のほうから、『この間スピーチコンテストで優勝した時、頂いた表彰状と盾を持って来て下さい』
との事で、ガラスケースに入っているし、壊れてはいけないので、朝主人が車で送ってやる事に。
全校生徒の前でホアンの栄誉を称えられるのだろう・・・・。

          

明日から冬休みという事で子供達の気持ちも開放的。
今日はクラスメートとスケートに行くと言っていた。
16日にパラグライダーが終わって、主人は旧友との忘年会だったので私とホアンはスケートに行った。
私は何十年ぶりかのスケートにへっぴり腰だ。
ホアンはローラースケートをやっていたので、スケートは初めてだったが
あっという間にリンクを自由自在にすべりまくっていた。
なにをやらせても、抜群の運動能力を発揮するホアンである。

今日は何人で行くのか知らないけれど、多分ホアンが一番上手に滑れるのではないかと思う。

夜はこのところずっと帰りの遅いホアン。
後一ヶ月余りなので、遊びまくっている。
 

1222日(土曜日)『パラグライダーに・・・』
今日と明日はホアンはパラグライダーに時間をあてている。
主人も日本に居る間に眼一杯飛ばせてやろうと、自分の時間をホアンに当ててやっている。
冬は寒いのは寒いのだが、比較的風も穏やかで、飛べる時も多い。
インストラクターの山本さんも、ホアンが行くので、早くから神の倉に出向いて待っていて下さる。
  
  

ホアンは日本の"こたつ”がすっかり気に入って、毎日こたつにずべり込んで寝ている。
風邪を引きはしないかと、心配しながら、私は上に上がって寝るけれど、
「だいじょうぶ!だいじょうぶ!」と平気のホアン。
それでも、肩が冷えないようにと、毛布を掛けて、ホアンの両肩に座布団を当てて
身動き取れないようにしておく。

  


今日は10時にランディング場に行くので、8時半にホアンを起こす。
ウィークデーのホアン起こしは私の日課なので、せめてパラグライダーに行く
土日は主人にお願いする。
『ホアン 起きろ!後10分で起きなければおいて行くぞ!』と言う主人の声はさすが
ホアンもピリっとするのか、眠い目をこすりながら、食卓に直行してくる。

今日は私も一緒に行く事にした。
ランディング場に着くと、既に山本さんと何人かのフライヤーが来て風の状況を見ている。
今日は朝ちらちらと小雪が舞っていた。主人のボンゴフレンディは少しの雪でも
前輪駆動なので、坂道を上がる事が出来ない。
先発隊で広大の学生達が様子見に上がって行った。
雪は余り無さそうという事だったが、河上さんが車を出して下さり、ホアン・私・主人
を乗せて頂いてテイクオフに上がる事になった。

テイクオフに上がる道中は、日陰の場所はしっかりと雪があり、ホアンは目を輝かせて、
雪!雪!と喜んでいる。
テイクオフの駐車場のあたりも、雪がうっすらと積もっている。
なにせ、こうして身近に雪なんぞ見るのは始めてのホアン、雪に目を輝かせている。
車から降りると、すぐさま雪と戯れ始めた
雪を丸めて、雪だるまを作るのか?と思いきや、私目掛けてぶっつけてくる。

主人達はテイクオフに積もった雪をほうきを持って掃き始める。私達も雪かきだ。

北斜面のテイクオフの雪を掻き集め、雪ダルマを作って遊んでいるホアン。
頭をホアン、胴体を私が作り、あたりに目鼻を捜す。
眉毛は小さな木のかけら、目は黒い石。
口は〜???ホアンはポケットをまさぐり、何かの紙の切れ端を見つけた。
丁度赤い色の紙なので、口紅を付けたかわいいスノーマンの出来上がりだ!

