ホアンと稲垣夫婦のホームステイ日記

                                                   愛子 記

12日(土曜日)『松江支部アレックス君来る』
ホアンは昨日、朝方まで借りて来たビデオを見ていたようだ。
私が朝起きて居間に入ると、ホアンはまだ目パッチリ。寝られない!と言う。
それもそのはず、延々夕方5時頃まで寝ていたのだから・・・。

「じゃーこのまま学校へ行きなさい!」と言ったものの、今日は昼からパラグライダーに行く予定だ。
昨日の忘年会の時、インストラクター山本さんから、「明日は昼から3本は飛びましょうね」と
言って頂いたので、ホアンはすっかりその気になっている。
そうすると、学校へ行き、そのまま帰ってパラに行っていたら、また夜昼逆になるし
寝ずのフライトは大変危険なので、主人に夕べ無理矢理でも寝ろ!と言われていた。
ところが寝られない。
またまた夜昼逆生活になったホアンは肝心の日曜の漢字テストは、睡眠不足で
受けるようになる。
そう考えたホアンは、今日の昼までの学校をサボる気持ちになった。

行かない!となったらテコでも動かないホアン。
私はもう何が何でも行かせようという気分にはもうならない。
行かなければそれだけ、約束したクラスメートの皆さんの気持ちを
裏切る事になるのだし、もうそこまで私には管理出来ないと感じる。
昼まで寝たホアン、楽しみのパラグライダーに出かける為12時過ぎに起す。
『なるべく早めに来い』と主人は言っていた。早々に支度をし、出かける。

エリアに近づいたので、主人の携帯にどんな様子か聞いて見る事にした。
「それどころじゃーないんだ・・・Nさんが落ちて、怪我をしている・・・」と深刻そうな声。
途中車からテイクオフ場を見上げた時、南斜面に機体が木にかかっているのが見えた。
あれー!・・・と思ったがやはりアクシデントがあったのだ。

ランディング場に着くと、山本さんの奥さん由加里さんとプレジャークラブの竹井さんが
深刻な面持ちで無線連絡をとっている。
救急車を要請している。消防署の方から怪我によっては『ヘリコプター出動しましょうか?』
と聞いてこられている。
由加里さんがテイクオフにおられる山本さん(旦那さん)に無線連絡をとり、
ヘリコプター出動要請”となった。
ホアンと私はテイクオフに居る主人の所へ行ってみる事にした。
途中、神の倉に向う救急車に追いついた。
神の倉山頂へ向かう救急車のあとを付いて上がるが、この道が初めての運転手さんだろうか?
ゆっくりゆっくり走っている。途中別な道に入りかけている。
ホアンと「ちっともアンビュランスじゃーないわね〜・・・・」とのろのろ運転の車にイライラする。
テイクオフに居たパラのメンバー達が既設のタンカでNさんを担ぎ、テイクオフまで運ばれていた。
Nさんはタンカの上に横たわり青ざめた顔をしている。
テイクオフして、南方面あたりで落ちてしまったらしい。状況はよくわからないが
胸と腰を強く打って息も苦しいほど痛そうな表情だ。
救急専用の担架に乗せようとされるが、痛みで身体は動かせそうにない。
こんな時、担架は便利に出来ている。丁度半分に分かれるようになっている。
まず、身体の下に半分の担架を差し込む。そして残り半分を差し込み金具でガチっと
固定するのだ。
Nさんの身体をほんの少し浮かせるだけで、担架に乗せる事が出来た。
しばらくしていると、ヘリコプターが上空に到着し、救急隊員やパラのメンバー何人かが
手伝ってタンカごと担ぎ込む。
Nさんは安佐市民病院へと運ばれて行った。大した怪我でない事を祈らずにはいられない。
ちょうど同じ頃、広大生もツリーランしてしまったそうで余程風が悪かったのだろうか??・・・。

ホアンも心配そうな顔で成り行きを見ている。
私は広島に取って返し、明日の漢字テストを受ける為、松江から来るアレックス君を迎えに
バスセンターまで行かなければならない。