       

西斜面の雪かきが終わりきれいになった・・・と思っていたら、何だか風が変わって来た。
「こりゃ〜北の方もやらんといけんかな〜??」と言う主人。
どう見ても本流の風は北のようなので、「ホアン、北斜面も雪かきしろ!」と指示している。

両方のテイクオフがきれいになった。
小雪もちらちらしているが、そこそこ風も入っている。
山本さんがタンデムで飛んで出られたので、私はランディング場からホアンを
ビデオに納めてやろうと、続いてテイクオフする。

ものの7〜8分でランディングだ。
キャノピーをかたづけて、ホアンのテイクオフを待つ。
上では主人がホアンのテイクオフを見ている。
『今からホアン出ま〜す』の無線入管。ビデオを構える。
ホアン、一発できれいにテイクオフする。
山本さんの無線指導で飛ぶホアン。『はい、まっすぐ飛んで〜・・・はい、右90度ダーン」
はい!そのまま、ま〜すぐ、ランディング場へ・・・』
ホアンの飛びはきれいだ。ランディングもばっちり。キャノピーを落とさず、上手にコントロールして
絨毯のところまで力強い足取りで向かって来る。
山本さんも思わず、”うまいねー・・・”と。

今日はホアンのサポートに徹している主人、車を運転して降りてくる。
もうお昼なので、近くの”りンダル”でランチにする。
ランチを食べていると、日が射して、パラ中毒の人にとってはじっとしていられないようだ。
早々に食事を切り上げて、またテイクオフに急ぐ。
私達はいったんランディング場に帰り、石田さんを乗せてあげ、一緒に上がる。

さあ、ホアンは今日2本目のフライトだ。今度はテイクオフでビデオを構える。
北斜面から、きれいに立ち上げ、力強く前つのめりでテイクオフしていく。
見ていてもまったく不安の無いテイクオフだ。

主人が「わしが撮ってやるから、お前出ろ!」と言ってくれる。
ホアンの後を追う様に私もテイクオフする。
夕方のアーベント状態で余り高度も落ちない。前の方へ出て何回か
円を描くように廻す。
だんだん寒くなって来た。主人も飛んで出たようなので、先にランディングする。

キャノピーをたたんで東屋のところへ行くと、山本さんが片方の靴下を脱いで
椅子に座っておられる。見ると、足首がえらく腫れ上がっている。
聞いてみると、さっきタンデムをされた時、斜面ランディングで
ドン!と着地して、足首に衝撃を受け、2人分の過重がかかってしまった!
う〜ん!大した事がなければ良いが・・・・・。
山本さんは、メンバーの方の運転で病院へ向かわれた。

  

今日は帰る途中、先日フライト中に落下、今入院中のNさんを見舞う事にした。
病室に入ると、丁度夕食を済まされたところで、他の方のお膳も運んだりお元気そうだ。
待合室で小一時間話をする。この方も既にパラ中毒重症患者と見えて、主人とパラグライダー
の話になると目を輝かせて、明日にでも病院抜け出して飛びに行かれそうな雰囲気である。
怪我の具合は、結局手術もしなくて済むとの事で、胸から腰にかけて、コルセットで固定。
お話する時、ちょっとふんぞり返った状態なので、「ごめんなさい・・・・偉そうで〜」と恐縮される。
お正月は自宅で新年を迎えられるとよろこんでおられた。

ホアンは車で寝ていたので、そのままにして来た。
寒いので目を覚まして震えているかもしれない。パラの話も尽きないがおいとますることにした。

案の定、車ではホアンが目を覚まして携帯電話で退屈を紛らわしていた。
ホアンはNさんが担架でテイクオフに運ばれた時、あの痛そうな、青ざめた顔の表情を見ているので
「どうだった?」と心配そうに聞いていた。



どちらにしても怪我だけはしたくないものだ・・・・。
主人が怪我をしても、私が怪我をしても、我が社は即倒産!!である・・・・。
(でも。私は居なくてもいいかも・・・・・・)
1223日(日曜日)『サンタフライトと花忘年会・・・』
今日は神の倉では恒例のサンタフライトがある。
私は午後から花のクラスの忘年会なので残念だけど行かれない。
主人はホアンを連れて8時半出かけて行った。

このサンタフライトというのは、パラグライダーや、ハンググライダーをこの神の倉という
エリアでやらせて頂いている、地元の方への、お礼の行事なのだ。

サンタクロースのコスチュームをつけたパラグライダーのメンバーが、用意された
菓子袋を配ったり、何個かは、手作りの小さなパラシュートにくっ付けて空から
撒かれるのである。

下では沢山の子供達が空を見上げてお菓子が降って来るのを待っている。
サンタに扮するのは、ベテランフライヤーの人達。

パラシュート付きお菓子は作るのも大変なので、数が限られている。
パラシュートのお菓子も、下で手渡されるお菓子も、同じお菓子袋なのだが、やっぱり子供達に
とっては、パラシュート付きお菓子の方が夢があって、そちらが欲しい様だ。
空を見上げて、、パラシュートお菓子の落ちてくる方向へ、何人もの子供達が
突進してくるのである。

ちっちゃな子が走って、走って、結局他の大人の人や、大きなお兄ちゃんなんかに
取られてしまうのを見ると、なんだか可愛そうになってくる。

今年もあちらこちらから沢山の子供達が楽しみにやって来た。
障害施設からもバスをしたてて、やって来たりする。
ホアンもこの行事ははじめてなので、楽しんで来るといいが・・・。

       

私はお花のクラスの忘年会があるので一緒に行かなかった。忘年会は一時半から。
すこし早めに出てベスト電器に寄った。
ホアンに何か”クリスマスプレゼント”をしてやろうと思っている。
日ごろからホアンはMD、MDと言って欲しがっていた。
ベスト電器でどんなものがあるのか、見たいと思った。
メカに弱い私は何が何だかさっぱりわからない。ホアンの友達由也君に助けを求める。
由也君が駆けつけてくれて、一緒に見てくれる。
由也君が以前家に来た時持っていたMDが入ったウオークマンが良いと思っていた。
ところが、由也君の向かった先は、MDのコンポのコーナー。
いろいろ見たり聞いたりしていると、なるほど、CDの曲をMDにコピーして聞けるし
コンポそのものも、CD,MD自由自在に聞ける。音も抜群に素晴らしい。
良い物を見ればきりが無く、私も欲しくなってしまった。

どうやらホアンが欲しい!と思っているのは、このMDコンポらしい。
結局由也君の助言を得て、ビクターのMDコンポを買う事に・・・・。
『ホアン、絶対に喜びますよ〜』と由也君。

由也君と別れ、私は小町の方の忘年会会場のレストランに向かう。

私のお花の先生である鈴木榮子先生ほか、私と一緒にお花を習っている
生徒さん合計7名集まった。
レストランは中電の近くにあり、質素な素敵な場所だった。
私達の忘年会では必ず、何がしかの色を決めて、その色のものを身に付けて
来る事になっている。今年は『赤』
私は上下真っ赤なスーツで出かけた。赤いニットのワンピースの照枝ちゃん、赤いリボンの大島さん、
菊美さん、赤いふわふわ羽毛のブローチの杉田さん、赤いサンタの帽子が抜群に可愛い和ちゃん、
我が榮子先生はタイシルクの素敵なブラウスに赤いリボンを手に結んで!

2時間ほどの楽しいひと時を過ごす。
和ちゃんが、「愛子さん、ホアン君のホームページ見ましたよ。すっごくかっこいいですね〜!!」
と言ってくれ、うれしくなってしまった。
「一度、ホアン君私達のお花のクラスに連れて来て下さいよ〜!!」と皆さん。

帰りにベスト電器に寄り、今朝ほど買ったMDコンポの大きな箱を持ち帰る事にした。
さあて、どうゆうふうにして、ホアンにこの大きなプレゼント渡そうかな〜・・・・。

私が帰宅したのは、夕方5時。服を着替え、ばたばたと夕方の片付けをしていると
なんと、もう二人帰って来た!
サンタフライトとその後オイスターパーティが有ったはずだが・・・・。