今日はとてもホアンが飛べる様な状況ではないけれど、私一人の方が身動き取れやすいので
ホアンは主人に預けておく。
途中、今晩の夕食の材料を買い揃え自宅へ帰る。
4時前にバスセンター着なので、時間が無い。
買い物の荷物は台所に投げっぱなしでバスセンターに急ぐ。

バスセンターで松江から来るバスの到着ホームを探してみた。
今日は松江からはアレックス君と他にドイツとスイスから女の子が二人到着する予定と
連絡用紙に書いてある。

私と同じ紙を手に持っている女性がいる。「あのー留学生を預かられる方ですか?」
声をかけてみる。
中年の女性が「ハイそうです・・・」と言われ、私と同じ様に留学生を面倒見られる方らしい。
一緒に3時50分着予定のバスを待つことにした。
待つ事30分、定刻時間を20分過ぎて、4時10分にバスは到着した。
バスの中から手をふる留学生。
実は彼女達は平和教育で原爆記念日に広島へ来た時、ここに迎えに来ておられる家庭に
ホームステイしたそうで、すでに面識がある。
バスセンターで皆さんとお別れし、私はアレックスを連れて家に帰る事にした。
主人もホアンもまだ帰ってはいないだろう。

アレックス君は南米チリから来た留学生。今松江農林高校に通っている。
背の高い優しい青年である。
お布団を干していたのを、取り込む暇がなかったのでそのままだ。
もう陽が落ちて寒くなりかけている。せっかくほんわかと温まった布団なので
早く入れなくちゃあ!
我が家に着いてすぐのアレックスにベランダに来てもらい、布団取り込みを手伝ってもらう。
なんと、人使いの荒い家だ・・・!と思ったかな?
アレックス君は背が高いので私がふーふー言いながら布団を取り込むのを、2枚一緒に
軽々と運んでくれる。
ベランダいっぱいに干してあった布団はすぐに片付いた。
下に降りてアレックス君にはくつろいでもらう。

夕ご飯の支度をしていると、6時半頃主人とホアン帰って来る。
アレックスはチリ出身で、ホアンの友達のハビエルと同じ国だ。
ホアンも以前アレックスとは面識もあるし、同じスペイン語圏なので、話もはずむ。
夕食を食べながら、アレックスがスペイン語でホアンに話かけると
ホアンは私たちの為に日本語通訳をしてくれる

夏にハビエルとコスタリカのエリックとが我が家に泊まった時、3人が弾丸のごとく
喋り、大声で笑ったりはしゃいだりして大変賑やかだったが、それが4日間続いて、
私たちは何だか寂しい思いだけが残ってしまった。
ホアンはそんな私たちの気持ちをわかっているのか、なるべくアレックスと日本語を
使って会話しているが、やはりすぐにアレックスはスペイン語でホアンに語りかけている。

ホアンはパラグライダーの練習風景や初フライトのビデオ、また先日のスピーチコンテストで
優勝した時のビデオをアレックスに見せている。

アレックスの国チリは縦に長〜い国で、福山のハビエルはその真ん中辺りの
バルパライソという所。
アレックスは北の方でカルタフェナの近く”イキケ”という町の出身だそうだ。
ここは砂漠地帯とか・・・・。どんなところだろう!行ってみたい思いにかられる。
夜も更けて来たが、二人とも寝そうにはない。アレックスも毎日2時か3時頃寝るらしい。
ホアンと違うところはそれでも朝はちゃんと起きる事である。
自分は毎日3〜4時間の睡眠で十分だと言う。
二人ともビデオを見ると言うので、私たちは先に寝る事にした。

   この卵 生で食べる??comer algo crudo este huevo??     ホアン 生卵大好きだよね! 僕も初めてたべましたぁ〜!Sabroso!!