  
1224日(月曜日)『ホアンはデート』
一昨日、足にダメージを受けられた山本さんは、どうやら足首骨折で
入院されたとの事。う〜ん!!大変。
相変わらず主人は神の倉へ日参だ。今日はホアンは彼女とデートなので
主人一人で出かけて行った。

午前中、床下点検の業者が来る。近くの呉服屋さんの奥さんが立ち寄られる。
ホアンは一時半の約束なので、まだいい子で寝ている。
少しゆっくりして、呉服屋さんの奥さんと話をしていると、もう11時だ。
ホアンをそろそろ起こさないと・・・・・。

あたりが私達のおしゃべりで賑やかなので、目が覚めたらしい。
シャワーを浴びて支度が整ったホアン、呉服屋さんの奥さんが帰りがけに
「バス邸まで送ってあげよう」と言ってもらったので、一緒に家を出る。

さあ、本格的に家事を始める。布団を干す。庭を掃く。洗濯、掃除機がけ。
何と女はする事が多いのだろう・・・・。
ホアンの寝る居間のコタツ布団もぶち上げて干す。ベランダはお布団で一杯。
今日は余り天気も良くない。乾きも悪いだろうな〜・・・。

ホアンはデートの後、彼女のバンド仲間数人でカラオケにも行くと言っていた。
寒くなる事を考えてジャケットを入れた大きなリュックを背負って出かけて行った。
多分夜は帰って来ないだろう・・・。

こうなると、私もゆっくり自分の事が出来る。マイペースで家事を片付け主人の帰りを待つ。
ホアンが居ないと我が家の夕ご飯のメニューは質素そのもの。
納豆、お味噌汁、漬物だ。

朝方ホアンのコロンビアの大切な友達ヒメナから電話があった。
「ホアンは出かけています」と伝える。彼女は1月からスイスに留学すると聞いている。
スイスに発つ前にホアンの声を聞きたいのだ。
このところ、留守の多いホアン、なかなかヒメナもホアンと話すチャンスが無くてかわいそう!

3連休も終わってしまった。明日から最後の追い込み、会社の大掃除をしなければ!!
1225日(火曜日)『クリスマスプレゼント!』
夕べやっぱりホアンは帰って来なかった。彼女や彼女のバンド仲間の
人たちとカラオケに行くと言っていた。
今日も私達が仕事でいないのを知っているので、夕方まで帰っては来ないだろう。
いや、出ていればお金も沢山使う事になるし、案外帰っているかな?
いろいろ考えながら仕事をしていると、お昼頃、ホアンから電話だ。
「おかさん〜?今なにしてる?」と電話口の声。
「何してるって、仕事してるよー」 ホアン「うっそー・・おかさんあそんでる〜・・」
とか何とか言って私をからかう。
「ホアン、家帰ってる。レイナも一緒」と言う。
「じゃー、おかさん夕方なるべく早く帰るからね」と電話切る。
内心、彼女の事を心配する。夕べから彼女も多分家には帰っていないはずだ。
お母さんもきっと心配していらっしゃるだろうに・・・・。

せっかくのクリスマスも”ホワイトクリスマス”とはいかず、雨模様で寒い!
早めに仕事を済ませ帰るつもりが、こんな時に限って仕事が忙しく、少し遅くなってしまった。
家に帰ってみると、二人音楽を聴いて楽しんでいる。
うちの方の気持ちを察すれば、これ以上彼女を引き止めておく事は出来ない。
「送ってあげるから、すぐ帰りなさい」と彼女をせかす。
ホアンと彼女を乗せて、矢野の彼女の家に急ぐ。

ホアンは何処へ行っても、眠い時はどうしようもないらしい。
夕べもせっかくカラオケに行ったのに、寝てばっかりいたと彼女。
カラオケに行って、『マイクを握ったら絶対話さない』というのは良く効くが
ホアンの場合は『カラオケに行っても絶対マイクは握らない、歌わない!!そして寝る!
のだそうだ。『”これだけは絶対出来ない”』とカラオケで歌わない宣言をするホアンである。
あれほど家では、包丁やおたまをマイク代わりにして、パフォーマンス豊かに
歌い上げるのに・・・。ほんとに変な子!