12日(日曜日)『広大にで漢字テスト』
今日は西条の広島大学が試験会場にて、ホアン達は日本語試験を受ける。
文法・漢字・聞き取りなど夕方4時頃まで行われる予定だ。
朝、主人がパラグライダーに行く途中、二人を乗せて行く。
ただ、夕方は私が迎えに行く予定にしているので、場所確認の為に
私も一緒に付いて行く事にした。広大と言っても膨大な敷地面積なので
どこに行けばいいのか私はさっぱりわからない。
ゲートを通って総合科学部東館に車は進む。開始時間は10時15分から。
もう10時近いので、国際色豊かに受験者が集まって来ている。
ホアンはまたまたナーバス!ナーバスを繰り返している。
受験番号毎にどの教室か紙に書いて貼り出されている。
ホアンの教室もわかったので、玄関の所でホアンを見送って私たちは広大を後にする。
私は久しぶりに田舎に行ってみる事にした。主人は勿論パラグライダーだ。

ここから田舎までは30分くらいだろうか・・・。エリックのホームステイしている
福富町を通って過疎の村、賀茂郡豊栄町へ至る。
田舎へはたいてい兄か兄嫁さんが行っているので心強い。
今日も昼過ぎ頃、兄嫁さんが帰って来てくれた。
のんびりと夕方まで田舎で過ごし、そろそろホアンのテストも終わる頃なので、3時半頃
田舎を後にする。
広大へは何とか迷わずに今朝来た所へ4時には着いた。
携帯でホアンに電話を入れる。「おかさんどこ??」とホアン。
「今朝の駐車場に居ますよ」と言って待っていると、ホアンとエリックが仲良くこちらに向かって来る。
「ホアン、テストはどうだった?」と聞くと、「ホアン100点」と得意そう。
思ったより、割と優しかったらしい。


エリックを福富まで送り神の倉を通って帰る事にした。
エリックもその事をお母さんに伝えている。西条の町の中は車が一寸摺りだ。
町を抜けるのに一時間かかってしまった。
車の中では楽しそうにスペイン語が飛び交っていたが、テストの緊張で疲れたのか
エリックを送り届けた後、しばらくは音楽を聴いていたが、静かになったな?と思い
助手席のホアンを見るとすやすや眠っていた。
ようやく広島の自宅に着いたのは7時半過ぎだった。
これでホアン達の大きな行事は終了した。お疲れ様・・・・・。                      
12日(水曜日)『パラワールドに載る』
私のリズム体操のお稽古も年末なので今週と来週だけだ。
ホアンの帰国もなんだか指折り数える感じで、リズムのお稽古どころではない。
今月は先生に無理を言って休ませてもらう事にした。

今朝は由也君となつ来ちゃんの弁当を作ってあげる事になった。
なつ来ちゃんは学校の近くに一人住まいで朝お弁当作るのも大変だろうな〜・・・と
思うと、おせっかいおばさんはつい余計な事をしたくなる・・・。
3ケつくるのも4ケ作るのも一緒だ!
結局私たちのお弁当にホアン達のと5ケのお弁当作ってしまった。
今朝はホアンのカバンは3ケのお弁当でずっしりと重い。
ホアンも「おかさん、重い!!」とにが笑い。

明日からクラスメートは期末の試験になる。
皆さん試験準備でホアンと遊んでいる暇がない様子。

夕方会社にホアンから電話だ。「おかさん、ホアン財布あるけどお金ない!」
「おかさん 来る?」だそうだ。
それもちょうどタイミングよく私の帰る頃に電話をしてくるのだ。
「仕方ないわね〜・・・そこで待ってて!」と電話を切り、学校へ向かう。
門を抜け、玄関の所でホアンが待っている。まわりはクラスメートで囲まれている。
どこでも人をすぐ集めてしまうホアンである。
由也、おーちゃん、泉君、なつ来ちゃん、えりかちゃん、愛ちゃんがいる
皆さんと30分ばかり話しをする。
ほんとに可愛い子供達でほのぼのしてきてしまう・・・。
愛ちゃんはつい最近買ったばかりの自転車を盗まれてしまったそうだ。
鍵も掛けていたのに・・・・と彼女。
我が家の近所なので一緒に乗せて帰る事にした。
ホアンと愛ちゃんを乗せ、事務所に帰る。

パソコンに向かっている主人に、愛ちゃんは事務所に入るなり、
「パラきちがいの不良おやじさん こんにちわ!」
主人は女子高生!から言われてすっかりいい気分になってしまった。
うれしそうである。
愛ちゃんも私達のホームページを読んでくれている。
それに彼女は登山部とか?主人のホームページにあるヒマラヤトレッキングの時の
写真などを開いて見せると大感激してくれた。
「行ってみた〜い!!」と目をキラキラさせている。ほんとに若いって素晴らしい!
色んな可能性を秘めている!
ホアンも最近パソコンのブラインドタッチに目覚め、上達の程を見せてくれる。
キーボードの自分の両手の上にホアンが脱いだ制服をかぶせ、
私の言う言葉を打ち込んでいる。
うん!うん!早い早い!!  でも、おかさんの方がもっと早いぞ〜!!
いっときホームページをのぞいたり、ホアンの写真集を見たりしたので、時間も7時前だ。
愛ちゃんもあまりおそくなってはいけない。二人を乗せて家路を急ぐ。

    


主人が毎月購読しているパラグライダーの月間誌「パラワールド」一月号に
主人の記事が掲載された。
今日届いたので、早速胸躍らせて開いて見た。2ページに渡って書かれている。
一ヶ月程前、この記事の為に、写真と質問項目をメールで送ったりしていた。
そして一時間ばかり電話取材を受けていた。
この記事を書かれた方は、日刊スポーツの記者で鈴木さんという方。
月刊誌”パラワールド”のHPの管理もされている。

   パラ練習し始めた頃のホアン    雲海に飛び立つ主人

まず最初に私が一通り読んで見た。電話取材の時、傍でその内容を聞いていたのだが
この記事の中にすべて主人の思いが網羅されていて、とてもうれしい気持ちになった。
主人に言うと、「さすが プロだ!」と感激していた。
加えてホアンや私の写真も載せて下さっている。
夜、食事の時ホアンにそれをみせると、「オ〜ォ!!」と目を輝かせてうれしそう。
コロンビアに持って帰りたいと言うので、もう一冊買い求める事にした。

12日(土曜日)『ホアン福山へ』
夕べホアン、明日福山に行っていいですか?と聞く。
先日漢字テストの時、福山のハビエルと約束したらしい。
今回はコスタリカのエリックも一緒に行く事にしているらしい。
もう決めている様子なので、別に予定もないし、「いいわよ」という事に。
夕べエリックと電車の時間を打ち合わせて、西条を8時半過ぎに通る電車にした。
ところが、今朝みんな寝坊してしまった。
ホアンはすっかり私を頼りきっているので、夕べも遅くまでビデオを見ていたようだ。
私は・・・というと、目覚まし時計が鳴ってくれず、起きた時は8時を廻っていた。
下のこたつに寝ているホアンを主人がたたき起こした。
急いで支度をしているホアン、私はお化粧もせずに、ホアンを駅まで送っていく羽目に・・・。
駅に行きながら、携帯で西条駅で待つエリックに連絡をする。
「オー ノー!ここで一時間何をする!!」と怒るエリック。
エリックは井上さんのおかあさんがお仕事に出られる時に西条の駅まで
連れてでられるので、ホアンの遅刻で、一時間半西条駅で待ちぼうけと
なってしまう。
何とか間に合わないか!と、シューマッハでぶっ飛ばして行ったけれど、
広島駅に着いたのは、丁度ホアンが乗る予定にしていた8時48分丁度であった。