家に帰ってみると、もう主人も帰っていた。急いで夕ご飯の支度。

                                       
  
コロンビアでは昨日と今日は一年で一番賑やかで、楽しい日だと思うけれど
日本のクリスマスは静かで、何にも無い。
電話でホアンの友達と話したところでは、今日はホアンのお家に
親戚の人達総勢50人位が集まってパーティだそうだ。
ホアンがいれば、もっと賑やかに楽しいパーティになっている事だろう・・・。

それでもホアンは絶対にさみしいとか、不満は言わない。
私はホアンの気持ちを考えて、クリスマスプレゼントを考えた。
食事を済ませ、隠しておいた、クリスマスプレゼントを居間に持っておりる。
「まだこっちに来ないでね」とホアンを別の部屋で待たせる。
「いいよ〜・・・!」とホアンを呼ぶ。「これは、おとさんとおかさんからホアンに」と言って
目の前に並べた大きな箱を見せる。

ホアンはまだ何かわからない様だ。
包装紙を剥いで、箱を開ける。『お〜ぉ・・・』と言葉にならないホアン。
これはホアンが前から前から欲しがっていた、MDのコンポ。
コロンビアでも同じ電圧で聞けるというので、プレゼントする。
「おかさん、どうして??・・・うぅ・・・嬉しい!」と喜びを現す。
「コロンビアに持って帰れるかしら?」と言うと、「もちろん!!」
「他の物は置いておいても、これだけは絶対スーツケースに入れて持って帰る!!」
とホアン。
実はメカには全然うとい私、年末に由也君に付き合ってもらって電気店に行った。
どれがいいか品定め。
「おばちゃん、これが良いよ!」と薦めてくれたのを買う。
私には単なる箱が二つあるだけに見えるが、これがなかなか優れもの。
CDをMDにコピー出来るし、それに曲名文字もインプット出来る。サウンドも素晴らしい。
説明書を見なくてもすぐに操作が理解出来るホアン。
早速、ジョンレノンのCDをかけて聴き始める。目がキラキラを輝いている。
「おとさん、おかさん有難う」と何度も言ってくれる。
主人もホアンがちょっと分からない時は、説明書をめくって教えてやっている。

       

時計を見れば、もう一時を廻っている。
明日はホアンはAFSの為にひと仕事しなければならない!
ホアンと一緒のスペイン語圏、ホンジュラス、コスタリカからショートステイで
日本にやってくる留学生11人の平和公園、宮島観光の引率を仰せつかっている。
明日の朝新幹線で広島に着く予定だ。

ホアン早く寝ないと、朝起きられないから・・・・と言うものの、今はMDコンポに夢中。
目はランランとして、寝そうには無い。
「僕もう少し音楽聞いて寝ます」というホアンをおいて先に休む。
明日は主人も山口出張だ。
1226日(水曜日)『留学生を案内』
朝、広島駅までホアンを送って行く。
ホアンの友達、エリックも来るそうだ。エリックはコスタリカ出身。
実は今日来る留学生に、国のお母様が何かエリックに言付け物をされたらしく、
その為エリックもその人に会うべく、福富から出て来る事になっている。
そして、ホアンと一緒に平和公園、宮島に同行する予定だ。

エリックは広島駅に9時頃付く予定なので、ホアンを連れて家を出る。
駅に着くと、エリックは既に来て待っていた。
ホストマザーからといって、紙袋一杯の重いみかんをわざわざ持って来てくれた。
ホアンを駅前で降ろし、私は会社に向かう。

今晩はエリックも我が家に泊まり、明日ホームステイ先に帰る予定。
「今晩はすき焼きでもするから、遅くならないように帰っておいでね」とホアンに伝えておく。

会社で仕事をしていると、「おかさん?」とホアンから電話だ。
「今日、ホアンは夜皆さんとお好み焼きを食べるので、夜ご飯は良いです」
連絡をくれる。
エリックもホアンも今日は南米圏の人達と話が弾むだろう・・・。

やれやれ今日は二人の食事を何にしようか?と考えていたが
幸いの皆さんと食事して帰るとのホアンの連絡に内心ホっとする。

それじゃーと私達は老人食、納豆、お味噌汁、お漬物と定番超簡単、
質素料理で済ます。

何時頃になるか分からない二人なので、お風呂に入りのんびりしていた。
ところが、10時を廻っても、11時を廻っても帰って来ない。
挙句には11時半過ぎ頃、バスがありません・・・ときた。
ホアンが付いていながら、最終バスくらいはわかるだろうに・・・・と腹立たしくなる。
主人も「歩いて帰らせろ!」とむっとしている。
ホアンの電話では、バスセンターから歩いているようだ。
「タクシーで帰りなさい」と言ったが、「お金無い、高い!」と言い
遠慮して、「歩いて帰ります」と言って電話を切った。

しばらくほっといたが、今日はAFSの依頼でのお手伝いだし、エリックも一緒だ。
バスセンターから延々歩くのはちょっと大変。
仕方ないので、「お金持って待っててあげるからタクシーに乗って帰りなさい」と伝える。
ほんとに、性根のいらない子達だ。
南米独特のフィーリングなのか、いつもケセラセラ状態である。

15分ほどして、バタンバタンと車の音。
玄関に突っ立っているホアン。「いくら?」と少々私も面白くない気分が顔に出てしまった。
ホアンは消え入るような声で、¥2,800といっている。

コスタリカ、ホンジュラスの留学生とえらく話しが弾んで楽しかったとみえて
遅くなったという感覚はあまり無さそうだ。

もう12時過ぎだ、私は2階にさっさと引き上げた。

1227日(木曜日)『エリック泊まる』
明日まで仕事なので、もうひと頑張りだ。
出かける時、二人はまだよく眠っていたので、そのまま起こさずに出る。
今日はホアンがエリックをスーパー銭湯に連れて行くと言っていたので
出掛けに、台所の机の上に入浴券を置いておく。

先日、エリックのお母様からクリスマスカードを頂いた。
以前我が家に来たエリックをビデオ撮影したものを、エリックにプレゼントしたら
それを、コスタリカのお母様に送ったらしく、大変喜ばれていたそうだ。
そんな訳で、多分クリスマスカードも送って来て下さったのだろう。

エリックのホームステイしている福富町という所は大変寒い所なので、
自転車通学で手も冷たいだろう・・・と思い、手袋をプレゼントしてやる事にした。
台所の机の上にエリックへのクリスマスカードとメッセージを置いておく。

夕べの遅い帰宅で、私は少し怒った顔を二人に見せてしまったので
ホアンもさぞかし気にしている事だろう。
少しは反省したかどうか・・・・不明であるが・・・。

  

お昼過ぎ、会社に電話。ホアンからだ。
「おかさん・・・怒ってる?」とホアン。
「全然・・・もう起きた?・・・お風呂行くんだったら、チケットおいてあるでしょう
行ってらっしゃい」と言うと
「エリック、お風呂行かないと言ってる、家にいる」とホアン。

「じゃーケーキを焼いておいたから、それ食べたり、ラーメン食べなさい」と伝える。
電話の向こうでエリックが「おかあさん、ありがとう!」と言っている。
「おかさん、ちょとエリックとかわる・・」
今度はエリックだ。「おかあさん、ありがとう、ありがとう・・・」とエリック。

手袋くらいでこんなに感謝してもらっては・・・と面映い気持ち。

エリックは夜、ホストシスターと広島駅で10時待ち合わせて一緒に帰ると
言っているので、まだゆっくり出来そうだ。

それじゃーまた後でね・・・と電話を切る。

今日も主人は山口に出張した。昨日と一昨日で終わる予定の仕事が長引いている。
うまくいかなくてイライラしている。
主人が会社にいてくれれば、お正月花のお稽古に行く予定だったが・・・・。