福山のホストファミリーに手土産をことづけたかったので、駅前に車を留め、
お菓子を買い、次にホアンと一緒にキップを買う。
私は、自動販売機でキップを買うだの、すっごい苦手なのだ。
あっちこっち押しまくっていたら、自動販売機が動かなくなってしまった。
中からおじさんが顔をのぞかせて、迷惑そうな顔で教えて下さった。
ホアンも至ってのんきなもので、「おかさんハンバーガー 一緒に食べましょ!」と
構内のマクドナルドに私を連れて行く。
ホアンはチーズ大好きだが、無くてホットケーキにする。
こういったお店は得意と見えて、はちみつやバターをつぎつぎに持ってきてくれる。

広島駅を9時26分発だ。暢気にホットケーキを食べていたら、
「おかさん、あと10分しかない!」とホアン。
『ううっ・・大変!”』ホットケーキを口にほうばり、改札口でホアンを見送る。
のーてんきな二人である。

いつもの様に主人はパラに出かけて行く。
今晩は久しぶりにホアンが居ない。思う存分掃除が出来る。
藤棚の藤の葉が茶色になって庭一面落ち葉だらけ。
漬物も漬けなければならない。私のする事は山ほどある。
夕方にかけて田舎へ行く事にしたので、急いで掃除にとりかかる。


11時45分頃無事着きました・・・とホアン電話をくれる。
エリックも電話口でうれしそうな声を聞かせてくれた。

今夜は福山のホストファミリーも賑やかな事だろう・・・。
12日(日曜日)ホアン 夕方無事帰る
ホアンが泊りがけで福山へ出かけたので、夕べは私達は田舎泊となる。

例年の12月は底冷えがする程寒い田舎だが、今年はまだ暖かい。
隙間スースーの古い家なので、ストーブも2個をがんがん炊いている。
今朝もうっすらと陽が射してきて、パラきちの主人はうずうずしている。
加藤さんから携帯に電話が入ると、もうじっとしていられない。
朝ごはんもそこそこにビュンと神の倉へ消えて行った。

  

田舎ではあちらこちらに朝市がたち、地元で取れた新鮮な大根・白菜・里芋
りんご、生みたて卵といったものが安く並べられている。
私は漬物用の白菜を買いあさり、20株程車に積んで帰る。
大きな白菜なので、縦2つに割り、夕方帰るまで庭先で軽く日に当てる。

とにかく今年はホアンが白菜の漬物大好きになってしまい
主人と争って食べている。
おかずが何も無くてもいい。主人が帰ってくるのが待てない夕ご飯前に、
「ちょっと、食べていい?」と言って、炊きたての白いご飯に、白菜の漬物を添えて
食べるのである。
お皿の中で漬物が泳ぐほどお醤油をだぼだぼに入れる。
それを見て、いかに言っても身体に悪いので、「お醤油を少し減らしなさい!」と
注意する主人。

今日はホアンが夕方福山から帰ってくるので、早めに田舎を後にする。

  

私が広島に帰ったのは4時頃だった。
ホアンに携帯を持たせたが、バッテリーがほぼ息切れ状態。
充電も出来なかったろうし、携帯の意味が無い。
まあ、エリックが一緒なので、そんなに遅くはならないだろう・・・と思う。

主人も神の倉から7時過ぎ帰って来た。
「ホアン、まだ何の連絡も無いよ・・・」と言いながら、主人の携帯から
ホアンにちょっと連絡を入れてみた。
てっきり電池もなくなって使えないだろう・・・と思っていたのが
「もしもし・・・・」とホアンが電話口に出た。
「今、西条着いた・・・・後20分で広島」とホアン。
「わかった・・・気をつけて帰りなさい・・・」と電話を切る。

我が家にホアンが帰って来たのは8時をだいぶまわっていた。
「おかさん、これ!」と言って、重い袋を差し出した。
見ると、袋の中に、大根や立派な”じねんじょ”、さつまいも等が一杯入っている。
ハビエルのホストファミリー荒木様が言付けられた様だ。
早速、ホアンの帰宅とお礼の電話を入れておく。
夕方早めにバーベキューをして下さったようで、「僕、夕ご飯はいらない・・・」とホアン。
ハビエルとエリックとで、沢山話し、バドミントンなどして遊んだようだ。

「おかさん、どうして電話した?」と唐突に言うホアン。
実はバッテリーが無くなりそうなので、ホアンは福山に着いてから、携帯はOFFに
していたらしい。
それが丁度私が電話を入れる直前にスイッチONしたらしい。
あまりにタイミング良かったので、そんな事を聞いたらしい。
まあ、以心伝心!という事にしておこう!!