夕方は、あまり遅くならず帰って来たので、夜はエリックを駅に送りがてら
外食する事にした。
主人が会社で残務処理している間、私は二人を迎えに家に帰る。
家に帰ってみると、寒いので二人共、コタツにずべり込んで丸くなっている。

エリックは改めて、クリスマスプレゼントのお礼を言ってくれる。
そして、お母様から預かったと言って、また別のクリスマスカードを手渡してくれる。
開いてみると、お母様とエリックのお姉さま達のサインの入ったクリスマスカード
コスタリカの田舎の風景の挿絵がある素朴なカードである。
エリックのお母様は、コスタリカで留学生を受け入れたりする施設に勤務されていて
時には、留学生を自宅にホームステイさせる事もあるらしい。
エリックも心の優しい子である。

主人の仕事も一段落した様なので、近くのくるくる寿司に連れ立って行く。
この大洲界隈は以前は殆どが車関係のディーラー店が軒を連ねていたが
今では、マツダが下火となったし、この不況下で
「沢山食べなさい!」と薦め、満腹状態。
3人分の皿を合わせると50皿ほどになった。最後にアイスクリームで締めくくる。
ハイ記念写真の撮影である。

丁度良い時間となったので、エリックを広島駅まで連れて行き、私達は帰宅する。

1229日(土曜日)『仕事納め』
昨日で会社も目出度く仕事納めが出来た。
サッシの窓やブラインドの拭き、お花、お重ねを飾って
一応お正月らしい雰囲気となった。
完璧ではないが、もうほどほど!の手抜き状態である。

あまりタバコを吸う人が出入りしないので、その分助かる。

今日は我が家の方のお正月迎え入れの準備をしなければ・・・・・。
そう思っていたが、朝から何と天気は良い。
主人とホアンはパラグライダーに出かける事になっている。
”えいっ!!私も行っちゃえ”後2日で何とかなるわ!
そう思った私、ちゃっかり二人にくっ付いて神の倉へ来てしまった。

神の倉では、年末濡れ落ち葉組やパラ中毒重症患者の皆さんが三々五々
集まって来ておられた。とりあえずテイクオフにあがり様子を見ることに・・・。

テイクオフでは既にプレジャークラブの方々が朝練で早くから
ウエイティングしておられた。風は少し強めの様だ。
それでも、プレジャークラブの若い人が二人テイクオフした。
しばらく様子を見ていたが、風は時間を追う毎に強くなってきた。

主人は既にキャノピーを広げて、いつでも出れる様にしていた。
自分がテイクオフし、降りてからホアンを見てやる予定だ。
風の強い中、何度か立ち上げてみた。
強風であおられて、キャノピーごと後ろへ飛ばされそうになる。
「これじゃーとても無理だ!今日は止めよう」と主人。

       

ホアンはそれでも、キャノピーに触っていたい様子。
それでは・・・と私達が以前いつも立ち上げ練習で行っていた
太田川の河川敷で立ち上げ稽古をする事にした。

神の倉ではキャノピーを立ち上げたとたん、引きずられそうになったが
ここでは練習には丁度良い風だ。
ホアンは何度も何度も立ち上げて、キャノピーと遊んでいる。
ホアン一人ではさびしいだろうと、私もキャノピーを引っ張り出して
稽古をすることにした。2時間ばかり汗をかく。

       

考えてみれば、昼食も食べていない。向陽町のそば屋さんで
おそばを食べる事にする。ホアンもおそば大好き!人間になった。
二人共おそば大盛りを注文している。

主婦が年末この忙しい時にパラグライダーなんぞして、遊んでいる暇は
ないのだが・・・・ついに私も住毒患者の仲間入りか〜??


1230日(日曜日)『パラ学課試験』
今日こそ年末大掃除と家事に専念しなくっちゃー!

ホアンは今日の午後からパラグライダーのA級・B級の学課試験がある。
主人と、インストラクターの山本さんが入院しておられるマツダ病院に出向く。
他のビギナーの方3人と一緒に受ける事になっている。

二人が出かけて行ったので、上に下にと大忙しの私。
今日は大体の掃除を済ませ、おせち料理の材料調達に行く予定。

毎年お正月は田舎で過ごすけれど、今年はホアンがいるので、
何かお正月らしい事をさせてやりたいし、スキーにも連れて行ってやりたいと思い
田舎でのお正月を失礼した。
そんな事で、おせち料理もまともに作った事がない。
本と首っ引きで、おせちにトライする事となった。さてさてどんなものが出来上がるやら!

こんなに忙しいというのに、主人は自分の書いたホームページの原稿を
パソコンへ打ち込んでおいてくれと伝言して行った。
買い物に出かけたついでに、会社に寄り、30分程タイプする。

ばたばたしている内に、すぐに日が落ちる。
何をしたのか分からないうちに、ホアン、主人が帰って来た。

まあ後一日あるわ!こうなったら開き直りである。
私はまだ年賀状すら書いてない。 オーマイゴッド!!・・・・。

1231日(月曜日)『ついに大晦日』
笑っても泣いても今日は大晦日。明日は新しい年、2002年の幕開けだ。
同じ日が巡ってくるけれども、今日と明日では、気分の持ち方が全然違う。
済ませる事は済ませて、来年に持ち越したく無い!という気分である。
今日ははちまき姿で頑張らなくっちゃ!

昨日から、庭木屋さんがはいっている。
いつぞやの台風で我が家も少なからず被害を受けた。墓石がずれてしまったのだ。
お盆前からお願いしていたのに、結局手が取れないとの事でほったらかし。
よりもよって、こんなおしせまって来られるとは思っていなかったが・・・・。
墓石は冬には手を付けない方がいいので・・・・と言われ庭木の剪定を
二日かけてやられるようだ。
最初の日に松の剪定をしておられるところを、ホアンも見せてもらった。
コロンビアでも松の木は沢山あるらしく、どの木も伸び放題状態なので
植木屋さんにならった剪定の仕方で、「ホアンが上手に剪定する」
えらそうぶっている。

今朝も、早朝からバリバリと機械を入れて、庭木の刈り込みを始められたので
「隣り近所もあるので、せめて、9時以降にして下さい!」と主人がやかましく
言っている。

「わしはさっさと、神の倉へ行くぞ!」とホアンをたたき起こして神の倉へと
出かけて行った。
こんな時に二人が家でごろごろしていてくれたのでは、私も仕事が手につかない。
幸いお天気も良く、ナイスフライトを期待して、二人仲良く出かけて行った。



何だか、おせちも中途半端、お掃除も中途半端、お花、三方だけは何とか
玄関、居間、台所と飾り終えた。
頼んでおいた、御すしやおそばをもらいにうろうろしていたら
もうあたりが薄暗くなり始めてしまった。
そろそろ二人帰って来そうな時間だ。

植木屋さんも、夕方5時頃には仕事を済まされた。
お支払いも済ませ、しばらく話をしていると、丁度主人達が帰って来た。

あ〜ぁ、今日もついに一日終わろうとしている。
数時間後には2002年新しい年を迎えるのだが、私達同様、ホアンも
特別の感慨は無さそうだ。クラスメートからの電話で、延々寒い二階にあがって
話をしている。
最近の紅白歌合戦を見ても、おじさん、おばさんには見たことも無いような顔ぶれ
ばかりだ。そうこうしていると、一日のパラ疲れ、家事疲れでうとうと・・・・
気が付いて目を覚ますと、紅白歌合戦も”白組優勝!!”と叫び『蛍の光』を
合唱している。横を見ると、ホアンはこたつにずべりこんでいる。

テレビから除夜の鐘が流れ、『新年あけましておめでとうございます』と言っている。
あわててこたつから抜け出して、3人正座する。
ホアンと私は「おとうさんおめでとうございます」と頭を床にこすりつけて形ばかりの
新年のご挨拶。

明日の予定はまだ考えていないけれど、まあ、とりあえず寝ましょ!

我が家はついに、年越しそばも頂かず、お布団に直行となってしまった。
どうか良い初夢が見られます様に!!