ホアンは最近日本の”こたつ”がすっかり気に入ってしまい、居間のこたつはホアンの
”ねぐら”と化してしまった。
遅くまでビデオを見てそのまま、電気を消し、こたつで眠るのである。
二階のホアンのベッドも電気毛布がしてあるけれど、部屋事態が寒いので
下の居間の方が気持ちが良いらしい。
今晩もホアンは、ほんわかと暖かいコタツの中で眠ってしまった。
  
                                    

明日ホアンはLPのNさんと学校で会う事になっている。
Nさんから「明日は絶対学校休まないように!”」とのお達しがあった。

1210日(月曜日)AFS広島支部長堤さんと会う』
今日は10時にLPのNさん、AFS広島支部長堤さんと学校で会う。
堤さんはホアンの勉強の様子も見られるそうだ。
その後でNさんと堤さんは帰国が来年2月早々に迫った事もあり、
校長先生と今後の事などについて面会し、お話されるらしい。

このところ、ホアンの弁当がいらない事もあって、朝ぎりぎりまで寝ている私。
今朝も起きたら7時であった。
ホアンは私が出る時に学校まで連れて行く事にした。
ホアンはこたつでまだ気持ちよく寝ている。

9時過ぎホアンを学校に送り届け会社に出る。
今日は僕12時には帰るから・・・・と言っていたが・・・・。



          


夕方ホアンが一人寂しく待っているのでは?・・・と思い急いで帰る。
家は真っ暗だ。またホアン私を驚かすつもりで、隠れているんだ・・・と
こたつをはぐったり、2階に行って見たりするも、影も形もない。
どうやら帰っていないようだ。
なぁ〜んだ!つまらない・・・・と思いながら、しばらくばたばたしていた。

夕ご飯の支度を始めた時、電話のベル。
「おかさん、なにしてる?」とホアン。
「おかさん、ホアンの帰りを一人でさみしく待ってますよ、ホアンはどこ?」 
「ホアン、インターネット。れいなと一緒。今から帰る」と言う。
「おかさん、来る?」 「おかさん、夕ご飯の支度、一人で帰りなさい!」と電話を切る。

夕ご飯の時、「今日はどうだった?」と聞く主人。
堤さんも久しぶりにホアンと会われて、スピーチコンテストの時の事、漢字テストの事
また安芸府中高校でのホアンの様子など、いろいろ話しをされたようである。

今日はホアンがテスト期間中にかかわらず学校に来ていたので、クラスメートは
びっくりしたそうだ。
みなさんと話がはずみ、終わってから、インターネットへ行き、遊んで帰ったらしい。

  

今日はとてもうれしい事があった。
コロンビアのホアンのお母様からメールが届いた。
スペイン語でつらつらと書かれている。

辞書を片手に一生懸命訳してみた。表題は『スピーチでの優勝を祝って』と書かれている。
ホアンが思いがけず、栄誉に輝いた事に対しての感謝の言葉が溢れていた。
そして、ホームページで京都に行った写真を見られて、とても喜んで下さっていた。
ホアンがああして、日本の素晴らしい庭園、建築物、文化に触れる事が出来た事
をとても嬉しく思われて、感謝されている。

ホアンが電話でお母様に、日本を去る日が近づく事が悲しいと打ち明けている事も
書かれていた。
家に持ち帰り、改めてホアンに読んでもらい、訳してもらう事にした。

コロンビアにぜひおいで下さいと書かれてあったようで、とてもうれしかった。

何かの拍子に、帰る事や残りの日数等が話題になると、時々ホアンは赤い目をするので
私も極力話題にしないでいる。

私も考えるだけで、胸がつかえてくる・・・。